おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

NHK『映像の世紀』を15年ぶりに視聴して、15年分の自分の成長を感じている話

NHKの「映像の世紀」全11作の再放送、2週間かけて全部観ました。

av.watch.impress.co.jp

 

下記ブログで書いたとおり、私はNHKの「映像の世紀」が大好きです。

初めて観たのが高校3年生の頃なので、もう15年前になります。

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目次

 

15年前に観た時との比較

圧倒的な知識量の差

当たり前ですけど、15年前に比べて私は圧倒的に知識量・経験量が増えました。

高校3年生だった私は、この番組に出てくるほとんどの国に行ったことがなくて、その国の人にも会ったことがない状態でした。33歳の私は、旅行や出張でその国に訪れた経験があったり、画面に映される場所に実際に行ったことがあったり、その国の人と会ったことがあったり、その国の人と友人だったりします。15年前に比べて、同じ映像を見た時に感じるリアルさや共感度合いが圧倒的に高いです。

33歳の私は、キング牧師の演説を観ながら、ああこの場所はオバマ元大統領の大統領就任の時にも人で埋め尽くされたよなあ、と思ったり、私がリンカーンメモリアルに行った時のことを思い出したりしました。

また、ベトナム戦争から帰還する米軍兵士の笑顔を見ながら「でもこの人たちは、帰国後にPTSDで苦しむことになるんだなあ…」と思ったりしました。

 

私は大学生の頃に、ベトコンが掘った地下トンネルに入ったことがあります。狭くて暑くて息苦しかったです。

※写真左上はベトナム人のガイドさんが「ここに入ってごらん」と指差しているところ、右上は私が穴に入って蓋をしようとしているところ、下は私が蓋をしたあとでガイドさんが葉っぱをならして穴の場所を分からなくしているところです。ベトコンはこうして地中に潜って、米軍兵士相手のゲリラ戦を展開したそうです。

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18歳の私も「映像の世紀」でベトナム戦争の映像を見て色々考えましたが、33歳の私はベトコンのゲリラ戦を観た時に、22歳で体験した地下トンネルの暑さや息苦しさまで思い出すわけです。

 

『映像の世紀』はひとつ74分ですが、時間や編集の都合もあり全ての歴史を詳しく扱うことはできません。視聴者側に知識があればあるほど、同じ映像を見たときに頭の中の知識がつながっていくのでしょう。

私がさらに15年後に『映像の世紀』を観たら、もっと考えることが増えているはずだと思います。

 

母になった私

また、「18歳の子供だった私」と「母親になった私」とで、同じ場面を観た時に抱く感情が違うようにも思いました。

18歳の頃に「映像の世紀」を観ていたときは、「自分がそんなふうに死ななければならなかったら」と想像して恐怖を感じていましたが、今は「我が子がそんなふうに…」と想像してしまうので、一層の恐怖や怒りを感じます。

 

英語力の差

18歳の頃の私は、この番組で話される英語の1割くらいは聞き取っていたのではないかと思います。もちろん日本語字幕がついているので、内容は字幕のおかげで一応理解していました。

33歳の私は、話者の速度や訛りにも影響されますが、この番組で話される英語の9割くらいは聞き取れています。特に米国大統領やキング牧師の演説のように聞き取りやすいものであれば、たぶん全文書き起こせるくらい聞き取れます。

そうすると、日本語字幕には表現されない意味合いや、もとの英語の持つニュアンス、その英単語が使われる他の文章表現などもわかるので、日本語字幕だけで理解していた18歳の頃に比べて、圧倒的に内容理解が深いと思います。

 

映像の世紀を観ながら思い出した本や映画、ミュージカル

映像の力はすごく強くて、観ているとさまざまなことを思い出します。これまでに読んだり観たりした本や映画、ミュージカルもたくさん思い出しました。下記はその例です。

大地の子

中国残留邦人という言葉を耳にすると必ず思い出します。山崎豊子の名作。 

日本軍にあれだけのことをされながら、取り残された日本人の子供を我が子として育ててくれた中国人養父母の人徳よ…。

 

戦場のピアニスト

第二次世界大戦時のワルシャワを舞台にした映画です。2002年の公開ですね。

ドイツ軍に占領されたポーランドで、ユダヤ人の生活がどんなものだったのかがよくわかります。

 

屋根の上のバイオリン弾き

迫害されるユダヤ人、という意味ではこの名作ミュージカルも脳裏によみがえりました。

主人公テヴィエの台詞に"Dear God, (中略) I know, I know we are the chosen people. But once in a while, can't you choose someone else?" というのがあります。選ばれし民としての尊厳と、次々に降りかかる災禍への嘆きが端的に表されているなと思います。

私は日本語版は観たことがないんですが、今年も日生劇場で上演されていたようです。

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李香蘭

映像の世紀(6)に李香蘭が登場しました。劇団四季の李香蘭、すごく良い舞台だったんですよね…久しぶりに思い出しました。

私はこの舞台を母親と2人で観に行きました。公式サイトによると「現在、公演の予定はございません」「再演の希望は後を絶ちません」とのこと。再演してほしい!

