おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

2回も切迫早産になったけど、2回とも無事に産まれてくれました。

ある日の会話

おたま「すいません、実は切迫早産と診断されてしまったので、仕事を休んでいるんです」

Aさん(男性)「そうだったんだ…。残念だったね。まだ若いから、次があるよ。」

おたま「あ、誤解があるようなんですが、お腹の子は生きてます。早産になりかけているので、安静が必要なんです」

Aさん「そうなの?縁起でもないこと言ってごめん!」

おたま「いえいえ、切迫早産って言われても分からないですよね、すいません!(ほんとに縁起でもないわ…)」

 

上の子は妊娠24週(7ヶ月)で、下の子は妊娠25週(7ヶ月)で、「切迫早産のため要安静」と診断されました。上の子のときは、それまで切迫早産という言葉を聞いたこともなかったのでパニックになり、夫の友人(女性)に「私も切迫早産だったけど無事に産まれたよ」と電話で励ましてもらい、大泣きしました。その後、それぞれ3ヶ月間ほどの絶対安静期間を経て無事出産したので、切迫早産についてまとめておこうと思います。

当時、夫の友人女性の経験談を聞いたおかげで、私は「無事出産する」希望を持つことができました。ただ、必ずしも身近に経験者がいるわけではないと思うので、このブログがあの頃の私のように切迫早産と診断されて途方に暮れている人、または身近な人が切迫早産と診断された人の役に立ったら良いなと思います。

 

 ※4800文字もあって長いので、ヒマな時にどうぞ

1.切迫早産とはなにか?

切迫早産というのは、「早産が切迫している」つまり早産になりかけているという状態のことです。通常、正期産(正しい時期のお産)というのは妊娠37週から41週の間に産まれることを指します。これよりも早く産まれてしまうと、赤ちゃんに障害が残ったり、最悪の場合は生きられない可能性があります。

なお、妊娠22週未満の出産は「流産」(生存可能性なし)と定義され、流産になりかけている状態を「切迫流産」といいます。22週以降37週未満の出産は「早産」となり、赤ちゃん生存の可能性が出てきます。

・もしも妊娠22週で生まれた場合:赤ちゃんの体重は500 g前後。新生児集中治療室での治療が必要で、重い障害が残る可能性が高い。生きられない可能性も高い。

・少しでも長くお母さんのお腹の中で育てることで、生存確率を上げ、障害が残る確率を下げることができる。

・ただし、妊娠34週以降の正期産に近い時期の早産であっても、呼吸障害など長期に障害を残すことがある。

・早産は全妊娠の約5%に発生し、その原因は感染や体質による。(参照:日本産科婦人科学会

・切迫早産になる確率は全妊娠の約15%だが、適切な治療を行えばそのうち60%以上は早産にならず、正期産で出産できる(参照:AskDoctors

 

2.経験談その1(上の子)

上の子のときは、安定期に入ってひと安心し、普通にフルタイムで仕事をしていたある日、職場のトイレで微量の出血に気づいたところから始まりました。病院に電話すると「念のため検査しましょう」とのことで、仕事を早退させてもらって産婦人科に行きました。

医師「切迫早産ですね。子宮頸管長が3㎝を切ってます。妊娠7ヶ月なら、4㎝以上が正常です。早産を防ぐため、服薬と安静が必要です。診断書を出すので、仕事は休んでください。」

私「…え?もう産まれちゃうということですか?」

 医師「いやいや、今すぐ陣痛が来るということではありませんよ。でも、安静にしていないと、早産になる可能性が高いということです。とりあえずは自宅安静で良いですが、今後、子宮頸管長が2cmを切ったら入院が必要です。」

頭が混乱して、うっかり病院から自宅まで歩いて帰ってしまったのですが、後から考えればタクシーで帰るべきでした…。夫に連絡し、とりあえずこの日からほぼすべての家事を夫に任せました。私は基本的に横になっているだけ。立った姿勢、座った姿勢、ともに子宮に負担をかけるので、早産を防ぐには子宮を横にしておく必要があるそうです。数日間安静にしていると回復する人もいるらしいのですが、私はだめでした。理解ある職場だったので、傷病休業という形で早めの産休に入らせてもらいました。

