おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

パッドマン 5億人の女性を救った男

私はインド映画はバーフバリしか観たことがなかったのですが、下記のブログを読んだ方々から口をそろえて「パッドマン(Padman)を観るべき」とオススメされたので、満を持して観ました。

www.shiratamaotama.com

 

面白かったし、これは観ておいて良かったな、と思いました。オススメいただいた皆さん、ありがとうございます!

ブログを書いていて嬉しいことのひとつは、私のブログを読んだ人が「あなたはきっとこの本が好きだと思う」「この映画を観たほうが良いですよ」とオススメしてくれることです。オススメされるものを読んだり観たりすると、かなりの高確率で「当たり」です。

 

『パッドマン 5億人の女性を救った男』

画像が欲しいのでAmazonのリンクを貼っておきますが、Amazonプライムビデオでは見られません(下記のリンクはDVDです)。私はNetflixで視聴しました。

生理用品の開発に人生を捧げた男を描いた伝記ドラマ。インドで妻と新婚生活を送るラクシュミ。彼は貧しくて生理用ナプキンが買えずに不衛生な布で処置している妻を救うべく、清潔で安価なナプキンを作ろうと思い立つ。

インドでオープニング興行No.1! 現代のインドで多くの女性たちを救った実在の人物を描く"本物"のスーパーヒーロー物語!
インド映画史上初めて、“生理用ナプキン"をテーマとした本作だが、主人公の純粋な愛、モノづくりへのひたむきな姿勢が共感を呼び、
主演のアクシャイ・クマールがみせたクライマックスの演説シーンは観客を感動と涙の渦に巻き込んだ。

Amazonサイトより引用)

 

映画の公式サイトは下記です。

映画『パッドマン 5億人の女性を救った男』 | オフィシャルサイト| ソニー・ピクチャーズ | DVD 発売

公式サイトの下部にある「『パッドマン』をより楽しむための7つの知識」というコーナーは、映画を観終えてから読むのが良いと思います。聖なる河を動物の血で汚したことの重大さとか、映画に出てくるインドの風習の解説が書かれていて、大変おもしろいです。

 

インド女性の生理事情に私もショックを受けました

これは実話にもとづく物語です。

モデルになった男性(アルナーチャラム・ムルガナンダム氏)は1998年に結婚して初めて女性の生理の実態を知り、ショックを受けます。不衛生な布で経血処置をしていることや、そのせいで病気になる女性が少なくないこと。生理の期間は家の外の廊下で寝起きすること。

その後、大変な苦労を経て安価なナプキン製造機の開発に成功し、受賞するのが2006年のことです。ナプキン製造販売で地域の女性の就業・起業を支援したこともあり、2014年には米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたそうです。

実は私もこの映画で当時のインド女性の生理実態を知って、ショックを受けました。1998年だと私はまだ10歳なので生理用品は使ったことがないタイミングですが、さすがに日本では衛生的な生理用品が普通に手に入る時代だったはずです。同時期に、インドでは不衛生な布(しかも、洗って乾かすときに人目を避けてサリーの下に干すのでさらに不衛生になる)を使うことが一般的だったんだ…。生理用ナプキンがあまりに高価で(日本円換算でひとつ1100円!)、普通の庶民には贅沢品だったんだ…。と、びっくりしました。

例えば映画の舞台となった2001年当時、インドでは生理用ナプキンの普及率はわずか12%だったそうです(日本では100%)。※参照

 

インドではまだ生理用品の普及率は低い

では今はインドでの生理用ナプキンの普及率はどれくらいなんだろう…?と興味を持ちましたが、あまり情報を見つけられませんでした。2018年時点で「5人に4人は生理用品にアクセスできていない」という記事があったので、20%くらいなんですかね。

パッドマンのおかげで生理用ナプキンの安価化、普及が進んだものの、まだまだ道のりは長い…というところでしょうか。

 

以前のブログにも引用しましたが、女性の社会進出には生理用品の普及が大きな役割を果たします。

あまり意識されないが、経血の漏れやナプキンの厚みに対する周囲の視線を気にせずに済むようになったことで、女性はその可能性を大きく伸ばしてきた。

(『生理用品の社会史』p189より引用)

 

すべての女性が、平時も災害時も、経血処置に悩まずに済む世界になりますように。

 

なお私は2012年にこの映画のモデルとなった男性がTEDでスピーチするのを観ていました。8年越しに映画のおかげで彼の挑戦を詳細に知ることができて、感慨深いです。

このTEDは8分50秒で観られます。日本語字幕もついています。おすすめです!

 

 

おまけ:映画を観ながら私が書いたメモ

例によって(『愛の不時着』を観ながら書いたメモの時と同じように)、自分の備忘録として、映画を観ながら手元で書いたメモをそのまま置いておきます。人に見せるために書いたわけではないので、本当に自分用です。

ネタバレが無理な人はここから先は読まずに映画を観てくださいね。

 

・結婚式のシーンから始まる。冒頭の歌詞がすごく良い。

今日から同じ道を君と歩く

今日から住まいを共にする

今日から僕の喜びは君のもの

君の悲しみは僕のもの

 

この歌が流れながら、主人公の男性が妻と自転車に乗って映画を観にいって、妻が自転車に乗りにくそうにしているのに気づいて、自転車に椅子をとりつける場面がさらっと描かれる。妻のために工夫する男性であることを予告しているのかな。

 

・急に生理になった妻「これは女性の秘め事よ」「穢れだとされている」

→夫「馬鹿げたしきたりだ 変えていこう」

この夫の柔軟性はどこから来ているんだろう?他のインド人男性が取り組まなかったことに、なぜ彼だけはこんなに真剣に取り組んだのだろう?

