学校の宿題についての私のTweet
小学生のお子さんがいる先輩ママと話してると必ず「宿題の丸付けが大変で」「毎日音読を聞くのは良いけど寝る時間の確保が難しくて」という話になり、「私たちが子どもの頃って親に宿題見てもらわなかったですよね?」「いつ頃から親が採点する仕組みに切り替わったんでしょうね?」という話になる。
— おたま@男子二児の母 (@otamashiratama) July 25, 2022
期せずしてバズってしまったので、様々なご意見が寄せられました。「自分の頃はこうだった」「自分の子どもはこうです」等の様々な年代・地域の方の実体験や、学校の宿題が増えた/減った、親の負担が増えた/先生の負担が増えた、などのご意見、宿題のメリットデメリットなど。とても参考になりました。ありがとうございます!
私自身はまだ子供が保育園児なので、学校の宿題については情報収集段階にあります。(宿題は親が見るべき!とか先生が全部見るべき!などの確固たる意見は今の時点ではありません)
上記Tweetに書いたのは自分の子供が通うことになる小学校の保護者(先輩ママ)との会話なので、きっと一年後の私は宿題の丸つけや音読チェックをしているんだろうな…と想像しています。
宿題の変遷
宿題の変遷について、考えるべき要素は色々ありますね。
・宿題の絶対量の変化(仮説:昔より増えている?)
・宿題の採点者の変化(仮説:昔は先生による採点が中心だったが、今は親が採点する割合が増えている?)
・宿題をいつやるのか問題:専業主婦(夫)家庭では学校から帰宅して親に宿題を見てもらう時間が多いのであまり問題にならないが、共働き家庭では宿題に着手する時刻が遅くなるので就寝時刻との兼ね合いが難しい(学童で宿題をしてきてくれればあとは採点だけだが、学童でしてきてくれない場合もあるらしい)
・地域差/学校差/先生による差:40年前に小学生だった人でも「親に宿題を見てもらっていた」という方がいましたし、この辺は地域や学校や担任の先生によって差が大きそうだなと思います。さらに、親が採点する場合に答えを配布してくれるかどうかも先生によって異なるようです。(答えが配布されない場合に算数の採点を補助してくれる「CheckMath」というアプリがあるそうです、ご参考まで)
上記の要因のうち、例えば共働き世帯の増加は明らかです。
こんな感じで宿題の量の変化や採点者の変化をだれか調べてたりしないですかね。(見つけられず)
画像出典:図12 専業主婦世帯と共働き世帯|早わかり グラフでみる長期労働統計|労働政策研究・研修機構(JILPT)
教育基本法改正の影響(2006年)か?
私のTweetへのコメントとして、「2006年の教育基本法改正で、親に『子の教育の第一義的責任』があると明記されたことが影響しているのではないか」と仰っている方が複数いらっしゃいました。
2006年に教育基本法が改正されたとき(安倍政権ですね)、大きな話題になったのが第10条「家庭教育」の新設だったようです。
教育基本法(平成18年法律第120号)
(家庭教育)
第10条 父母その他の保護者は,子の教育について第一義的責任を有するものであって,生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに,自立心を育成し,心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は,家庭教育の自主性を尊重しつつ,保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
当時の私は18歳だったので「家庭教育」の新設について自分ごととしては考えなかったと思います(今さら親に勉強を見てもらう年齢でもないし、自分が親の立場で子どもの勉強を見るイメージも遠かったし)。
私が小学生だった1990年代から現在の2020年代にかけて「子どもの宿題を親がしっかり見ること」とされる割合が全国的に増加傾向にあるとして、その要因の一つが2006年の教育基本法改正である、というのは仮説としてはあり得るかなと思います。
この改正については2006年のベネッセの記事がわかりやすかったのでリンクを置いておきますね。