ただ、夫もフルタイムで働いているため、絶対安静の人間のお世話を続けるのは難しいです。私は里帰り出産予定だったので、予定を前倒しして実家に戻り、そこから3ヶ月間は「有能な人間保育器」になったつもりで過ごしました。一切の家事をせず、24時間のうち23時間は横になっており、57分くらいは座って食事やトイレ、残り3分くらいが移動のための歩行、という時間配分です。早産を防ぐ薬を1日3~4回飲みます。これ以上症状が進んでしまうと24時間点滴で投薬するため入院となり、個室なので話し相手もおらず、精神的に追いつめられる人が多いよと医師から脅されて(?)いたので、入院にならないように一生懸命安静にしていました。家事は実家の母頼みです。

寝ているだけで、どこにも痛みはないので、身体的には楽な日々です(薬の副作用で苦しむ方も多いそうですが、私はあまり副作用が出ませんでした)。でも、ありあまる時間をスマホを握りしめて「切迫早産 原因」とか「妊娠24週 早産 生存確率」とかネット検索していると、鬱々とした気持ちになりました。なお、感染症等も検査をしましたが、私の切迫早産の原因はよく分からず。「体質でしょう。あとはストレスも原因かもしれません」とのことでした。

3ヶ月も安静にしていると、体には下記のような変化がありました。

・筋肉の減少(安静生活5日目くらいで1.5㎏ほど体重が減りました)

・脚が細くなった。特にふくらはぎが深層の令嬢みたいになりました。

・巻き爪の悪化(歩かないので、地面からの反発がないため悪化するらしいです)

・美肌化(満ち足りた睡眠と、紫外線にあたらず化粧もしない生活の成果か)

・小尻化(お尻が筋肉でできていることを実感。垂れそう…)

安静の甲斐あって、無事に妊娠37週を迎えた日は本当に嬉しかったです。ここからは安静解除になり、リハビリも兼ねて家の周りを散歩するなど、体力を戻すことにつとめました。結局、予定日を1週間過ぎて出産。今では1歳8ヶ月で体重12㎏の健康優良児になりました。

第一子出産のブログ記事はこちら:

shiratamaotama.hatenablog.jp

 

3.経験談その2(下の子)

一度切迫早産になった人は、次の妊娠でも切迫早産になるリスクが高いと言われていたので、2人目の妊娠が分かったときは「嬉しい!」と同時に、職場復帰したばかりでまた産休にはいることの申し訳なさや、また切迫早産になるのではないかという不安を感じました。

職場の上司にも早めに妊娠報告し、切迫早産で要安静になるリスクがあることを伝えました。時差通勤・在宅勤務など配慮してもらい、大変ありがたかったです。また、切迫早産にならないように、下記の努力をしました。

・上の子をなるべく抱っこしない。重いものは持たない。

・長時間立ち続けない、歩き続けない。疲れたらすぐ座るか横になる。

・通勤中はなるべく優先席で座らせてもらう(目立つところにマタニティマークをつけて、誰も譲ってくれなければ自分から声をかけてでも座らせてもらいました。切迫早産で…と説明するのは大変なので、「すいません、妊娠していてお腹がつらいので席を譲っていただけないでしょうか」というと、大抵の方は快く譲ってくれました。でも、嫌な顔をされることもあったりして、毎朝・毎夕、「すいません…」と頭を下げるのは結構ストレスでした。優先席でスマホを見ていてマタニティマークに気づかない人も多いので、次に職場復帰したら、私はむしろ積極的に優先席に座り、必要そうな人がいないか目を光らせて譲りまくるつもりです。)

しかし、努力の甲斐なく、今回も妊娠7ヶ月で切迫早産と診断されてしまいました。へこみました。

この頃、女友達に送ったライン「たぶん私は体質的に妊娠継続に向いてないんだわ…。働かざるを得ない貧しい農家の嫁に産まれていたら、流産と早産を繰り返していたに違いない」

友達からの返信「前世は貴族か」「今の世に産まれて良かったなぁ」

 

