私は長らく、YouTubeが苦手でした。
私がYouTubeについて感じていた不満
・同じ情報量を得るのに、文章なら例えば3分で読めるものを、動画だと10分もかけてみないといけない
・しかも内容を検索できないし、何が書いてあるのかざっと把握するのも難しい
・動画の質に当たり外れが大きくて、時間を無駄にするリスクが(本に比べて)大きい
最近気づいたこと:「本を読めないとき」にYouTubeを観るならイライラしない!配信主体を選べばかなり信頼できる情報が得られる!初めて学ぶ分野で、大学の先生の講義動画を視聴するのはとても有用!
えっそんな当たり前のことを…と思われる方がいるかもしれませんが。ええ私は最近気づいたんです…。
私は紙の本を読むのが一番好きなので、手が空いている時は優先的に紙の本を読んでいます。
ただ、手がふさがっているとき/紙の本を読めないときに、voicyやaudibleで何かを聴きながら作業することが習慣になってきました。
audibleについては前もブログで書いています。
そして、ふと「voicyやaudibleを聴きながらしていることは、YouTubeを観ながらでもできるのでは?」と思ったので、久しぶりにYouTubeのアプリを立ち上げてみました。
これ、すごく良い!(いまさら!!!)
最近は、家事をしながら(主に、時間のかかる料理を作りながら台所で)YouTubeを見ています。
何を観ているかというと、心理学の講義です。講義資料が画面に映っているので、とてもわかりやすいです。
以前のブログで書いた通り、最近の私は臨床心理学・発達心理学への興味関心がとても高いです。
心理学の講義・講演を30本ほど視聴しました
「臨床心理学」「発達心理学」などのキーワードで検索して、30本ほどの動画を見ました。
大学の先生や精神科医・臨床心理士など、専門家による講義が惜しげなくYouTubeに上がっていて感動しました。専門家向けのものもあれば、大学の学生向けのもの、学校の先生向けのもの(例)、一般向けのものもありました。
心理学にもいろんな学派があり、例えば「認知行動療法」といっても認知療法の流れをくむ認知行動療法と、行動療法の流れをくむ認知行動療法がある…など、「ほえー」と思いながら面白く学んでいます。フロイトもユングもアドラーも、昔高校の授業で名前だけは習ったような気がします…
大学の学生向けだと、熊野宏昭先生の『認知行動療法の基礎と展開』という講義がとても面白かったです。全12回、全部観ました。
基本姿勢として、心理学の専門家や障害者支援に携わる人々は常に学び続けて知識を共有・アップデートしていくことが必須のようで、あちこちで講義・ワークショップが開催されています。
私のYouTube視聴履歴、こんな感じになってます。
— おたま@男子二児の母 (@otamashiratama) October 5, 2021
・河合隼雄先生(日本人として初のユング派分析家の資格取得、箱庭療法を導入、スクールカウンセラー制度を作った人、文化庁長官)の話は超面白いです
・熊野宏昭先生(早稲田大学、マインドフルネスやACTを活用)はおまんじゅうと台湾料理が大好き pic.twitter.com/16D3s97YFr
素晴らしかった動画(一例)
そして、YouTubeの自動再生機能のおかげででたまたま出会ったこの動画『発達障害のある人たちへの支援』が素晴らしかったです。
去年の9月に世田谷区で実施された講演です。講演者は、本田秀夫先生(信州大学医学部 子どものこころの発達医学教室 附属病院子どものこころ診療部)です。
コロナ禍で会場に来られる人数を制限したために、このような形でオンライン配信してくれているようです。コロナのおかげで、質の高い講演を自宅からいつでも見られるようになったことはありがたいなと思います。
発達の「異常」は、「正常でない」ではなく「通常でない」と考えるべき、という話は「なるほど…」と深く頷きながら聞きました。
また、児童期に発達特性に気づかれなかった人たちが、成長してから二次障害を発症することもあるとのこと。親や先生、支援者が発達障害を理解して関わっていく重要性がよくわかりました。
上記の動画の中で、特に私が面白い・自分の育児の参考になると思ったこと
思春期より前の育児方針
・不得意なことに苦手意識を持たせない
・大人に相談してうまくいったという経験を持たせる
これは、1時間2分頃に投影されるスライドに書いてあったことの一部です。
もちろんこれは発達障害がある子ども向けの話なのですが、定型発達の子どもであっても、「(親に限らず)大人に相談したらうまくいった!」という経験を持たせることは大事だろうなと思いました。
思春期以降の育児方針
そして「思春期以降は、親は子どもに一切助言をしてはいけない」「情報提供と考えの整理は行うが、助言は控える」とのこと。うわあ、なるほどなあ…と思いました。
この考え方、以前読んだ名著「われらの子ども」に書かれていたことにも通じるように思います。
米国の豊かな親の子育ての一例で、「息子が医療系の道に進もうか決めかねているときに、何をすべきかと述べるのではなく、医療系の仕事に就いている人々と話をしたり、6週間のセミナーに出席できるよう取りはからった」という親の話が掲載されていました。親が直接アドバイスをするのではなく、「親以外の大人」による助言がとても大事とのこと。
叱らなくて済む環境を整える
また、叱らなくて済む環境を整える、というのも大変勉強になりました。
・叱るのが上手い人は、一回叱ったら子どもは繰り返さなくなるので、もう叱らなくてすむ。
・叱るのが下手な人は、叱っても子供が繰り返すので、何度も何度も叱ることになる。
・そして叱っても繰り返す場合には、叱らなくて済む環境を整えるのが良い(例:パン屋で売り物に触ってはいけないルールを理解できない3歳の子供は、しばらくパン屋には連れて行かない)
「一回叱ってダメなら、叱らなくて済む環境を整える」、金言だなと思います。
インターネットやゲームにはまりやすい子どもに対する方針
・教科学習の取引条件にゲームを使わない ←これはとても大事そう
・ゲーム以外の趣味を複数みつける ←実用的なアドバイスだなと思いました
(動画の1時間24分頃です)
定型発達の人は「多数派」で、発達障害の人は「少数派」
この動画を2時間弱かけて観たことで、発達障害の人たち(少数派の人たち)が、「自分と同じ人たち」とコミュニティを形成できることの重要性がよくわかりました。
・発達に特性がある人が「楽しい」と思う遊び方は、定型発達の人とは違う(かもしれない)
・発達障害の人たちにとって現代の日本は、集団の中で息をしているだけでも相当なストレスを感じる社会
・「できる限り通常学級で頑張らせる」という方針は良くない。通常学級(多数派の社会)に無理に戻そうとしないこと
「インクルーシブかつアイデンティティの保障されたコミュニティづくり」のイメージ図が1時間34分頃に示されますので、ぜひ観てみてください。
ありがとうYouTube、そして心理学の先生方
私はずっとYouTubeに苦手意識がありました。世間の多くの人がYouTubeを活用しているというのに、私はなんだか乗り遅れているなあ…と。
この度、質の高い講義を惜しげなくYouTubeに載せてくださっている心理学の諸先生方のおかげで、この1ヶ月ほどですっかりYouTubeの便利さに目覚めました。
今後も上手に使っていきたいなと思っています。
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