おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

NHK性暴力 実態調査アンケートに回答協力しました

NHKのアンケート、もう回答されましたか?

 

性別も年齢も問わない、性暴力に関する実態調査アンケートです。

「自分は性暴力なんて受けたことはない」と思った方も多いかもしれませんが、選択肢には「からかいなど、性的なことばをかけられた」「衣服の上から体を触られた」なども含まれています。思い当たることがある方は、男性も女性も回答できるアンケートですので検討してみてください。ただし回答負荷はかなり高いので無理はなさらず。

締切は4月30日です。

forms.nhk.or.jp

 

すごく配慮されたアンケートだと感じました

・アンケート冒頭に「被害について思い出したり、ことばにしたりすることは負担を伴います。どうか、途中で気持ちが苦しくなった場合は、無理をせず回答を中止してください」と明記されている

・性別を聞く質問が丁寧だった(性自認の選択肢に「男性」「女性」以外が用意されている。出生時の戸籍上の性別についても別途設問がある)

・被害者に自責の念が生じかねない設問では、ちゃんと「被害者がどのような状態であっても、意に反した性的言動は性暴力であり、悪いのは加害者です」などの但し書きが添えられている

・回答終了後に出てくる画面に、性暴力ワンストップ支援センターの電話番号が掲載されている(下記画像をご参照ください)

Image

画像出典:NHK性暴力実態調査アンケート

 

 

それでも回答するのはきつかったです

なにせ「ご自身の中で『最も衝撃を受けた被害』についてご回答ください」と指定されているので、

①過去の被害経験を複数思い出して

②どの被害が自分にとって「最も衝撃を受けた」被害なのか考えた上で

③その被害について詳細にアンケート回答する

というプロセスになります。まあきついです。

 

私が今回回答した被害の詳細をここに書くことはしませんが、以前書いた痴漢の被害経験についてのブログには書いていない件です。

www.shiratamaotama.com

 

上記のブログを書くときに、なぜこの被害経験については省略したのかというと、「これは人には話せない」と思ったからです。その気持ちは今も変わっていないので、ここには書きません。

今回NHKのアンケートに回答する際も、匿名にするか実名を記載するか選べるわけですが、結局匿名にしてしまいました。NHKを信用していないわけではないのですが、私はこの被害経験を自分の名前と紐づけられることを恐れているのだなと自己分析しています。

ちなみにこの被害を受けたときの私の年齢は6歳でした。

 

回答を集計分析する人が心配です

どんな方々がこのアンケートを集計・分析するのか存じ上げませんが、NHKの職員さんなのでしょうか。

他人の性被害のうち「それぞれの人にとって最も衝撃を受けた」被害についてこれほど詳細な状況を自由回答ありで収集されたら、ひとつひとつを読むだけで大変な心理的負担があるだろうと想像しています。

少なくとも私は読みたくないですね。知らずに済むなら知らないままで生きていきたいとも思います。今回のアンケートも、回答する前の自分の方が回答した後の自分より幸せだったと思います。回答することによって思い出したくないことを思い出すし、人の被害を聞けばその被害を想像して辛くなります。集計・分析に当たるNHKの職員さん自身にも何かしらの性暴力被害経験があるかもしれないし、集計・分析作業によって辛い思いをすることもあるのではないか、と勝手に心配しています。どうぞご無理のないように…。

 

こんなことを思いつつ、それでも私が回答に協力したのは、性暴力被害の実態調査に社会的な意義があると思ったからです。

 

こちらの記事は是非読んで下さい

Twitterで随分話題になっているのでもうお読みになった方も多いかもしれません。

実は私がNHKの性暴力の実態調査アンケートを知ったのは、この記事の末尾にアンケートについて書かれていたからでした。

www.nhk.or.jp

 

上記の記事から一箇所だけ引用します。

裁判官のみなさまは、法律については専門家です。でも、ジェンダーや性暴力の問題については、まだまだ実情を知らない部分もあるのだと、心に留めていただきたく思います。

(引用:“性暴力”裁判 被害女性が語った15分のことば

 

性暴力の問題について実情を知らない人が(裁判官に限らず)多いのは、その人自身の問題というよりも、社会全体の問題なのだろうと思います。被害について語る人は多くないし、加害について語る人も多くない。

以前私が書いた痴漢についてのブログに、「大学時代に同世代の友人5人くらいと痴漢の話題が出たことがありますが、痴漢や性犯罪をしたことがあるという友人は皆無でした」とコメントをくれた20代男性がいました。

私のブログを読んでくれた友人男性から、「痴漢の被害をこんなに受けてる人がいるなんて初めて知った」と言われたこともあります。

 

「私は痴漢被害/性犯罪被害を受けたことがある」と積極的に言わない理由は色々あります。相手の反応が怖い、被害者としてのレッテルを貼られたくない、被害者にも落ち度があったのではないかと言われるのが怖い、など。言うメリットはあまりないけどデメリットはたくさんあるわけです。「痴漢被害者なんて見たことも聞いたこともない」と言う人がいるのはよくわかります。

 

だからこそ、今回のNHKのアンケートのように、専門家の監修を受けた信頼できるアンケートで、回答者の心理にも配慮しながら、性暴力の実態について丁寧な調査をすること、そしてその結果を適切な形で社会に発信することには、大きな意義があると思っています。

 

これは私が上記の記事を読んだ時のTweetです。

 

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