おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

流産も死産も経験したことのない人が知っておくべきこと

私自身は流産も早産も死産も経験したことはありません。0歳児を亡くしたこともありません。

そして、当事者以外の人があまり知らなくて、きっと知っておいた方が良いと思う情報に接したので、共有のためにブログに書いています。

 

基礎知識

・流産経験者は身近にいるかもしれない

妊娠が確認された後に起こる流産は約15%(参照)とのこと。流産経験を積極的に人に話す方は多くないので、知らないだけで身近なところに流産を経験した人がいるかもしれません。

厚生労働省によると、妊娠満12週以降で、22週目未満の流産、または22週目以降の死産を経験した女性は2019年で約2万人に上る。喪失感の大きさなどから、社会活動への影響や、抑うつや心的外傷後ストレス障害を発症するリスクになるとの指摘がある。

(引用:「流産や死産へのサポートを」 当事者団体、実態調査に協力呼びかけ | 毎日新聞

 

・流産・早産の原因は必ずしも明確でない

TVドラマなどでは妊婦さんが事故に遭ったり転んだりして流産・早産に…という展開がよく描かれます(NHKの朝ドラでもそういうシーンがあって、以前ずいぶん話題になりました)。

が、実際には赤ちゃんの染色体の異常が原因だったり感染症が原因だったり理由が最後までわからないままだったり、様々な理由があり得ます。理由がなんであれ、「私がもっと気をつけていれば…」と自分を責めてしまう人もいます。

なお私は二度の妊娠で2回とも切迫早産と診断されましたが、理由は不明でした。仕事を続けたせいだろうか、出張に行ったせいだろうかと悩みました。

 

・流産、早産、死産、切迫流産、切迫早産

この辺の言葉はすごくデリケートで、しかし当事者以外にはあまり正確に知られておらず誤解している人もいるようなのでちょっと説明します。

「流産の経験がある」「死産の経験がある」と言われた場合、その人のお子さんは亡くなっています。※そして妊娠初期の流産であっても臨月近くなっての死産であっても、妊娠期間の長さと悲しみの大きさが必ずしも比例するものではないし、長い不妊治療の末に授かった子を亡くした場合もあれば想定外のタイミングで授かった子を亡くした場合もあるわけですが、そうした条件によって当事者の持つ悲しみの度合いを他者が判断することはできないと思います。

「早産の経験がある」と言われた場合、その人のお子さんは元気に生きているかもしれないし、何らかの障害があるかもしれないし、亡くなっているかもしれません。

 「切迫流産の経験がある」「切迫早産の経験がある」と過去形で言われた場合、その人のお子さんはおそらく無事に生まれたのだろうと思います。私自身は切迫早産の経験がありますが、安静生活と投薬の甲斐あって子供は無事に産まれました。

以前、私が切迫早産で安静生活を送っている時期に流産と間違われてお悔やみの言葉をもらったことがあります。下記ブログ記事の冒頭の会話がそれです。

2回も切迫早産になったけど、2回とも無事に産まれてくれました。 - おたまの日記

 

友人に流産や死産を打ち明けられたときに

この記事はとても良い記事だと思うので是非読んでください。励まそうと思って「次は大丈夫」「よくあることみたいだね」と声をかけることが逆効果になるかもしれないという話です。何か言葉をかけようとするよりも、まずは「当事者から出てきた言葉を否定せずに、うなずいて聞く」ことを意識した方が良さそうです。

withnews.jp

 

一部を引用します。

まずコミュニケーションをとる以前に、知っておいてほしいことがあります。
それは、流産や死産は、生まれて成長して亡くなった人との死別となんら変わりないかもしれないこと。
そして、どんなに慰められても和らぐことがない悲しみの中にいる時間が経験者にはありうる、ということです。

