早寝早起きやメモを取ることは「絶対の善」ではない
・早寝、早起きをすべての子どもに一律に推奨するのはナンセンス(=睡眠リズムは人によって違う。遅寝、遅起きでないと良質の睡眠を確保できないタイプの人は存在する)
・世の中には「メモを取ることで理解や記憶が促進される人」と、「メモを取ることで理解や記憶が難しくなる人」が存在する
わ、わかる…!!
なんとなく感じていた「人間の特性の多様性」について、この本を読んだことで世界の解像度が急激に高まったような気がしています。
ニューロダイバーシティ、って言うんですって。
ニューロダイバーシティ(neurodiversity)という言葉はneuro(脳・神経)とdiversity(多様性)という2つの言葉をつないだ合成語です。1990年代後半に生まれたまだまだ新しい言葉です。
(引用:村中直人著『ニューロダイバーシティの教科書』)
冒頭に書いた例(早寝早起き、メモを取ること)はいずれもこの本の中で紹介されていたものです。
村中さんの本を読むのは2冊目です
この本を読んだ理由は、先日読んだ「叱る依存」の本が素晴らしかったので同じ著者の本を読んでみよう〜という気軽な気持ちでした。
読んでよかったです。
認知の多様性にとても興味があります
最近の私は、自分や家族の認知特性に興味があります。
同じ親から生まれて同じように育てているはずの長男と次男があまりにも違うので、「同じ言葉をかけられても、同じ遊びをしていても、長男と次男は受け取っているものが絶対に違う」と思い始めたのがきっかけだと思います。
私は多分「神経学的多数派」でした
私自身は割と日本的な学校教育に「向いている」タイプの子どもでした。文字の読み書きも得意だったし、集団授業を1日中受けるのも、先生の顔色を見るのも、友達と仲良く遊ぶのも、特に困難を感じたことはありません。そういう意味では私は「神経学的多数派」としてのびのびと生きてきました。
ただし去年FFS診断を受けた時に「日本人には珍しいタイプ」と言われたので(詳しくは下記ブログをご参照ください)、この意味では少数派としての側面も持っているようです。
この本を読んだことで、神経学的少数派の人が、多数派とは異なる「文化」を持っていること、それは能力の優劣というよりも「文化の違い」であること、彼らの能力を活かすことが社会全体にとっても非常に有益であることがよくわかりました。
そして私の子どもたちが神経学的少数派である可能性もあるし、少なくとも私や夫とは違う特性を持っている可能性もある(というか、完全に同じではあり得ない)わけです。
「私がやってうまくいった勉強方法」が長男に当てはまるとは限らないし、長男がやってうまくいった方法が次男に当てはまるとも限りません。認知や情報処理のあり方に個別的な違いが存在する、ということを、長男の就学前に学ぶことができてよかったなと思います。
ニューロマイノリティ人材の活用
シリコンバレーで働くひとの10人に1人は自閉スペクトラム者らしい、という話も本書では紹介されていました。
自閉スペクトラム人材が「困った人」としてではなく、その人の脳の特性に適した職業や働き方とうまくマッチングすることで「強力な戦力」として活躍できると。
そして自閉スペクトラム者に限らず、あらゆる人が「自分の特性を最も活かせる職業、働き方」とマッチングできたら最高ですよね。
この本、タイトルが『ニューロダイバーシティの教科書』とちょっと聴き慣れない感じですが、すごく読みやすいし学ぶものが多い良書だと思います。
とてもオススメです。
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