おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

子どもの発達障害のマンガを読んでます

パラリンピックをきっかけに、知的障害について少し調べた話は以前のブログで書いた通りです。

www.shiratamaotama.com

 

知的障害や発達障害について、ちゃんと知りたい気持ちがずっとあります。

特に私は子育て中の母親なので、子どもの発達や心理にも関心が強いです。

 

そんな時にこのマンガに出会いました。児童精神科医の話です。

タイトルは『リエゾン-こどものこころ診療所』。

第1巻の「金の卵」や「学校に行けない子ども」の話は読んでいて思わず涙が出ました。

この児童精神科医は、発達障害を凸凹と呼ぶ。あなたの凸凹にハマる生き方が必ずある。/日本で発達障害と診断されている人はおよそ48万人。そして、子どもの10人に1人は、何らかの障害を抱えているとされる現代。人知れず学校や家庭でトラブルを抱え、孤独や苦痛に耐えながら生きる人たちがいる。

Amazonサイトより引用)

 

子どもの10人に1人は何らかの障害がある…ということは、まだ気づいていないだけで自分の子どもにも何か障害があるかもしれないし、子どもの同級生にも何か障害がある子が数人はいるかもしれません。

実際、うちの子どもたちが通っている保育園のお友達の中にも発達障害があり療育に通っている子が1人いました。(うちの次男とトラブルになったこともあります:保育園で子どもが暴力の被害者になったときの話 - おたまの日記

 

そういう意味で、子育て中の人もそうでない人も、自分の子どもに何らかの特性がある人もない人も、社会で人間と関わって生きている人はみんなこの漫画を読んだら良いと思います。

このマンガは児童精神科医の監修を受けており、複数の専門家や病院、施設などに取材を行って描かれているとのこと。

扱っているテーマは重いですが、優しい絵柄で読みやすく、読んでいるうちに発達障害等について自然と学べるので、とても良いマンガだと思います。

 

発達障害とは何か

脳のどこかが発達の標準から外れて、その結果として発達障害になるそうです。

この漫画の取材協力者として精神科医の杉山登志郎先生の名前が書かれていますが、私は以前、杉山先生の著書『発達障害のいま』を読んだことがあります。

(その時のブログ:発達障害は予防できる、という希望 - おたまの日記

発達障害の予防はできるだろうか。筆者はそれは、発達凸凹のレベルに留めることによって可能であると思う。繰り返しになるが、凸凹レベルの場合、それはマイナスではない。

さまざまな発達凸凹がむしろ社会を支える原動力になる時代が来ることを祈りたい。

発達障害のいまp252)

「発達凸凹」という言葉は杉山先生の造語で、「発達障害はマイナスとは限らない」ことを示しています。認知・学習における高い峰と低い谷の両者があるとのこと。発達凸凹が発達障害にならないように、親にも社会にもできることがあるというのです。

 

発達障害は大きく分けて3種類

1巻で発達障害について詳しく説明されます。ひと言で「発達障害」といってもこれだけの分類があるのだと勉強になりました。

①自閉スペクトラム症(通称ASD)

・他人の表情が読めずコミュニケーションがうまくできない

・興味のあるものが限られていて極端に強いこだわりを持つことが多い

②注意欠陥・多動性障害(通称ADHD)

・注意散漫

・行動の一つ一つが危なっかしい

③原局性学習症(通称SLD)、学習障害(通称LD)

・読み書きに難がある、簡単な計算ができないなど

・知的な遅れはないのにある特定の分野だけがどうしてもこなせない

 

発達障害についての厚労省のサイトはこちら。発達障害|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

なお、2013年には米国の精神医学会が出版しているDSM(精神疾患の診断・統計マニュアル、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)の5版が公開され、「発達障害」が「神経発達症/神経発達障害群」グループとなり大きな変更があったとのこと。

こうした精神疾患の診断基準は絶対的に固まったものではなく、議論を重ねて変わっていくものなんですね。

 

1~5巻まで読みました

2巻では小学校受験のプレッシャー、3巻では凸凹が見えにくい子こそいじめの被害者になりやすいという話、4巻では発達障害の当事者は犯罪の被害者にも加害者にもなるという話、そして読み書きが苦手な子の話が印象的でした。

5巻のステップファミリー、そしてグリーフケアの話は大泣きしながら読みました。

 

6巻が2021年9月22日に発売予定とのことで、とても楽しみにしています。

→発売直後に読みました!「完璧なダイエット」「カサンドラ」「夜間託児所」いずれも大変勉強になりました。

 

おまけ:勢いあまって臨床心理学の本も読みました

臨床心理学について知りたくなったので入門書(『臨床心理学入門』)も一冊読んでみました。すっごく面白かったです。

マンガ(『リエゾン』)はKindleで、入門書は紙で読みました。

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入門書に書いてあった話で、このブログを読んでくれている人に興味を持ってもらえそうなのはこの辺の情報ですかね。

・1981年から2000年までの間に、「育児でいらいらすることが多い」と答えた女性は10.8%から30.1%へと大幅に増加した

・わが子をもつまでに乳幼児の世話をしたことがないという女性も、39.3%から64.4%に大幅に増加した

(いずれも『臨床心理学入門』p10より)

 

今の時代、臨床心理学が果たす役割は増してきているんだろうなあと思います。

もうちょっと勉強してみたいです。

 

【2021年9月24日追記】

発達障害について説明するための用語としてはグレーゾーンよりもマーブルゾーンのほうが実態に近いのではないか、という臨床心理士さんの提案を読みました。納得です。

inthevillege.com

 

【2021年9月28日追記】

一巻が無料になってます。

 

リエゾン仲間が増えてほしいので、1巻を読んで感動された方は是非2巻目以降も読んでください!

 

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