先日、朝日新聞にこんな記事が掲載されました。
上記は有料記事ですが、朝日新聞のインタビューを受けた小児科医の森戸やすみ先生のTweetに記事のほぼ全文が写っています。
他人の赤ちゃんに突然触って「触るくらいは別に良いかなと思う」「潔癖になり過ぎないで」とか思っている人、結構いそう…。
— おたま@男子二児の母 (@otamagawa) January 24, 2020
私は衛生面というより、子どもを傷つけられることへの不安が大きかったな。突然赤ちゃんの足を骨折させられた事件もあったし、悪意なくとも爪が目に入ったらどうしようとか。 https://t.co/UTTJ9bsS0p
朝日新聞が何をしたいのか分かりません
なぜか朝日新聞の記事は下記のような構成になっています。
1.免疫力の弱さを心配し「私の赤ちゃん勝手に触らないで」という母親の声を紹介
2.「潔癖になりすぎないで」「触るくらいは別に良いかなと思う」などの声も紹介
3.小児科医による解説を紹介(免疫力が低い赤ちゃんに触ると、ウイルスなどが接触感染する恐れがある)
4.「一方で、赤ちゃんにとっては触られることがプラスの場合もある」として、「大人に触られながら単語を聞いた場合」と「触られずに単語を聞いた場合」を比較した実験で、前者のほうが言語を処理する脳の部位の活動がより高まるとの結果を紹介
5.「触りたくなっても、まずはひと声かけてみて」と結論
私はこの5番目の結論には100%同意します。
ただ、両論併記しようとした悪例なのかもしれませんが、4番目の立ち位置が意味不明だなと思います。紹介されている実験は京都大学の明和政子教授による実験のようなので関心がある方は直接読んでいただければと思いますが、28人の生後7か月児に対し、実験室でくすぐり遊びなどしながら脳波を計測したものです。
「見知らぬ他人に突然無許可で触られる経験が多い子のほうが賢くなる」という実験ではありません。でも、この記事を読んだ人の中にはそのようにとらえてしまう人もいるのではないかと危惧しました。なぜわざわざこの実験結果をこの記事で紹介しなければならないのか理解に苦しんでいます。
※明和先生の研究からは「養育者と乳児の関わりにおいてみられる身体接触の機能」の重要性が示唆されていて、私はこれにはとても納得しています。私も我が子とたくさんスキンシップしようと思っています。
すいません、ちょっと感情的になりすぎました。
私の言いたいこと
他人の赤ちゃんに触りたくなったら、まずは「触っても良いですか」と聞き、「良いですよ」と言われてから触るのがマナーだと思います。もし断られたら機嫌よく引き下がってください。※機嫌よく引き下がる自信がない人は、「触っても良いですか」と聞くのを我慢したほうが良いです。
そして触る場合には、伸ばした人差し指でほっぺをつつくとか(目に入ったら怖い)ではなく、優しく頭や足を撫でる程度にして欲しいと思っています。
私が心配している(していた)こと
私は自分の子どもが他人に触られるとき、主に2種類の心配をしています。
・悪意のある人だったらどうしよう
・悪意がなくても、うっかり爪が目に入ってしまったり、抱っこして落としてしまったらどうしよう(+なにかに感染している人だったらどうしよう)
悪意のある人の一例
私に対して「心配し過ぎ」と感じる方もいらっしゃると思いますが、2010年に発生した下記の事件は多くの母親を震え上がらせたと思います。犯人の女は「離婚し母子家庭となり、幸福そうな親子を見てうらやましくなった」という動機で、「4人の母親に乳児を『抱かせてほしい』と話しかけ、抱いた際に足を強くひねるなどして骨を折り、4人にいずれも重傷を負わせた」事件です。
もう10年近く前の事件なので、被害者の赤ちゃんたちも10歳くらい。後遺症なく育っていることを願います。この被害者の赤ちゃんとお母さんたちが負った心身の傷を思うと私は胸が苦しくなります。
もちろん「赤ちゃんを触りたい」という人の中でこのような悪意ある人の割合はとても小さいと思いますが、万が一にも目の前の他人が「悪意ある人」だった場合には我が子に取り返しのつかないことが起こってしまうと思えば、他人に赤ちゃんを触らせる/抱かせることに恐怖を覚える気持ちは分かっていただけるでしょうか。
私が他人の赤ちゃんを触るときに気を付けていること
私は2児の母になったので3年前の自分と比較すれば赤ちゃんとの接し方には慣れていますが、「初めて会う他人の赤ちゃん」の動きはまったく予想できません。
私が手を伸ばした瞬間に赤ちゃんが顔を動かすかもしれないし、突然私の指をつかんで口に入れようとするかもしれないし、他人の赤ちゃんに触れるときは「この子がどんな動きをしても怪我をさせないようにしなければ」とそれなりに緊張します。
結果として、伸ばした指でほっぺをつつくような動きは怖くてできません。頭や足をなでることが多いです。例えばママ友が「この子のほっぺ、ぷにぷにですごいの!触ってみて」と言ってくれた場合には、指を丸めて絶対に私の爪が目に入らない角度でほっぺに触ります。
もちろん慣れてくれば抱っこしたりして一緒に遊びますが、それでも他人の子に触れるのは緊張するし、この緊張感は忘れないようにしようとも思っています。
まとめ
色々書きましたが、私が電車などで子連れで出かけた際に、「可愛いね」「何か月?」などと声をかけてもらえるのは嬉しかったです。私に許可を得たうえで優しく子どもに触ってくれる人も多かったです。
もしこのブログを読んでくれた方が、今後どこかで可愛い赤ちゃんを見かけて「触りたいな」と思った場合に、ここで読んだことを少しだけ思い出してくれると嬉しいです。
・まずは「触って良いですか」と聞いてほしい
・断られたら機嫌よく引き下がってほしい
・「良いですよ」と言われた場合にも、赤ちゃんを傷つけないように触ってほしい
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