おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

子育てにナッジを応用したい

ナッジ、流行ってますよね。

 

ナッジとは(nudge:そっと後押しする)

行動経済学的手段を用いて、選択の自由を確保しながら、金銭的なインセンティブを用いないで、行動変容を引き起こすことがナッジである。

(中略)

例えば、カフェテリアで果物を目の高さに置いて、果物の接種を促進することはナッジである。(『行動経済学の使い方』p45)

 

大竹文雄著『行動経済学の使い方』を読みました。すっごく面白かったです。

 

「お腹が空いているときにスーパーに行ってはいけません!」とか 「なぜO型の人は他の血液型の人よりも献血に協力しがちなのか?」とか、もっと売れそうなタイトルはあったと思うんですが、この『行動経済学の使い方』という真面目で武骨なタイトルをつけてしまうところが…大竹先生、好きです。

 

私が特に面白いと思ったこと

・精神的あるいは肉体的に疲労している時には、意思決定能力そのものが低下する。よって、金銭的な苦境にある人、仕事があまりに多忙な人、医療現場における患者などについては、本人の意思決定能力の低下を考慮する必要がある(p36)

・ナッジの設計で一番重要なのは、本人自身が自分の行動変容を強く願っているのか、それとも、本人があまり気にしていなかったことを気づかせて行動変容を起こさせるのか、どちらのパターンなのかを見極めること(p50)

・長時間労働は感染する(p107)

・デフォルトの活用は効果的。例えば千葉市では「育休を取得する際にその理由を申請させていた」制度を、育休取得をデフォルトにして、「育休を取得しない場合にその理由を申請させる」制度に変更したことで育休取得率が大幅に向上した(p107)

・人は金銭的な報酬だけを目的に仕事をしているわけではない。意味のある仕事ができたと認識できると意欲が増す。①仕事そのものに意味があると実感できること、②仕事をしたことが実感できること(成果を記録するのがオススメ)、が大事(p127)

・習慣化できるルールを作ると良い。「3か月後に3キロ減量する」目標を立てるよりも、「毎日7000歩以上歩く」目標のほうが、努力を先延ばししづらく、日々の達成感を感じやすく、何をするかを毎日考える必要もないので、結果的に長期目標を達成しやすい。(p138)

・人は利得より損失を強く感じる。「今年度、大腸がん検診を受診された方には、来年度、『大腸がん検査キット』をご自宅へお送りします」という利得メッセージよりも、「今年度、大腸がん検診を受診されないと、来年度、ご自宅へ『大腸がん検査キット』をお送りすることができません」という損失メッセージのほうが、受診率は高まる(p144)

 

子育てに役立ちそうなこと

・ランダムな要因で数字が変動している場合、統計的な性質として「平均への回帰」が起こる。が、平均値よりも高い数字が出ると次は低くなるという因果関係があるように誤解しがち。そして民間療法に効果があったと信じてしまったり、失敗したときに叱ると次回に成果が出ると勘違いしてしまったりする。

子育てをする際に、うまくいった時に褒めるよりも、失敗した時に叱って、その効果があると思われたり、学校のクラブ活動で体罰が有効だと思われたりするのも同じである。(p38)

→「失敗したときに叱ったら次回は成果が出た」というのは因果関係ではなく、たんなる平均への回帰である(可能性がある)、というのは覚えておきたいです。できれば、失敗したときに叱責するよりも、うまくいった時に褒めることで子どもを伸ばしてあげたいなと思います。

 

・男性の方が競争を好み、自信過剰な傾向にある。例えば9~10歳の子どもに徒競走させる実験では、女子は1人で走っても2人で走ってもタイムは変わらないが、男子は1人で走るよりも競争して走った時のほうが速く走ることができる。ただしこれは遺伝ではなく文化や教育による形成であると推測されている(女子校の生徒は共学の女子生徒よりも競争的報酬体系を選ぶ傾向にある)。

