おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

読書記録:ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち

映画「ドリーム」(原題:Hidden Figures)の原作本をついに読みました。

知っているつもりのアメリカの歴史に異議をつきつける本

著者のお父さんがNASAで働く黒人男性で、ドリームの登場人物たちについてはそもそもお父さんから教えてもらったそうです。
主役の1人であるキャサリン・ジョンソン氏が存命(取材当時93歳、いま100歳!)であるうちに、綿密なインタビューができてこの本が産まれたことを私も神に感謝したい。
著者の言葉を借りれば、「人種隔離の時代に、南部にあるNASAの施設で、黒人女性が数学者として雇用されていたという事実は、私たちが知っているつもりでいるアメリカの歴史に異議を突きつける。…これはすばらしい物語だ。」

 

私がこの本を読んで初めて知ったこと

読み物としても面白かったけど、へー!知らなかった!!ってことがたくさんありました。

・第一次世界大戦における航空機供給不足を解消するためにNACA(NASAの前身)が設立。
・第二次世界大戦で、米国は航空産業のトップに
・戦争の人手不足のおかげで黒人女性も計算手として雇用される
・NACAにおける黒人女性計算手の働きで、第二次世界大戦での日本への効果的な空襲や原爆投下が可能になった
→黒人女性の活躍ぶりをワクワク読んでいて、ここで「そうか…そうくるか…」とちょっと凹みました

・1940年から1942年にかけて、この地域の人口は膨れ上がった…軍人の数は10倍に増えた…戦争は24時間操業(8時間勤務の3交代制)だ。
→戦争でもちゃんと勤務3交代するんだ!という驚き。日本がどうだったか知らないけど…

・世界の人口の80%は有色人種(1956年当時)。ソ連は米国内の人種政策を政争の具にし、アジア・アフリカ諸国を味方につけようとする。米国では黒人外交官がホテルやレストランで入店拒否されるなど、ソ連陣営に極めて効果的な宣伝材料を与えてしまう。
→この外圧のお陰もあって米国は人種隔離の禁止に向かう。

全編を通して、黒人差別&女性差別のダブルパンチにも負けず、勤勉に助け合いながら職務に邁進する女性たちの活躍ぶりに「私ももっと頑張らねば」と思わされる本でした。また映画も見直したい。

 

原作本はKindleで読みました。

 

映画のほうもオススメです

映画『ドリーム』は、史実とは少し変えたところもありつつ、ストーリーも見せ方もすごくうまく作られていると思います。60年代のアメリカで、黒人で、女性であるということがどれほど不利だったのかギシギシ伝わってくるし、その一方でNASAの計算係として活躍した彼女たちの有能さ、強さが眩しい映画でした。

タイトルは「歴史の陰に隠れた人々」であり、「隠れた数字」という意味もあるんですかね。

いま私の中で「息子に観せたい映画」暫定一位です。この面白さが分かるのは10年後くらいかな…。

 映画はこちら。

 

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