 (引用:親友に流産打ち明けられたら…励ましが逆効果に 知っておくべきこと

この「悲しみの中にいる時間」がどのくらい続くのかは人によって異なりますが、「赤ちゃんを亡くした親たちの中には、1年後や2年後にひどいうつ症状が出て、一番つらい時期を過ごす人もいる」「悲しみは一生消えるものではありませんが、平均して死別後4年半ほどすると悲嘆の反応は落ち着いてきます」とのことです(参照)。

私の母親も流産経験者の1人ですが、後に2人の子どもに恵まれ(私と弟)、さらに孫も産まれて立派なおばあちゃんになった今でも、流産した子のことを忘れてはいないのだろうと思うことがあります。

 

周囲の人たちは、当事者の気持ちを支援したいと思うのであれば、「もし話したいことがあれば、いつでも聞くよ」、「今でなくてもいいから、話したい時に言ってね」といったスタンスで、当事者が気兼ねなく話せる状況を保ちながら、連絡を取ることが大事だと思います。
そして時間が経っても、当事者にとって大事な命が存在したこと、流産や死産という経験があったことをできるだけ長く覚えておいてほしいと思います。

(引用:親友に流産打ち明けられたら…励ましが逆効果に 知っておくべきこと

 

私はこの記事を読んで、以前読んだ本『Option B』を思い出しました。

この本では、夫を亡くした人も夫とのなれ初めを話したいし、子どもを亡くした親も我が子のことを話題にしたい(ことがある)と書かれています。「忘れないでほしい」「名前をだれにも呼ばれなくなるとき、息子は2度目の死を迎える」と。

 (引用:絶望からの立ち直り方 - おたまの日記

つらい経験を包み隠さず語ることは心身の健康増進に効果があるとのこと。もし友人が流産や死産の経験を私に話してくれたとしたら、それは私を信頼して話してくれているのだろうし、話をそらそうとせずに喪失について聞いてよいのだ、と思います。

 

私が今思っていること

・流産や死産で子どもを亡くした人への支援体制が整備されてほしい

流産や死産をした人は母子保健の支援を受けられないケースがあるとのこと。支援体制の実態も十分に分かっておらず、厚労省が支援体制の調査を初めて行ったのが2020年(参照)。2021年5月31日には厚労省から各自治体に対して「流産や死産を経験した女性等への心理社会的支援」を整備するようにとの通知が発出されたそうです(参照)。心理的、社会的な支援が整備されていくことを願っています。

 

・子どもを亡くした「お母さん」だけでなく「お父さん」も支援されてほしい

私が切迫早産と診断されてから、周囲の女性が「実は私も切迫早産の経験があって」「私は流産したことがあって」と話をしてくれることが増えました。辛い経験を共有してくれたことにとても感謝していますし、人と話すことによって心が慰められることもあると思っています。そして、こういう話を他者に共有するのは圧倒的に女性が多いと感じています。もちろん流産や死産で肉体的な負担を負うのは女性だけなのでこのテーマで女性への支援が中心になるのは当然ですが、子どもを亡くした「お父さん」がどんな支援を必要としているのか、私はとても気になっています。人に話すことで癒される男性もいるでしょうし、違う形での支援を求めている男性もいるのだろうと思います。私にはその辺りの具体的な方法は分かりませんが、適切な支援がアクセスしやすい形で整備されることを願っています。

(私は、男性も弱音を吐ける社会であって欲しいと思っています。息子たちのためにも。「ハリーポッターのおかげで息子がフェミニストになった」記事がすごく良かった - おたまの日記

 

このブログを書こうと思った理由

こちらはTwitterでご縁のある方のおかげで知った情報です。 「赤ちゃんとお別れしたお母さん」だけでなく「赤ちゃんとお別れしたお父さん」も対象のアンケート調査です。

 

私は上記をRTした上で、下記のようにTweetしました。

 

このブログを書こうと思ったのも、同じ理由です。

私自身は当事者ではありませんが、協力できることはしたいと思ったので書きました。

読んでいただいてありがとうございます。

 

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