おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

母乳バンクの存在をこんなタイミングで知ってしまった話

2週間ほど前に、初めて「母乳バンク」という単語を目にしました。確かTwitterだったと思うのですが、聞いたことのない単語だったのでGoogle検索しました。

 

母乳バンクとは

・母乳が必要な赤ちゃんに、ドナーから寄付された母乳を低温殺菌して提供する仕組み

・世界で最初の母乳バンクは1909年にウィーンで設立。今は欧米を中心に世界中に普及

・日本には公に認められた母乳バンクはこれまで存在しなかったが、

・ついに2017年10月に「日本母乳バンク協会」が設立

・しかし日本では東京江東区に一か所の母乳バンクが設立されているのみ。協会では、2022年までに全国のNICU等での母乳バンク設立を目指している

参照:日本母乳バンク協会ウェブサイト

 

なぜ母乳バンクが必要なのか

母乳育児のメリットは免疫を初めとして色々言われていますが、健康に正産期に産まれた赤ちゃんであれば母乳を全く飲まずに完全ミルク育児であっても健康に育つと私は理解しています。だから、なぜ母乳バンクというものが必要なのか、最初はイメージできませんでした。

そして今回調べて初めて知ったのが、「早産や低出生体重児の場合、自分の母乳をあげられないときにはドナーの母乳を与えることで合併症を予防できることがある」という知識です。

例えばこちらの早産・極低出生体重児の経腸栄養に関する提言では、早産児の合併症予防に母乳が有効であるとして、下記のような提言を行っています。

1.早産・極低出生体重児においても自母乳が最善の栄養であり,早産・極低出生体重児を出産した母親に最新の情報に基づいた母乳育児・搾乳支援を提供しなければならない.
2.もし,十分な支援によっても,自母乳が得られない.児に与えられない場合にはドナーミルクを用いる.

(提言の要約、抜粋)

 

電車内で泣いた

続けて、こちらの記事を読みました。日本母乳バンク協会を設立された水野克己先生のインタビュー記事です。

ドナーミルクでNICUの赤ちゃんをサポート!「母乳バンク」とは?| たまひよ

 

・出生体重1500g未満の赤ちゃんに起こりやすい壊死性腸炎などの病気を、母乳を与えることで予防できる

・また、母乳を与えることで平均で3~4日早く点滴をはずすことができる

・日本のNICUでは、自分の母乳を与えられない場合に、他の母親から「もらい乳」をすることが多かったが、殺菌していないなどの問題があった

 

なるほどなぁ…と読み進めました。そしてここで手が止まりました。

ドナー登録をされたお母さんは、ご自身のお子さんに優先的に授乳し、余った母乳を搾乳し、母乳バッグに採乳、冷凍。1~2週間に1回のペースで、冷凍した母乳をクール便(冷凍)で母乳バンクに送ってもらっています。
自身のお子さんが入院中で母乳をあげられない・亡くなられた・母乳がたくさん出すぎて余ってしまう…など事情はさまざまですが、母乳バンクの趣旨に賛同して、善意でご協力いただいています。

(記事から引用)

 

えっ、自分の子どもが亡くなったお母さんが、母乳バンクに母乳を送ってるの…

 

そのお母さんの気持ちを想像したら涙が出ました。電車内なのに。

 

以前ブログにも書きましたが、私は二度の妊娠で二度とも切迫早産と診断され、臨月を迎えるまで毎日を祈るような気持ちで過ごしていました。どうか無事に産まれてほしい、できれば臨月までもって障害なく産んであげたい、でももしも障害が残ったとしても生きてほしい… 

結果として子どもたちは早産にならず、今のところ障害なく健康に生きていてくれるので、幸運だったと思います。

我が子を亡くすのがどんな気持ちなのか、正直いって想像が及びません。そして母乳が出る時期の、おそらく子を亡くしてそれほど月日が経っていないだろう母親が、他所の子のために搾乳して、冷凍して、郵送してあげているんだ。なんてことだ。なんて偉いんだろう。

 

私も母乳バンクに協力したかった

こんなところで泣いている場合ではない、私も協力せねば。

しかし上記の記事には「なかにはお子さんが1才過ぎまでドナーを続けてくださった方もいますが、大半は生後6ヶ月くらいまで」と書いてあります。

 