1947年に制定されて以来、約60年間一度も改正されることのなかった「教育の憲法」を、今なぜ変えようとするのでしょうか。
個人的には
上記は一般論としての「学校の宿題を親が見ることについて」考えられる要素を書いてみただけですが、実は個人的には自分の子供の学校の宿題を見るのは「大変そう」という不安な気持ちと同じくらい「楽しみだな」と思っています。
自分が小学1年生の頃に何をどんなふうに勉強していたかはほとんど覚えていないので、どんな教科書なんだろう、どんな順番でなにを習うんだろう、うちの子はなにに興味を持つんだろう、というわくわく感はあります。そして宿題の採点や音読のチェックなど明確な役割を学校から明示されることで、子どもが(たとえいやいやでも)親に勉強の話をするきっかけが生まれるわけで、楽しみだな~と今のところ思っています。
ただし私がのんきに「楽しみだな~」と思っていられるのは、
・私が在宅勤務できる職種なので、家で長男と勉強する時間を確保できそうだから(通勤時間に使っていたはずの時間をあてられる)
・長男の性格が真面目なので、「先生に言われたら宿題をちゃんとやりそう」だから(実際来年になったらどうなるかわかりませんが)
・子どもが2人しかいない、しかも下の子も来年には4歳だから。(家に0歳や1歳の子がいる環境だと、小学1年生の子の宿題をじっくり見てあげるのは大変らしいです)
・小学校と保育園と自宅が近いから(保育園が遠い人とか、保育園の送迎と学童の送迎でかなり時間をとられてます)
・家族4人とも健康で、親の介護もまだ必要ないから(こればかりはいつどうなるかわかりません)
・私が学校の勉強が好きだから(単純に小学校の教科書とか見てみたいし、長男が絵や文字を書くのを見るのも好き)
・夫も喜んで宿題を見てくれそうだから(むしろ学校の勉強が始まるのを私より楽しみにしてるかもしれません)
という様々な要素があるからです。
※ただし私も夫も学校の勉強は得意なタイプだったので、自分の子供がそうでなかった場合にどうやって教えたらいいのかさっぱりイメージできない、という問題はあります
そして、こういう家庭環境の差(シングル家庭とか、在宅勤務できない長時間労働の共働き家庭とか、家に0歳や1歳の子がいる家庭とか)によって、同じ小学1年生でも「親に勉強を見てもらう」ことのハードルは全然違ってくるだろうと思います。
その観点では、学校の宿題は学校で完結したほうが家庭環境による差の影響を最小化できそうだな、とも思います。とはいえ学校の先生の多忙ぶりを伺うと難しそうですが。
もし来年4月からお子さんに宿題を出して欲しいですか?と今の私が小学校の先生に質問されたとしたら、
「家での学習習慣をつけるためにも宿題は出していただけるとありがたいです、でも先生のご負担が無理のない範囲で(先生には心身ともに健康でいていただきたいので)お願いします。そしていざ始まってみたら子どもの睡眠時間や親の睡眠時間や親子関係に悪い影響がありそうだとなった場合には改めて分量などご相談させてください」
と答えると思います。
おまけ:家庭学習の効果
ちなみに「家庭学習」で検索してみたら千葉県のこんなサイトを見つけました。この場合の「家庭学習」は宿題のこととは限りませんが。
1.家で家庭学習をしている児童生徒ほど国語、算数とも正答率が高い傾向がある。
2.家で計画を立てて勉強をしている児童生徒ほど正答率が高い傾向が見られる。
3.保護者に対して児童の家庭学習を促すような働きかけをよく行っている学校の方が、家できちんと宿題に取り組む児童の割合が高い傾向がある。
同じページに、「宿題については学級や教科担任に任されている」ともありました。
「宿題の与え方における教職員の共通理解」が全国を下回る状況が続いていることから、宿題については学級や教科担任に任されている現状が推測されます。学校全体としての基本方針に基づいた校内体制を整えることが必要です。
「宿題はこう出しましょう」という全国ルールがあるわけではなく、学級ごと、先生ごとにいろんなやり方がされている、という感じなんですかね。
もし文科省とかが宿題の出し方ガイドラインみたいなものを作っているなら是非読みたいので、ご存じの方がいたら是非教えてください!
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