おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

あなたがシン・ニホンを読むべき理由

シン・ニホン、読みました!

周囲がみんな読んでいるので(誇張ではなく、友人も職場の同僚もみーーーんな読んでます笑)、今さらこんなところでブログに書く必要もなさそうなんですが…。

まだ読んでない、読もうかどうか悩んでいる、という方のために書くことにしました。

 

題して「あなたがシン・ニホンを読むべき理由」です。

目次

 

あなたがシン・ニホンを読むべき理由

一言でいうなら、「日本の課題がちゃんと書いてある本だから」。

もう少し詳しく言うなら、

・ちゃんとデータに基づいて(この本の脚注の量はヤバいです)

・ちゃんと現状を認識して、大きな危機感をもって(このままでは「間に合わなくなります」)

・ちゃんと未来への希望も語ってくれている本だから。

安宅和人氏の名著『イシューからはじめよ』でも鮮やかに描かれていますが、取り組むべき課題を間違えると人生を無駄遣いしてしまいます。日本にはもう無駄にする時間もお金もありません。

この本をみんなが読むことで、日本の現状についての共通認識ができ、安宅さんの意見に賛成にせよ反対にせよ、議論の出発点になる様々なデータを共有できるわけです。すっっごいな、と思います。本当に是非読んでください。

この本を買うのに2400円、読むのに6時間かかるとして、読み終えたときにお金も時間も後悔しないと思います。これだけの思考と知識とモチベーションを得られる本はなかなか無いです。

 

というわけで、私からの「読むべき理由」は以上です!あとはおまけです。

 

おまけ:面白いことの箇条書き

この本はすごく分厚いうえにどこを読んでもものすごく面白いので、要約しようとかまとめようというのは諦めました。とりあえず具体的なポイントで、私が友人に話したら食いつきが良かったところを箇条書きします。「なにそれ面白そう」と思ったら該当ページを見てみてくださいね。

・世界経済の重心は急速にアジアに戻りつつある(p49)

・京都の祇園周辺は面積あたりのミシュランの星の密度が世界最高(p64)

・日本はこの15年間、生産性で「一人負け」状態。伸びしろだらけ(p68)

・今のままだと2035年には日本は途上国/貧困国になる(p79)

・日本の誇る家電が生み出した大きな余力はすべて男性の労働時間に回っている(p82)

・東大の女子学生比率は20%未満。ハーバードやイェールなどは50%前後(p85)

・多くの職場でCO₂濃度が高すぎて生産性が低下。換気が必要(p90)

・日本の道路は狭く難しすぎて自動走行車が走れない(p101)

・技術立国と言いつつ日本は大卒者で理工系は2割しかいない(ドイツや韓国は6割強)(p105)

・しかし、希望はある(p119〜)

・例:日本は妄想力では負けない。鉄腕アトムやドラえもんなどの「妄想ドリブンな情操教育」(p130)

・人間社会での成功には、人としての魅力の育成が重要(チャーム)(p157) ←これは子育てにも活かしたい

・大学教員の給与が30年以上の長期にわたって据え置かれ、国家公務員とともに「二大ブラック職場化」している。このままではBクラス人材ばかりになる(p275)

・バリアフリーな道が認知症を生み出す(p339)

・CO₂排出の視点での日本の適正人口は約2200万人。人口減少そのものは悪ではない(p380)

 

おまけその2:安宅さん、めっちゃ映画みてる

タイトルからして映画『シン・ゴジラ』からつけられてます。さらに『風の谷のナウシカ』からインスピレーションを得た「風の谷を作るプロジェクト」やそれと対比される映画『ブレードランナー』の世界観など、安宅さんの思考に様々な映画が与えた影響がすごいです。

そしてp328の5つの提言の中に「年齢・性別による雇用差別を禁止する」というものがあり、脚注で「このイメージがわかない人には映画『マイ・インターン』をご覧になることをオススメする」と書かれています。

マイ・インターン、大好き!!!この脚注を見た瞬間、私は安宅さんにものすごい親近感を持ちました。笑 

 

おまけその3:安宅さん、めっちゃ泣いてる

そして安宅さんは、とても感情豊かで人間臭い人だなと思いました。例えば下記。

風の谷のナウシカの原作マンガを涙を流しながら読み(p389)

・米国人に日本は「G7で初めて引退(retire)した国になった」と言われて「何ということを」と唖然とし、悔しさを隠さねばならないことしきりであった(p320)

・とある主計官の方から言われた言葉で「涙が出そうなほど悲しくなった」(p334、安宅さんは本当に泣きながら書いたのではないかと思うような文章でした)

安宅さんはヤフー株式会社のCSOで慶應義塾大学の教授で様々な政府委員をつとめる偉い人ですが、語り口のフランクさと、随所に出てくる人間味豊かなエピソードがとても印象的でした。

この本には、安宅さんの怒りも涙も希望もぎっしり詰まっているように思います。

 

ちょっとだけ残念だったこと:索引の網羅度がいまひとつ

様々なテーマについての信頼できるデータ集としても使える本だと思うんですが、巻末の索引の網羅度がいまひとつなのが残念です。例えば薬剤耐性菌の話がp340に書いてありますが、索引には「耐性菌」の項目が無いのでとりあえず自分のメモに「シン・ニホン、耐性菌p340」と書きました。

こういうときはKindleで買って検索したほうが良いかもしれないですね。

私は良い本は紙で読みたい派なんですが、この本についてはKindleの検索機能が欲しくなりそうです。Kindle版も買おうかな…。

私のように紙で買って読み始めた方は、自分用メモを取りながら読むことをオススメします!あとで絶対あちこち読み直したくなると思うので。

 

しつこいですが、シン・ニホン、読んでください

自分が生まれたのは1960年代の終わりだ。そのときと比べて、自分は素敵な未来を残せているのか。そう考えると、なかなかに胸が痛い。これからも毎日自分の胸に手を当て、この言葉に向き合いながら生きていきたい。

(『シン・ニホン』p434「おわりに」より引用)

私が生まれたのは1988年。いつまでも若手のような気持ちでいましたが、私も30代に入り、母となり、次の世代にどんな未来を残すのか…ということを考えるようになってきました。

私も「残すに値する未来」をつくりたい。

 

というわけで、シン・ニホン、読んでください。

 

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