”美しさを感じとれる人になってほしい。” 加古里子先生が、長い間いだきつづけてきた願いが実を結んで生まれたのが、この絵本です。
”美しい絵とは?” "なぜ美しいのか?"という問いに、正面から取り組んだ、はじめての美術入門の絵本です。
(『うつくしい絵』そで部分より引用)
かこさとし著『うつくしい絵』を読みました。とても美しい絵本でした。
1974年出版の本ですが、ロングセラーになっているようです。Facebook友達からオススメ頂いて読みました。
この本は表現形式にもこだわっていて、いっさい漢字を使わず、「ページをめくったときに目にはいってくる本全体の美しさを重視」して作られています。
幼いときから美しい絵に触れさせたいという加古先生の願いが込められた本とのこと。
私がこの本のおかげで考えたこと
なぜモナリザは美しいのか?
なぜゴッホの絵は人の心をゆさぶるのか?
悲しい辛い題材であっても美しく感じられる絵にはなにがこもっているのか?
北斎の版画はなぜ世界中の人を驚かせるのか?
ピカソのゲルニカはなぜ素晴らしいのか?
それぞれの絵について、加古先生による説明が美しい表現で書かれていますが、読みながら「言われてみれば、私はなぜこの絵をみて美しいと感じるのだろう?」といちいち考えさせられる本でした。
例えばモナリザであれば、①描かれた女性の表情やそっと重ねた手などの優しい様子だけでなく、②ダビンチが服の下に隠れた筋肉や骨の様子まで詳しく研究して描いたこと、そして③ダビンチが神を人間と同じように生き生きと描こうとし、美しい「人の心」をもって絵を描いたこと、などが説明されています。
※これは私のつたない要約を読むよりも、この絵本の本文を絵とともに眺めていただいたほうが味わいがあって良いと思います
長く読んでほしい絵本です
3歳長男も1歳次男もまだそこまで深くは考えていないと思いますが、彼らなりに面白くこの絵本を読んでいるようです。3歳で読むのと6歳で読むのと10歳で読むのと、きっとそのときどきで感じるものが違うと思うので、是非この絵本をたまに読んであげたい(自分でも読んでほしい)と思います。
この本の最後の一文が素敵でした。
うつくしい えを かんじとれるひとに なってください。
では、もういちど、ひょうしから、しずかに じっと うつくしい えを みてください!!
(『うつくしい絵』最終ページより引用)
なお、あとがきによると、この本にはちょっとした批判も込められているそうです。
第三は、私たち庶民の生活とは無縁なところで、近代的と称して動いている画流や現代芸術論とやらにたいする疑問と批判をひそかにこめておきました。
(『うつくしい絵』あとがきより引用)
うーん、面白い。
この絵本を「小さい頃に持っていた、なつかしい!」という友人いわく、「たぶん私の美術館好きに大いに寄与した本」だそうです。彼女はこの本でゲルニカを初めて見て衝撃的すぎて直視できなかったとのこと。
我が家の3歳長男はゲルニカを見ながら「この人はなんで泣いてるの?」などと聞いてくるので、子どもにも絵の迫力は通じているのかな、と思っています。
他の美しい絵本も気になるようになってきました
この絵本を読んだせいか、「美しい絵本」が気になるようになってきてしまいました。
最近は、マーカス・フィスター氏の絵本にときめいています。
この哲学的すぎる美しい絵本に出会ってから今日で丸3年。いまだに読み返すと新鮮な気持ちになります。
— おたま@男子二児の母 (@otamashiratama) June 11, 2020
著者のマーカス・フィスター氏は「にじいろのさかな」で有名ですけど、この「おしえておしえて」もすごく良い絵本。なんと谷川俊太郎氏による翻訳です。 https://t.co/OB3oK14iZZ
マーカス・フィスター氏の絵本は代表作「にじいろのさかな」も良いですが、「いろとりどり」「おやすみなさいのそのまえに」もすごく良いです。
私は子どもを産むまでは、絵本というものから長らく遠ざかっていたわけですが、絵本というのは子ども「だけ」のためのものではないんだな、と実感しています。
下記の写真、深い意味はないですが並べて写真を撮りたくなったので撮りました。
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