おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

読書記録:橘玲『言ってはいけない』

橘玲著『言ってはいけない』を読みました。さくさく読めて面白かったです。

この本を読んだ理由:Twitter

Twitterで回ってきた橘玲氏の年金に関する一連のつぶやきが面白かったので、この人が書いた本を読みたい!と思って読みました。

 上記のTweetをクリックすると、一連のつぶやき&議論が見られるので年金に関心ある方は良かったら見てみてください。

 

さて、この本を読んでみたら、子育ての参考になりそうなことが結構ありました。

見た目で人生は決まる(美貌格差)

・容姿が平均より上の女性は平凡な容姿の女性より8%収入が多い

・容姿が平均より下の女性は平凡な容姿の女性より4%収入が少ない

・容姿が平均より上の男性は平凡な容姿の男性より4%収入が多い

・容姿が平均より下の男性は平凡な容姿の男性より13%収入が少ない

 →美貌格差の最大の被害者は容姿の劣る男性である、とのこと。

 

なるほど…。容姿は生まれ持ったものが大きいので、息子たちに親がしてあげられることは今さらあまり無いかもしれません。でも、肌の滑らかさは容姿判断に重要らしいので、乳幼児期は親が一生懸命肌ケアするし、思春期にニキビができたりしたらすぐに皮膚科に連れて行ってあげることにします…。あとは歯並びが悪かったら早めに矯正してあげるくらいですかね。

私は夫の顔が好きなので、とりあえず息子たちが夫に似てくれると良いなと思ってます。

 

男児と女児では描く絵が違う

男女の網膜の違い

・男性の網膜は大きくて厚いM細胞が広く分布しており、物の動きの分析が得意

・女性の網膜は小さくて薄いP細胞で占められており、質感や色の状態に反応する

 

結果として、幼児にクレヨンと紙を与えると

・男の子は黒や灰色といった「冷たい色」を使って「ぶつかろうとするロケット」「誰かを食べようとするエイリアン」など、なんらかの動きを表現しようとする

・女の子は赤やオレンジなどの「暖かい色」を使って「人物」や「ペット」などを描こうとする

→幼稚園教諭の多くが女性であり、どれほど指導しても女の子の描くような暖かい色を使った人物の絵を描くことのできない男の子を「どこかおかしい」と判断してしまうことがある

 

私の息子たちはまだあまり意味のある絵は描かないですが、お絵描きするようになったときのために、この男女の違いについては覚えておこうと思います。男女差より個人差の方が大きいかもしれませんが。※なお、性差を脳や目の構造で単純に説明することへの批判は斎藤環著「関係する女 所有する男」が詳しいです

 

男女共学より別学のほうが良いかもしれない

上記のように男女の脳や身体は違うので、見え方も聞こえ方も遊び方も学び方も違う。だとすると、男女共学よりも別学のほうが自然なのかもしれません。

・モントリオールの低所得地域にある共学の公立校で、男子と女子のクラスを完全にわけたところ、常習欠席は3分の1に減り、標準テストの点数は15%上昇し、大学への進学率はほぼ倍になった

・さらに妊娠する女子生徒がいちじるしく減少した(←実は女子校と共学ではデートする機会にはあまり差がないので、女子校だと彼氏ができないから安心、というわけではない。校内に彼氏がいる場合、彼氏との関係が学校でのアイデンティティに直結するため、彼氏からの「要求」を断りづらいのが要因ではないかと分析されている)

 

私は中学まで共学で、高校は女子校でした。クラスに男子がいた場合と女子しかいない場合で、学び方にどんな差があったのかいまひとつ実感はありませんが、東大の同級生には男子校・女子校出身者は多かったので、勉強には有利なのかもしれませんね。

例えばこちらの記事によると、東大合格者ランキングの上位20校のうち75%が男子校か女子校とのこと(2018)。全国の高校のうち男子校は2.2%、女子校は6.2%しかないので(2017)、これだけみると確かに別学は強いですね。

最終的には本人の希望次第ですが、息子たちの高校進学の頃まで覚えておきます。以前ブログに引用したとおり、男子校だと寿命が縮むという研究結果もありますが。。

 

親は子どもの性格を変えられない

・子どもの人格、能力の形成に子育てはほとんど関係ない。家庭が子どもの性格や社会的態度、性役割(男らしさなど)に与える影響は皆無で、認知能力や才能ではかろうじて言語(親の母語)を教えることができるだけ。ほとんどは遺伝と、家庭外の環境(友達)で決まる。親にできる唯一のことは、子どもの持っている才能を摘まないような環境を与えること(ただしどんな有名校に子どもをいれたとしても、そこでどのような友達関係を選ぶか、どのような役割を演じるかに親が介入することはできない)

・移民の子供たちはたちまち現地の言葉を習得して母語を忘れてしまうが、宗教や味覚は引き続き親の影響を強く受けたものになる

・別々に育てられた一卵性双生児の姉妹の例。ひとりはピアノ教師に育てられたが音符すら読めず、ひとりは音楽とは無縁な家庭に育てられたがプロのピアニストになった。これは、子どもが自分のキャラ(役割)を子ども集団の中で選択するからである。2人とも遺伝子は同一で、音楽的才能を持っていたと思われる。音楽とは無縁の環境で育った子どもは、なにかのきっかけ(たまたま幼稚園でオルガンをひくなど)で自分に他人と違う才能があることに気づく。自分を目立たせるため、無意識のうちにその利点を最大限に生かそうとする。一方でピアノ教師の娘は、周囲には音楽関係者の子どもたちばかりだから、少しピアノがうまいくらいでは目立てない。結果、音楽以外のことに興味を持ちやすい。まったく同じ遺伝子を持っていても、集団内のキャラが異なれば違う人生を歩む好例。

→これはとてもよくわかります。私は幼稚園児のときに担任の先生が「おたまちゃんは一番大きな声で歌を歌っているね」と褒めてくれたのを今でも覚えています。私はもともと引っ込み思案な子どもでしたが、それ以降徐々に「声が大きい子」「声がよく通る子」「人前で話すのが好きな子」になっていきました。ちょっとしたきっかけで、私の人生は大きく変わったなと思います。

 

この本は、科学的な知見を素人に分かりやすく書いてあるので読みやすい一方、様々な実験や論文の面白いところ・都合の良いところだけをつまみ食いしているような印象もありました。書いてあることを全部信じることは無いと思いますが、まぁ面白かったし勉強になったなという感じです。

関心ある方は是非読んでみてください!

 

おまけ:続編の『もっと言ってはいけない』も読みました

 『言ってはいけない』がベストセラーになったので、さらにパワーアップした続編を書いたそうです。

こちらは人種による認知能力の違いなどを紹介しながら、「日本人は何者か?」を考える本です。結構面白かったです。稲作ではなく水田で米を育てる東アジアでは面積あたりの人口が多い傾向にあり、結果として人口密度の高い社会でコミュニケーション能力が、そして知能が高まったという仮説などが紹介されています。

 

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