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Allegiance

第二次世界大戦時の日系米国人の強制収用のシーンがあって、この舞台を思い出しました。Allegianceについては何度かブログで書いています。

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ドリーム

ソ連と米国の宇宙開発競争を見ていて、米国の航空・宇宙産業を計算手として支えた黒人女性たちを思い出しました。原作小説が素晴らしい映画になっています。NACAにおける黒人女性計算手の働きで、第二次世界大戦での日本への効果的な空襲や原爆投下が可能になった、という描写もあるので、日本人としては複雑な気持ちになりますけどね。

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愛の不時着

38度戦で朝鮮半島が北と南に分断されて、朝鮮戦争が勃発。今も「休戦」状態なので、戦争は終わっていません。

去年ネットフリックスで観て見事にハマった「愛の不時着」を思い出しました。これは本当に良いドラマでしたね。また観たい。 

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ミス・サイゴン

ベトナム戦争末期の場面ではこのミュージカルを思い出さざるを得ないですね。

これは学生の頃に帝国劇場で観ました。 来年の夏は日本初演30周年記念公演とのこと!観に行きたいなあ。

母親になった今観たら、学生の頃に観た時とはまた違った感想を抱きそうです。

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「映像の世紀」と各種作品、どちらを先に見ても良い

私は史実を題材にした本や映画、ミュージカルがわりと好きなんですけど、もしかして「映像の世紀」を観たおかげで、こうした作品に触れたときに史実を映像と共に思い出せるようになったのかもしれません。

作品を見てから「映像の世紀」を見ると作品を思い出して感情移入するし、「映像の世紀」を見てから該当する歴史を扱った作品に触れると「映像の世紀」の映像を思い出してリアリティを感じるし、「映像の世紀」のおかげで私の人生は間違いなく豊かになっていると思います。

 

 

おまけ①:映像の世紀(1)を見終えた直後の感想

頭に残って離れないのが、「衝撃的な映像」として紹介された英国のダービーでの一場面(1912年)です。 婦人解放運動の闘士だった女性が、国王の持ち馬の進路に飛び出し自殺した瞬間が映像に残されています。

女性の参政権を求めた死の抗議だったそうですが、居合わせた男性の群衆からはレースが御破産になったことで彼女を罵る声が湧き上がったと。

・女性の名前はエミリー・デイビソン

・英国で婦人参政権が認められるにはなお15年の歳月を要した

 

もうひとつ、動く映像が発明され20年も経たないうちに「刺激的な映像」が求められ始めた…という文脈で紹介された事件。

・エッフェル塔の展望台から自作マントを羽がわりに飛び降りようとする男性

・飛び降りをためらう男性の後ろには興行師が2人

・奇抜なショーを演出しようと興行師が金を払ったので、男性はもう後には引けない

・カメラマン達は衝撃的瞬間を待ち構える

・「このショーは男の即死で幕を閉じました」

エッフェル塔から飛び降りる前にもっと低いところから自作マントで本当に飛べるのか確かめなかったの?とか、いくらお金をもらっても死んだら使えないのに…とか、観客が待ち構えていた「衝撃的瞬間」とは人の死だよね?とか、私の頭は大混乱しました。

現代でも危険な自撮り(エクストリームセルフィー)の死亡事故が後を絶たないですけどね… お願いだからそんなことで死なないでほしい。

toyokeizai.net

 

おまけ②:映像の世紀(2)を観て初めて知ったこと

・第一次世界大戦が予想外に長引き、砲弾の製造が間に合わなくなり、勤務時間を少しでも長くするためにサマータイムの制度が作られた

 

おまけ③:映像の世紀(6)を息子たちが国旗を学ぶ頃に見せたい 

 

 

おしまい

全11作の感想を全部書いているとブログが長くなりすぎるので書きません!

NHK様、映像の世紀という素晴らしい番組を作ってくれて、そしてこのステイホームの夏に一気に再放送してくれて、本当にありがとうございます。

 

 

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