最近インターネット上で話題になっている「女性の幸福度」の話を読んで驚きました。
働く妻と専業主婦の「幸福度格差」が示す、日本社会の厳しい現実(佐藤 一磨) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)
子どもがいると女性の幸福度は下がるらしい
上記の記事によると、既婚女性の幸福度は下記のようになるというのです。
子どもがいない専業主婦>子どもがいない働く妻>子どもがいる専業主婦>子どもがいる働く妻
私は「子どもがいる働く妻」なので、もっとも幸福度が低いグループに所属しています…。
ここでの幸福度とは、「あなたは幸せだと思っていますか。それとも、不幸だと思っていますか。」といった質問に「5=とても幸せ」から「1=とても不幸」の5段階で回答した結果をさす。この質問・回答方法は、学術的にその妥当性が明らかにされており、世界のさまざまな学術研究で用いられている。
(上記記事から引用)
分析結果への疑問
私がこの結果をパッと見たときに浮かんだ疑問としては、
・夫の所得水準が高い人が専業主婦になっているから、結果的に幸福度が高いのでは?
・もともと楽観的な人が専業主婦に多いなど、その人の「幸福度」の基準が違う可能性があるのでは?
・子どものいる働く妻は非正規雇用、子どものいない働く妻は正規雇用が多いのではないか?(就業形態の違いによって幸福度が変わるのではないか?)
・子どもがいない妻には「新婚だから幸せ」な人が多いのではないか?(子どもの有無よりも、婚姻期間の長さのほうが幸福度に影響しているのではないか?)
などがありましたが、記事のもとになっている論文を確認したら、このあたりの調整はちゃんとされているようでした。(夫の所得水準を揃え、もともとの幸福度の水準を考慮したモデルを使用。妻の就業形態の違いも考慮。結婚して何年目かということは多少幸福度に影響するが、結果は同じ)
唯一、私の疑問が解消されていないのは
・子どもの年齢によって幸福度は変わるのではないか?
という点です。論文では特に子どもの年齢について言及されていません。
例えば産後鬱は産後3ヶ月くらいまでの間がもっとも発症リスクが高く、その後も子どもが乳幼児である間は特に夜泣きなどの負担も大きいです。このように子どもが小さいうちは肉体的・精神的な負担が大きいことから幸福度が下がったとしても、子どもが成長してくると幸福度が回復したりするのではないかしら、と思っています。(しかし小1の壁、小4の壁、受験、思春期などの新たな悩みも出てくるから、結局幸福度が低いままだったりするのか…?)
調査対象は2,505人の有配偶女性(1993 年時点で24歳~34歳の女性を対象に2014年まで継続して調査)とのことなので、例えば1993年時点で5歳の子どもがいた人なら2014年時点で子どもは26歳。子どもの年齢によって幸福度の変化があったのか、知りたい…!
子どもの数が増えるほど幸福度が下がる
記事ではさらに「子どもの数が増えるほど幸福度が下がる」ことも指摘し、子育て負担が女性に偏っていることが理由の一つとして分析されています。
確かに子育ての負担は大きいし、私も0歳と2歳を育てていると叫びだしたくなるような追い詰められた気持ちになる瞬間はあるのですが、このように「子どもによって幸福度が下がる」と言われてしまうと、ちょっとショックでした。
自分の経験を振り返ってみた
私は今のところ「子どもがいない専業主婦」になった経験はありませんが、下記3つは経験したことがあります。
・子どもがいない働く妻(26歳~28歳)
・子どもがいる専業主婦(28歳~29歳の1年間、30歳の半年間)※2度の育休です
・子どもがいる働く妻(現在)
私がこの幸福度調査の対象だったら、いずれの時期も幸福度は5点満点の4につけたと思います。「最高に幸せ!」ではないけれども、まあ幸せかな、と。
そして、仮に私の幸福度が上記の記事のように
子どもがいない働く妻>子どもがいる専業主婦>子どもがいる働く妻
となるとしたら、その要因はなんだろう?と考えました。
私の場合は主に下記3つかなと思います。
幸福度が下がる理由(仮説)
1.なにも思い通りにならない
