おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

友だちの数で寿命は決まる

石川善樹著『友だちの数で寿命は決まる』を読みました。面白かったです。ここ最近読んだ本の中で、「雑談に使いたい本No.1」です。

 

石川善樹氏は予防医学の専門家で、この本のテーマは「科学が証明する『つながり』の驚くべき健康力」です。

 

「つながり」(人間関係)はこんなに大事

・「つながり」が少ない人は死亡率が2倍になる

・同僚があなたの寿命を決めている(上司が友好的であるかどうかは死亡率にほぼ無関係で、同僚によるサポートが寿命に影響大)

・男子校出身者は早死にする ←未婚率の高さと、人生の早い段階で受けるストレスが原因の可能性。なお女子校出身者の寿命は共学出身者と変わらない

※この本では、男子校出身者の「つながり」が単調になりがちなこと、未婚率が高い(独身は健康に悪い)こと、人生の早い段階で女性が少ない環境におかれるストレスをあげています。ちなみに「人生の早い段階で女性が少ない環境におかれると寿命が短くなる」についてはハーバードの研究結果があります。寿命の差は65歳時の平均余命のわずか3ヶ月ですが、この研究によれば「適度な運動の有無と同じくらい重要」だとか。

・お見舞いに来てくれる人の数で余命が変わる ←同じ病院で同じ治療を受けた患者でも、誰もお見舞いに来ない患者は70%が6ヶ月以内に亡くなるが、2人以上お見舞いに来ると6ヶ月以内の死亡率はわずか26% ←大事な人が入院したら、積極的にお見舞いにいこう!!!

・女性が長生きなのは「つながり」を作るのが上手なことも関係する

・「つながり」が幸せ感を高めてくれる

 

「つながり」の作り方

例えば下記を実践すると、自分が健康になり、寿命がのびる。

・同僚と雑談する機会を増やす ←なお、成功談よりも失敗談をよく話す(自分の弱さをさらけ出す)のが良い

・SNSで交流する ←ポジティブな投稿を多くみた人はポジティブな投稿をするようになり、逆もまた然り。感情は伝染する。

・配偶者に笑顔で「ありがとう」を言う

・両親に感謝の手紙を書いてみる ←英国の「感謝の訪問(Graitude Visit)」に注目。これは英国の国民保健サービス(NHS)が呼び掛けている国民運動で、両親やお世話になった人に感謝の手紙を書き、自分でその人のところに届け、目の前で朗読するというもの。相手は故人でも良い。心理学で有効性が認められ、国内外で反響を呼んでいる

・地域でのつながりが少ない男性は、定年後、例えば犬を飼うと良い

 

その他、面白かったことメモ

・作り笑いでも寿命は2年延びる。なるべく笑顔でいよう

・男性は息子の嫁に介護されると長生きし、女性は夫に介護されると長生きする

・男性のストレス反応は「戦う」か「逃げる」の2択だが、女性はそこに「しゃべる」という第3のストレス反応がある。夫婦喧嘩で妻がどんどんしゃべるようになり、夫が黙る(逃げる)のは自然なこと

・女性のほうが平均寿命が長いので、男性は歳を取るほど周りに女性が増えることになる。超高齢化社会を生きるには、女性といかに仲良くするかが大事

・感情や行動は3次の隔たりにいる人まで伝播する(例:私→夫→夫の上司→上司の妻) ←私がご機嫌だと、夫の上司の妻まで少しご機嫌になる!ただしネガティブな感情のほうが伝播しやすい。

・バンク・オブ・アメリカのコールセンター(全米に8か所)の生産性が大きく異なる要因は、「雑談の多さ」だった。コーヒーブレイクの時間を揃え、コミュニケーションを促すことでパフォーマンスの低いチームの生産性が2割上がり、コールセンター全体でも8%パフォーマンスが上昇した。また、仕事帰りに飲みに行くよりも、休憩時間の雑談のほうが「つながり」が増えやすい

・コミュニティには責任ある立場で属したほうが長生きする(会計係でも飲み会の幹事でもなんでも良い)

・低脂肪食品は太りやすい(ハーバード大学のDr. Walter Willettが詳しい)

・幸せの根源は3パターンある。①快楽パターン(美味しいものを食べるなど)、②意味パターン(世のため人のためになる)、③没頭パターン(寝食を忘れて何かに打ち込むことに幸せを感じる)。人は誰しも3パターンの要素を少しずつ持っているが、どの要素が大きいかについては遺伝子の影響が強い。

・年収700万円までは収入の増加に伴って幸福度も上がるが、そこから先はあまり変わらない。

・愚痴ると老ける ←愚痴るときは過去の「愚痴りたくなる状況」を脳内で再現してしまうため、ストレスがかかり、細胞の寿命が短くなる。

・人を思いやると自分のストレスが減る。”I want you to be happy"を口癖にしよう

・幼児(2歳未満)の実験で、「幼児はお菓子をもらうことより、与えることのほうに喜びを感じる」とわかった ←遺伝子レベルで利他的な行動がプリセットされている

 

全然まとまらないメモですいません。完全に自分用です…。

本文中で、しっかりした科学的根拠のあることと筆者の意見(根拠があるかは不明)がちょっと混ざっているのが残念ですが、予防医学の専門家による一般向けの本としてはとても読みやすいし面白いです。

 

もう一冊オススメ

石川善樹氏の本は、今年の4月に出版された「問い続ける力」もものすごく面白いです。イノベーションに関心がある人、「正しい問いを立てるには?」を考えてみたい人にはオススメです。

 

なぜか絵本も書かれてます

あと、なぜかAmazonの著書リストに絵本があったので読んでみました。石川氏が奥様と共著で書かれた絵本で、タイトルは「たす」です。

あとがきには下記のように書いてあります。

私たちは研究者の夫婦です。2歳になる息子がいて、絵本を読み聞かせているのですが、あるとき「理系の人が作った絵本」がほとんどないことに気がつきました。ないなら、作ろう!(中略)

最初に「たす」でたっぷり遊んでおくと、将来さまざまな数式と出会ったとき、それが有意義で楽しいものになります。 

 

私の2歳長男はこの絵本がなかなか気に入ったようで、「りんご、いっぱい!」と喜んでいます。絵も可愛いので、割とオススメです。

唯一の不満はリンゴジュースが出てくるところかな。(前にこちらのブログでも書いたとおり、私は子供にフルーツジュースはあまり飲ませません)

 

 

余談:おもしろい講演会は夜ばかり

石川さんの著作がどれも面白いし、講演も評判が良いので、私も講演を聞きに行こうと検索してみたのですが、ここ2~3ヶ月ほどに開催された彼の講演会はどれも夜(19時~21時くらい)なので諦めました。子どもたちの夕飯や授乳、入浴、寝かしつけなどを考えると、少なくともあと1年は夜のイベントには出られないかな。残念…。

 

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www.shiratamaotama.com

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