今回も実家で母に家事をお任せし、自宅安静の3ヶ月間を過ごしました。前回と違うのは、上の子のお世話が必要ということです。保育園の送り迎えや土日の外遊びは両親と夫に任せざるを得ず、1歳の息子からは「お母さんはいつも布団に寝ていて、絵本を読んでくれる人」と思われていたと思います。保育園の運動会も観にいけず、悲しかった…。

3ヶ月の安静生活を経て、ついに無事妊娠37週を迎えました。しかし胎児の体重が2400gと小さめなので、「絶対安静ではないものの、あと1週間は安静気味に生活してください」とのこと。やはり体重は2500gあると安心だそうです。そして妊娠38週での検診で「体重が2900g近いので、もういつ生まれても大丈夫。安静解除です」とお墨付きを頂きました。結局、下の子は妊娠39週で3000g超で出産。生後2週間であっという間に体重4㎏を超え、元気いっぱいの新生児です。

 

 

4.切迫早産と診断された人に伝えたいこと

たかだか2回の切迫早産経験者なので、偉そうなことは言えないし、基本的にはお医者さんの言うことを聞いてくださいとしかいえないのですが、

・すごく不安だと思います。分かります。

・でも、前述のとおり、全妊娠の15%は切迫早産になるそうです。珍しいことではありません。

・切迫早産と診断された人の60%以上は、適切な治療を受け、早産にならず、無事に産んでいます。

・いまできることは、安静にして、あまりストレスを溜めないことです。ネット検索はほどほどに、読書したり楽しいTVを観たりして、のんびり過ごしてください。おっさんずラブとかお勧めです。

・安静生活をしていると、動かないので便秘になりがちです。でも、トイレでいきむの怖いですよね。腹圧をかけると、ただでさえ短い子宮頸管長がもっと短くなってしまいそうで…。そんな人には、甘酒、オススメです。私は安静生活を始めてしばらくしてから甘酒を飲み始めて、見事に便秘が解消されました。いきまなくてもスルンと出るようになりました。いくつか飲み比べましたが、八海山の甘酒がダントツで美味しかったです。牛乳で割っても美味しいです。

 

5.電車通勤しているすべての人に伝えたいこと

私は第一子妊娠中、マタニティマークを見せて席を譲ってもらうのが申し訳ないような気がして、あまり優先席付近には行きませんでした。1時間弱の通勤時間をほぼ立って過ごしていました。でも、その後切迫早産になると分かっていたら、そんなことはしなかったと思います。第二子妊娠中は、自分が切迫早産になりやすい体質だと分かっていたので、積極的に優先席に座らせてもらっていました。

でも、「席を譲ってください」と声をかけるのはなかなか勇気がいるし、私ほど図々しくなれる妊婦さんばかりではないと思います。通勤ラッシュ時間帯のサラリーマンはみんな疲れているし、スマホを見ていたり寝ていたりして、目の前の妊婦さんに気づかない人はとても多いです。(目の前の人が松葉づえをついていても気づかない人もいました)

そこで、いまこの超長文を読んでくれた方には、是非とも

・積極的に優先席に座ってほしい

・そして、決して寝ないでほしい

・たとえスマホを見ていたとしても、たまに顔を上げて周囲を見渡し、必要そうな人がいないか確認してほしい

・マタニティマークをつけてる人に限らず、必要そうな人がいたら、優しく明るく席を譲ってほしい

です。

私は来年4月に職場復帰予定ですが、朝晩の通勤では優先席付近で目を光らせる、おせっかい女になるつもりです。立ってる妊婦を見つけたら、「この人に席を譲ってあげてもらえますか?」と言えるようになりたいです。

 

最後に、切迫早産になった私のために様々な配慮をしてくれた職場の皆さん、支えてくれた家族と友人たち、そして早産にならず、健康に生まれてきてくれた息子2人には本当に感謝しています。

無事に産まれてくれただけで親孝行だと思っていますが、成長するにつれて、ついつい賢くなって欲しいとか、イケメンになって欲しいとか…。人の欲望には限りがないなと思います。笑

 

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