→これは男児を育てる母親としては大変参考になりました。考えてみれば、3歳長男は1歳長男と「よーい、どん!」と競争させると、着替えも手洗いも素早くできます。私自身はあまり競争を好みませんが、もしかして息子たちは私よりも競争を好むかもしれないぞ、と頭の片隅においておくことにします。

 

人には様々なタイプがあり、ナッジの応用に絶対の方法はないので、効果がありそうだと想定される手法を実際に検証してみることで本当に効果があるかを確認するという手順がとられます。(ナッジの設計について、詳しくは本書のp46~を参照ください)

子育てにおいても、子どもの性格や様々な要素が関係してくるので、「こうすれば必ずお手伝いしてくれる」「自分から勉強するようになる」「非行にはしりづらくなる」という絶対の手法は無いんだろうと思います。

でも、ナッジの基本をこの本で学べたので、自分や家族の行動を「軽く肘でつついて(=ナッジ)」、よりよいものにするように誘導していきたいな、と思います。

 

子育てへのナッジ応用の実践例

例えば我が家では、「歯磨きして!」ではなく、「ブドウ味とイチゴ味(の歯磨き粉)、どっちがいい?」と言うのがなかなか効果的でした。歯ブラシを「するかしないか」の選択肢から、「どの歯磨き粉を使うか」の選択肢に子どもの思考をずらす、というのは立派なナッジの実践ですね。

我が家ではブドウ味とイチゴ味の歯磨き粉を常備しています。

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以前のブログにも書いた、「ちょっと待って」の代わりに「いいよ、10秒数えて」と言うというのも、まさにナッジの活用だなと思います。

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また、「早くお風呂から出て!」の代わりに珪藻土バスマットを用意して「足あとつけて~」というのもナッジですね。

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「オムツはいて」という代わりに、「オムツどっちの足から履く?」と聞くとうまくいくこともあります。これもオムツを「はくかはかないか」の選択肢から、「どちらの足からはくか」の選択肢に子どもの思考をずらす作戦です。

 

「2歳を過ぎたら寝る前の5分間でその日の出来事を振り返る」など、良い行動を毎日の習慣としてとりいれるのもナッジ(デフォルトの活用)と言えそうです。

0~3歳児の習慣づけは下記の本が詳しいです。

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さらに、子どもの目線の高さに本棚を設置する(+読んでほしい本は背表紙ではなく表紙が見えるようにする)、食べてほしい野菜などを子どもの近くに配膳する、などもナッジですね。

 

こうして考えてみると、育児中のお父さんお母さんの多くが、無意識のうちにナッジを活用されているのかもしれません。

 

私が実践中のナッジを簡単にまとめると、こんな感じです。

・「歯磨きして!」の代わりに「ブドウ味とイチゴ味(の歯磨き粉)、どっちがいい?」

・「オムツはいて」の代わりに、「オムツどっちの足から履く?」

・「ちょっと待って」の代わりに「いいよ、10秒数えて」

・「早くお風呂から出て!」の代わりに珪藻土バスマットを用意して「足あとつけて~」

・寝る前の5分間でその日の出来事を振り返る

・子どもの目線の高さに本棚を設置する

・読んでほしい本は背表紙ではなく表紙が見えるようにする

・食べてほしい野菜などを子どもの近くに配膳する

 

他にもオススメの育児の工夫があれば是非教えて下さい。

帰宅したらまず洗面所にいって手を洗う(私に言われなくても)習慣にしたいな、とか、保育園で遊んでいていつまでも帰ろうとしないときの声掛けとか、兄弟でオモチャを奪い合うときに私がすべきこととか、絶賛悩み中です。なんとか工夫したい。

 

おまけ

血液型がO型の人は、他の血液型の人よりも献血に協力する傾向にあるそうです。これ、なぜだか分かりますか?

O型の人が特に利他的な性格というわけではありません。

 

理由が知りたい方は是非『行動経済学の使い方』p197をお読みください。

 

その後の話

なんと、著者の大竹先生ご本人がこのブログ記事を読んでくださいました。

さらに読むべき研究も教えて頂いたので、続きのブログ記事も書きました。

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