たしかに次男が生後8ヵ月となり、離乳食もよく食べるようになってきたので、母乳の出がだんだん落ち着いてきた自覚がありました。実は搾乳できる量も徐々に減っており、長く続けた会社での搾乳もすでに止めています。

日本母乳バンク協会のドナー登録のページには、「ご自身のお子さんに与える母乳が最優先されます。つまり、お子さんが必要とする以上に母乳が出ることが必要です。」と明記されています。

 

だめだ、今の私はこの条件にあてはまらない…ドナーにはなれない…。

もし私が2017年の長男出産直後、もしくは2018年の次男出産直後にこの情報を知っていたら、迷わずドナー登録をしたと思います。特に長男が生後半年くらいまでは、私は母乳が「出過ぎる」タイプだったので、乳母に就職できそうだなどと冗談を言っていたほどでした。

 

これで落ち込んでしまい、2週間ほどこの件がずっと頭の片隅でもやもやしていました。

もし切迫早産が進行して早産になっていたら、私も母乳バンクを必要とする立場になったかもしれないのに…。もっと早く母乳バンクを知っていればドナーになれたかもしれないのに…。

 

 

ブログに書くことにした

そして昨日「そうだ、ブログに書こう」と思い立ちました。このブログに検索で来てくれる人の一定数が、このあたりの0歳育児関連の記事を読んでくれています。きっと妊娠中~0歳育児の人が多いに違いない。

 

ドナー登録や活動協力を検討してみてください

もし母乳の出が良くて、日本母乳バンク協会(江東区豊洲)まで最低一度は行くことができる人で、母乳バンクに協力しようと思ってくれる人がいれば、ドナー登録はこちらからできます。

 

また、こちらの「活動にご協力ください」のページでは、

・寄附(個人/法人から)

・共同事業(母乳育児についての啓蒙セミナー、働く母親への育児支援・相談、母乳関連の研究など企業との共同事業)

・ドナー登録施設の募集

を呼びかけています。

 

さらにこちらのページでは、「地域に母乳育児・医療の拠点を!母乳バンク設立をご検討ください」との呼びかけもあります。

 

まとめと妄想

こんな長文を読んでいただきありがとうございます。

まずは知識として母乳バンクについて共有したかったのと、このブログがわずかでも母乳バンクの役に立つと良いなと思って書きました。

 

私は妊娠前までよく献血に通っていたのですが、

・人の役に立てるという自己満足

・お菓子(たまにハーゲンダッツとか…)

が目当てでした。

 

母乳バンクはまだ設立間もない団体なので、過大な要求はしたくないのですが

・献血車のような「母乳バンク車」があって

・車内には電動搾乳機と座り心地の良い椅子があって

・美味しい飲み物と食べものがあって

・搾乳した母乳はその場で受け付けてくれる(自分で郵送しなくて良い)

・搾乳しながら育児相談もできる

のようなことができると良いな…と妄想しました。

 

おまけ

授乳に関して悩みがある方は、こちらの本がとてもオススメです。母乳育児についても粉ミルクの使い方も詳しく書かれており、私は教科書のように読んでいます。私が買ったのはひとつ古い版(2015年版)ですが、2018年に新版が出ています。

 

【2019年7月31日追記】

今朝の朝日新聞の2面に、母乳バンクの記事が大きく掲載されていました。ネットだと下記で読めます。

917グラムで生まれた娘 母乳バンクが育ててくれた:朝日新聞デジタル

 

917グラムで産まれた赤ちゃんがドナーの母乳のおかげで健康に成長したの、素晴らしいな…と思いました。

記事によると、母乳ドナーのメインは早産で出産した母親のようですね。早産の母親の母乳には、早産児に必要なDHAやタンパク質が多く含まれるそうです。母乳バンク協会のウェブサイトでは特にドナー募集に早産で産んだことは要件に入っていなかったので、理想は早産の母親、でも正期産の母親の乳でも粉ミルクよりは良いということではないかと勝手に理解しました。

日本母乳バンク協会を設立された水野克己先生の推計では、日本では年間5000人ほどの赤ちゃんがドナーの母乳を必要としているのではないかとのこと。

母乳バンクの普及が日本でも進むことを願っています。