用事と用事のあいだに1時間くらいあったので、タサキ銀座本店に立ち寄りまして。
店員さんのご厚意でそれはそれは心躍る時間を過ごしたので、そのときの気持ちをそのまま日記に書くことにしました。
美術品のようなジュエリーに囲まれて
私がもともと見せてもらおうと思っていたお品を店員さんが用意してくれている間に、なんとなくフロアに飾られているジュエリーをながめていました。
どれも素敵ではあるんですが、なかでもひと目みて「わ…」と声が出たジュエリーがありました。もうこれは買うとか買わないとかそういう域を超えた人類の財産的な美術品ですね…と近くにいた別の店員さんに話していたら、その方がちょっと楽しそうな目をしまして。
ガラスケースの中に静かにおさまっていた美術品が、うやうやしく鍵を開けられて、真っ白な手袋をつけた手でそっと空中に持ち上げられて、ゆっくりと私のほうに近づいてくるのです。
まさか、まさかそれを私の首にですか…?と内心で大騒ぎしている私に向かって「せっかくですから」とにこやかに仰る店員さん。
どうしよう首から汗をかいたらこの真珠に私の汗がついてしまう…いや首はそんなに汗腺が発達してないから大丈夫か…冷や汗をかかないように精神統一しなければ…
ひんやりとした真珠の重みを感じながら全身鏡の前にそっと立つ。うわあ。うわあ。これは完全に私が負けている。この真珠のオーラに見合う大人になるには人生経験が足りなさすぎる。
店員さんがなにか誉め言葉を言ってくれているような気がするが、私にはわかる。これは私には分不相応な美術品だ。
金額的には…ちょっとした家が建つくらいのお値段。すごい。でもきっとそれだけの価値がある。
ドキドキしすぎてちょっと記憶が飛びまして、
このあとの話の流れは忘れましたが、とっても素敵な一点物のリング(大粒の黒真珠とダイヤモンドと白い真珠が組み合わされたもの)とも出会いました。私が大富豪だったら衝動買いしていただろうと思うような、恋愛感情に似た気持ちを抱かせるリングでした。
想定外にとんでもない濃密な時間を過ごしてしまいました。
電車に乗って家に帰って、あわただしい日常の夜を過ごして、洗い物を終えて炊飯器に米をセットして、子どもたちが寝ている横にそっと寝転がりながら、今日触れた真珠のジュエリーたちのことを考えます。
もう5年以上このガラスケースの中に飾られていると教えてもらったあのネックレス。この1点しか作られていないし今後はもうこのデザインでは作れないと教えてもらったあのリング。
私の首や指に数分間ずつ滞在してくれた美しい芸術品たち。あのオーラの残り香で、今夜の私は昨夜の私より少しだけ美しくなっている気がする。
きっと私があのネックレスを購入する日は来ないけど、
(そんなお金があるならこれから家を建てるときに全面床暖房にして太陽光発電と音響付きバスルームとロフトと吹き抜けを作ると思う、あと台所をLIXILのリシェルにする)
あんなオーラのある美術品に負けないような品格のある人間にいつかなりたいと思わせてもらった。
あのリングは今後もしかしたら買ってしまうかもしれない。いや落ち着こう。買わないって。
【合わせて読みたい】