ミシェル・オバマ氏の自伝、”Becoming”をAudibleで聴いてます。素晴らしいです。本人が執筆し、本人が朗読しているため、彼女自身が隣に座って人生を語りかけてくるような感覚で聴くことができます。文字で読むよりも、オーディオブックで聴く価値がある、と感じることができた初めての本です。
私の英語力の問題で、聴くだけだとわからない箇所があり、でもあまりに面白いのでKindleでも買っちゃいました。ミシェルさんの発音はクリアでとても聞きやすいので、英語の勉強にも良いと思います。Audibleで聴いて、聞き取れなかったらKindleで確認してます。
幼少期の思い出から、ハーバードを卒業して弁護士になり、バラク・オバマ氏との結婚、妊活・流産に涙する日々、夫の大統領就任、そしてホワイトハウスを去った日の話まで、彼女の半生を「ここまで公開して話してくれるの…?」というくらい率直に語っています。また、トランプ大統領への痛烈な批判も。
特に印象的だった箇所
・お母さんに速読を習い、公立図書館に連れて行ってもらう幼少時代。シカゴの貧しい黒人居住区に住んでいるが、お母さまが教育熱心。やっぱり子どもを図書館に連れて行くのは大事なんだな…。
・バラク・オバマ氏とのファーストキスの描写!!!もはや女子会ですよ。ミシェルとのガールズトークですよ。「バラクがね、アイスでも食べようかって言って、縁石に座ってBaskin Robbinsのアイス食べてね… しばらく2人とも黙ってたんだけど、そしたら、彼が、ちょっと微笑みながら”Can I kiss you?"って言ったのよ」私「きゃー!!!なにそれ素敵!!!」
・バラクはちょっと浮世離れした人で、お金のほとんどを本につぎこんでしまう。ある日、なんだか悩んでいるように見えたので、「お父さんの死について…もしくは、私たちの関係について、悩んでいるのかしら」と思ったミシェルは尋ねます。「なにを考えてるの?」バラクは答えます。「ああ、income inequality(経済的不平等)について考えていたんだ」そう、彼は、この世の不平等を是正するために自分にできることがあるはずだと思っているわけです。ミシェルが今までデートしたことのあるどんな男性とも、バラクは異なっていました。素敵。
・お互いがおばあちゃんになるまで親友でいるだろうと思っていた女友達スザンヌが、26歳の若さでガンで亡くなります。また、父親を55歳の若さで失います。これらの経験から、ミシェルは「人生は短い。自分が死んだのち、弁護士として作成した準備書面や商標以外にこの世に何か残しておきたい」と考えるようになる。
・キャリアについて思い悩み、母親に不満をぶつけたときの話。いま思い返してみれば、母親は長年専業主婦として家族のために尽くし、様々な犠牲を払ってきてくれていた。子供たちが大きくなってからは学費のために働いてくれたが、「仕事で充実感を得よう」などと母が考えたことはなかっただろう。自分が仕事で充実感を得ようとすることは、贅沢なのだろうか。
・バラクとの生育環境の違い。親の離婚を複数回経験したバラクにとって、「結婚」はephemeral(一時的・短命)なもの。でもミシェルにとっては結婚は永続的なものであり、大きな意味を持つ。この人と結婚する日は来ないのかな…
・そして、バラクからのサプライズプロポーズ!!!やられた…!!
特に衝撃を受けた箇所(不妊治療)
・2人とも、どうしても子供が欲しかったが、なかなか授からない。避妊をやめれば妊娠できると思っていたのに。妊活は、努力が結果に結びつかない初めての壁だった。
・ついに妊娠するが、流産してしまう。つらい。妊活は女性側に投薬や通院の負担が大きく、仕事に没頭する夫を恨んだこともある
・その後、体外受精によって2人の娘を授かった
流産は多くの女性が経験するが、皆そのことを語りたがらない。女性たちがもっと生殖治療等について共有したほうがよい、という思いで公開されたそうです。
黒人女性は流産しやすい
私は初めて知ったのですが、黒人女性は白人女性よりも流産しやすく(※)、産まれた赤ちゃんが生後1年以内に死亡する確率も黒人のほうが高い(※)そうです。
※黒人女性は、白人女性の1.57倍の確率で流産しやすい(参照:Risk of Miscarriage Among Black Women and White Women in a US Prospective Cohort Study)
※人種による乳児死亡率の差(1000人あたり、2016年、米国)(参照:Infant Mortality Rates by Race and Ethnicity)
・黒人:11.4
・白人:4.9
・アジア人:3.6
なお人種による差は拡大傾向にあり、主な要因は黒人の母親の医療状態やストレス、社会的援助の欠如のようです。
仕事と育児の両立
さて、2人の娘が産まれ、慈しんで育てるミシェルとバラク。でも、ここから「なにもかもが中途半端になってしまう」仕事と子育ての両立に悩む日々が始まります。
・ハワイ滞在中に子どもが熱を出し、重要な銃規制法案の投票を欠席するバラク。銃規制法案は否決されてしまう。子どもと妻をハワイに置いて投票に行くことはできたのに、バラクはそれをせず、子どもに付き添った。いい父親…。
・ミシェルもフルタイムで働いてるのに、バラクは「今から帰るよ!」と電話しておいて帰ってこない。娘2人に夕飯を食べさせ、お風呂にいれて、お父さんを起きて待っているのに帰ってこない。実はまだ仕事していたり、ジムに行っていたり…。バラクの「もう着くよ」は全く当てにならない。だめな父親…。
・バラクが上院議員に立候補したいと言ったとき、ミシェルが思ったのは「子ども2人抱えて仕事も3つあって、これ以上忙しくなってどうするのよ?!」だった
・忙し過ぎて食事を外食とテイクアウトに頼っていたら、娘が肥満に。米国の黒人労働者層で子供の肥満は増加傾向にある。このときの反省が、のちに学校の食堂メニューの改善活動につながっていく。
是非読んでください
面白いポイントがありすぎて、どんどんブログが長くなっていくので、とりあえずここまでにします。実は、ここまでが本の前半です。後半は、ついにアメリカ大統領選挙(ミシェルは黒人であるバラクが勝てるとは全く思っていなかった)、そして、卑怯なキャンペーンでオバマ一家を危険に晒したトランプへの怒りなど、読みどころ満載です。面白そうだなと少しでも思ったら、とりあえずKindle試し読みかAudible無料体験で聴いてみてください。めっちゃ面白いですよ!!!
Audible無料体験はこちらから
Kindle試し読みはこちらからどうぞ!
【2019年8月追記】
なお、日本語版が2019年8月に出版されましたね。英語版と日本語版を読み比べて思ったことを書きました。
【2019年9月追記】
そして息子たちにいつか読ませるために、Kindle版ではなく紙の本も買いました。やっぱり家族で共有するならKindleより紙だなぁと思います。
【合わせて読みたい】