これは子どもの有無による変化です。子どもがいないときは、どんなに仕事が忙しくてもある程度は自分で仕事のやり方や睡眠時間は調整できたし、少なくとも行きたいときにトイレに行けました。子どもが生まれてからは、夜も不定期に子どもに起こされるし、作ったものを食べてくれなかったり、オムツも替えさせてくれなかったり、とにかく何一つ思い通りに進まないので負担感/ストレスは高いです。自分の人生が自分の思う通りにならず、常に何かに振り回されている感じがしています。
そして「子どもがいる専業主婦」時代は子どもと過ごす時間が長い分、こうしたストレスにさらされる時間も長かったはずですが、一方で時間の余裕もあったため、「イヤイヤしてるけど落ち着いたらオムツ替えよう…」などと待つことが可能でした。
「子どもがいる働く妻」になってからは、子どもの機嫌や体調のほかに仕事という要素が加わり、「イヤイヤしてるけど今オムツを替えないと仕事に間に合わない…!」などの焦りが加わって、さらにストレスフルになっている気がします。
2.謝る機会が多い
これは間違いなく下記の順で謝る機会が増えていると思います。
子どもがいない働く妻<子どもがいる専業主婦<子どもがいる働く妻
子どもが外で泣いたり吐いたりコップを落として割ったり人にぶつかったり電車で隣に座ったおじさんの服を突然引っ張ったり、自分なりに一生懸命子育てしていても「あああごめんなさい…!」「申し訳ありません!」「すいません…」と言う機会の多いこと。「子どもがいない働く妻」時代に比べて、子どもができて以降、こうした理由で人に謝る機会は激増しました。ストレスフル。これでも周囲に気を遣って子どもから目を離さずにいるんですが、子どもというのは人に迷惑をかけずには育てられないんだなぁ…と実感しています。
さらに育休があけて職場復帰してからは子どもの発熱で早退や欠勤が増えたので、「ご迷惑をおかけします」「申し訳ありません」のオンパレードです。うちの子たちはまだ体調不良は少ないほうだと思いますが、それでもこうした「職場への迷惑」はよく発生します。
3.人と比べて劣等感を覚えやすい
乳幼児を育てている母親がよくTwitterなどで愚痴るのが、「子どもの夜泣きで起こされるとストレス。そして、隣で夫が熟睡しているのを見るとストレスが倍増する」というものです。(私の夫は夜泣きで起きて対応してくれることもありますが)
夜泣きに限らず、自分の状況を人と比べてしまい、ストレスが溜まるというのはあるなと思います。
特に「子どもがいる働く妻」になって以来、
・子どもがいない(もしくは奥さんが専業主婦で子育てしている)同僚や友人がバリバリ働いているのと自分を比較して劣等感/悔しさ
・専業主婦で家事育児にしっかり時間と手間をかけている友人や母と自分を比較して劣等感/悔しさ
・自分よりも育児に拘束される時間が短い夫がバリバリ働いているのと自分を比較して劣等感/悔しさ
のような、劣等感/悔しさを感じる機会が多いなあと思います。仕方ないことだとは思いますが、それでも比較対象が身近であればあるほど、こうした気持ちは強いような気がしています。
というわけで、自分自身が子どもによって幸福度が下がっている実感はないものの、もし私の幸福度が下がっているとしたらこんなことが理由なのではないかと思います。
ちょっと怖いのは、この分析結果が「子どもを産むと不幸になるらしい」と一般化されてしまい、同世代やさらに若い世代の女性が子どもをもつことをためらってしまうのではないか、ということです。少子化まっしぐら…。
最後に一応書いておくと、私個人としては、子どもをもったこと自体を後悔したことはありません。上述したようなストレスこそたくさんあるものの、2歳長男が「おかあさんのことがだいしゅき」といってくっついてきたり、0歳次男が保育園で私を見つけて高速ハイハイで近づいてきたりすると、「ああなんて幸せなんだろう」と感じます。
おまけ:記事には書いてないけど論文には書いてあって面白かったこと
・幸福度と夫婦関係満足度、生活満足度はほぼ同じ分析結果になる
・子育ての負担を具体的にいうと「保育の責任からくる心理的負荷、保育・家事時間による個人の自由時間の減少、夫婦間の家事・育児の分担比率に起因した不満等が考えられる。これらはいずれも他者が原因となっており、自分でコントロールできない」
→とてもわかる。特に「自分でコントロールできない」はポイントかなと思います。
まとまりのないブログですいません!思ったことの垂れ流しでした…。
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