ミシェル・オバマ氏の自伝"Becoming"、ついに日本語版が出ましたね。
2019年8月23日に邦題「マイ・ストーリー」として出版されました。
私は昨年11月出版の英語版ですっかりファンになり、Audibleで無料で聞き、さらにKindleでも買って読みましたが、「この英文を日本語でなんて表現するんだろう」と気になったので日本語版も買ってしまいました。まるでストーカーです。
なお、英語版を読んだ(聴いた)ときに、あまりの面白さに大興奮で書いたのが下記の記事です。
そして日本語版を読み始めて思ったことを少しご紹介します。
目次が英語のままだった
原著の”Becoming”は、下記の3部から構成されています。
Becoming Me:幼少期~バラクとファーストキスするまでのミシェルの話
Becoming Us:バラクと結婚し、娘2人を授かり、バラクが大統領になるまでの話
Becoming More:バラクが大統領になり、様々な活動をする話
なるほど、タイトルの”Becoming”はそういうことか…と納得させられるかっこいい目次だなと思います。
そして、この目次を日本語でなんと表現するのか気になっていました。
私が勝手に想像していたのはこんな感じ(ほぼ直訳)でした。
・「私」になる
・「私たち」になる
・その先へ
しかし期待を込めてページを開いたら、なんと目次は英語のままでした。笑
あまりに英語のBecoming Me/Us/More が完璧な構成なので、そのまま残そうと思ったのでしょうか。だったら本のタイトルもBecomingのままで良かったのではないかと…むにゃむにゃ。
目次だけでなく内容についても、いくつか発見がありました。
日本語版より英語版のほうが情報量が多いところ
たとえば日本語版のp9にさらっと「アメリカ先住民にもらった手作りの壺」と書いてありますが、英語の原文では"handmade pots given to me by Native American students"と書かれていました。
日本語版だけを読んでいると分からないのは下記の情報です。
・壺がひとつではなく複数個あること
・壺をもらったのはミシェルであること(オバマ夫妻ではない)
・「アメリカ先住民」は学生(しかも複数名)であること
本の主旨とはたいして関わらない些末な情報ではありますが、こんな短い文章でもこういう「情報のそぎ落とし」がたくさんあるので、やはりこの本に限らず、日本語版を読んで面白かったら英語原文も読みたいなぁと思います。
英語版より日本語版のほうが情報量が多いところ
逆に、さすが日本のプロの翻訳者が日本の読者のために書いてくれた文章だけあって、「米国の地名や文化に詳しくない日本人」が困らないように様々な配慮がなされています。
たとえば、英語版では"Malia's been living and working in New York, finishing out her gap year before college." と、文章内にさらっと"gap year"という言葉が出てきます。
日本語版(p10)だとこの文章は「マリアは大学進学前にギャップ・イヤー(就学前に一年程度、ボランティアやインターン留学などをして社会で過ごす期間)を取ってニューヨークで仕事をしながら暮らしていた。」とされています。
なんて親切な説明文…!
「ギャップ・イヤー」程度なら最近は日本でも知っている人が多いので、実は読者もあまり困らないかもしれませんが、英語版でもりもり出てくる「なにそれ?」という表現について日本語版では丁寧に説明がつけられていて感動しました。
これを昨年私がAudibleおよびKindleで英語版を読んだときは、自分でいちいちGoogle検索したのですよ…。(めんどくさくて検索しなかったものも多いです)
「はじめに」だけでも、このような丁寧な注釈は4つもあります。
・サウスローン(ホワイトハウス南側の庭園)
・キャンプ・デービッド(メリーランド州にあるアメリカ大統領の別荘)
・ギャップ・イヤー(上で説明済)
・ポーリーポケット(小型のドールハウス)
これらはいずれも英語版では何の説明もついていません。普通に日本に住んでいる日本人で「4つとも全部知っている、すぐ意味がわかる」人は珍しいだろうなと思います。私はサウスローンとポーリーポケットは初耳でした。
是非読んでください
日本語版を読んでいると新たな発見があってとても楽しいので、この週末は「マイ・ストーリー」にささげることになりそうです。
この本は本当に面白いので是非読んで頂きたく、未読の方のために、Amazonの商品説明を引用しておきます。
知性にあふれ、モードからカジュアルな洋服までおしゃれに着こなすオバマ大統領夫人――こういったイメージを抱いていた人は、この本を読んで驚くでしょう。
シカゴの貧しい街で育った少女時代。常に努力を続けて入学したプリンストン大学で、学生のほとんどが白人男性であることに打ちのめされたこと。辛い思いをした流産や不妊治療。共働きで子育てをする中で、なぜ自分ばかりが仕事を犠牲にしなくてはいけないのかとイライラし続けたこと。バラクの夢を支えるために、大嫌いだった政治の世界に入り、身を削って選挙のサポートをしたこと。そして何もかもが特殊なホワイトハウスで、二人の娘を“普通に”育てようと必死で努力したこと。大統領夫人として政治に口出しすることは控えたけれど、子どもたちの食生活にもっと野菜が増えるよう企業に働きかけるなど、自分の立場をフル活用して夢を実現したこと。私たちと変わらない悩み多き生活を送る1人の女性の飾らない日常がいきいきと描かれています。
自分の思い通りにならない状況でも、冷静に相手を観察して、一番いい道を選び取っていく。誰かのせいにはせず、自分で考え続け、成長し続ける姿から、刺激とヒントを得られるミシェル・オバマの物語をぜひ体感してください。
紙の本だけでなくAudibleもKindleもあるので、どれを読んだら良いのか分からない…という人は下記をご参考にしていただければと思います。
英語版
・英語力に自信があり、英語の本を読みなれている人:是非とも英語の本で読んでください!Kindleのほうが安いけど、ハードカバーで買うとミシェル家族の写真がカラーでたくさん見られるのでオススメです。でもKindleだと難しそうな英単語に注釈が自動ではいるので、それはそれでオススメ。
・英語の聞き取りを勉強したい/家事などしながら耳だけ使って内容を知りたい人:Audibleでミシェル本人の朗読を聞くことができます。発音がクリアでとても聞き取りやすいので、オススメです。私は英語の勉強のためにAudibleでBecomingをずっと聞いてます。
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日本語版
残念ながらこの本は日本語版がまだAudibleに入っていないので、日本語で読みたい人は紙の本もしくはKindle版しか選択肢が無いです。
ハードカバーで買うとミシェル家族の写真が冒頭にたっぷりカラーで掲載されているので、なかなかオススメです。
でもKindleのほうが持ち運びは便利なんですよね。
なお日本語版の一部(すごく面白いところ!)を集英社の公式サイトで試し読み出来ます。ミシェルからの動画メッセージもありますよ。
私は英語版はKindleで、日本語版はハードカバーで買いました(両方Kindle版だと並べて読み比べられないから)。でも息子たちのために英語版のハードカバーも買って本棚に置いておこうかしら…。
ではでは、良い華金&週末を~!
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