 

・汚くて自転車の掃除にも使わないような布を、妻は生理のときに身につけると知ってショックを受ける夫。生理用品を買いに行く

生理用パッドひとつが55ルピー 「金でできてるの?」

お金が無くて買えない→知り合いにお金を借りて買う

妻は大喜びするが、値段を知って「返してきて」と言う

「義母にばれたら私がなじられる」「宝石を買ったようなもの」

55ルピーって日本円でいくら?

→これは公式サイトに解説があった。

「ナプキン55ルピー」はドリンク代の11倍の値段なので、今の日本に当てはめてみると、マックのドリンク類が1杯100円としてその11倍、「ナプキン1100円」ということになる。これではやはり、ガヤトリが尻込みするはずである。

『パッドマン』をより楽しむための7つの知識 4.ナプキンの値段 より引用)

 

・ケガをした同僚の傷にナプキンをあてて止血。医師に褒められる「汚い雑巾を使っていたら化膿していたかもしれない」

毎月10人以上の女性がここにくる

生理処理に雑巾や葉っぱや灰を使ったせいで

病気を招けば必ず来る

子どもが産めなくなったりする

命を失う女性も

それだけ危険だ

(医師の言葉)

 

 ・試しにナプキンを解体してみる。「4パイサの綿と2パイサの小袋で55ルピーはぼったくりだ」

葉っぱを洗って清潔な綿をおいて、袋を接着剤でとめて、自作する

妻に試してほしい「これはタダだ 試してくれ」「お願いだ 布を捨ててくれ 病気は伝染する」「君の夫がつくった この手でつくった」

→もう生理は終わっていた 来月を楽しみに

どうも、生理の時は5日間外にいないといけないらしい

 

ぼろきれをサリーの下に隠していたらもっと不潔だろう

夫の自作のナプキンをつかったらサリーが汚れて一晩中洗った

2度目のナプキンには真ん中にビニールを挟んでみた

2001年の話なのね

 

・妻のセリフ

いい加減にわかって

女は恥を抱えて生きるより

病気で死ぬのを選ぶ

話すのさえ恥ずかしい

放っておいて

 

・親戚の女性陣にも「狂った?」「頭おかしい?」「もう家に来ないで」「大恥だわ!」

→女性のための取組みなのに、女性には受け入れられない。生理への恥の意識が強い。

 

・医科大学の前で女性に配ろうとするが拒否される

医学生の女性が配ってくれることになる→妻に浮気と勘違いされる

「どこでどう作られているかわからないのに使えないわ」

→そりゃそうだ。私も使えないわ

 

・初潮を迎えた近所の女の子にナプキンをプレゼントしたら変質者扱いされた

夫と呼ぶのが恥ずかしいわ

女の股の間になぜそんなに興味があるの?

私のせいであなたが狂ったと思われてる

 

・妻がまた試してくれるが、やはりサリーを汚してしまう

 →そうだ、自分で試そう!

ヤギの血を垂らして、女のパンツにナプキンを挟んで、自分で履いて、そのままスクワット、ジャンプ、走り回るなどしてみる

自転車に乗っていたら大量に血が漏れて、慌てて川に飛び込む

村議会で吊るしあげられる

ガヤトリ(妻)の恥を尊敬に変える そのために何でもやってやる

村を出ていく

 

・「変態だと知っていれば結婚させなかった」「早く忘れてしまいなさい」

 

・市販のナプキンの綿は、綿ではなくセルロースファイバーだった

教授の家の息子がGoogle検索してくれる

アメリカの会社からセルロースファイバーのサンプルを取り寄せる

教授に相談したら、高性能ナプキン製造機を購入することを進められる

→とても買えない

→自分でナプキン製造機をつくってみる。要は粉砕、圧縮、梱包、殺菌の4ステップができればいい。これはすごい。

 

・ガヤトリに電話「何年も頑張ってナプキンを作り上げた 借金も返して必ず戻るから」

→ガヤトリ「久しぶりなのに 気にもかけてない ナプキンのことばかり 全然変わってない」

そうね…妻のためにナプキンを開発していたはずなのに、いつのまにかナプキンのことしか考えていないよね…

 

・9万ルピーの借金をしてつくった!

 

・最初の客が「片面がくっつけばずれない」と教えてくれる

インド工科大学デリー校のコンテストを教えてくれる 選ばれれば国中に知れ渡る 賞金は20万ルピー

 

・ナプキン1個 2ルピーで売れる

 

・インドの貧困は人が多すぎるのが原因

だけど、頭脳の数でも誰にも負けない

インドは10億人の国ではなく、10億の頭脳を擁する国である

 

・最優秀賞を受賞、ヒーローになった

特許をとったほうが良いと言われて、「真似されても構わない」「僕は賞金で十分」

インド女性5億人のうち、ナプキンを使うのは12% 巨大な市場よ

でも特許使用料に何億も払ったら、ナプキンも高くなってしまう

目的は大金をかせぐことではない 人を助けたいんだ

村人「お前は村の誇りだ」→記事をよく読んだらナプキンだった→「こんなものは発明ではない!」

 

・最初の顧客女性が販売を代行してくれる→売れた!

女は女としか女のことを話さない

 

・夫にDVを受けている女性も製造販売員になる

名前を付けたら? 女性はナプキンというのが恥ずかしい

 

ナプキンがあれば学校に行ける(4日間休まなくて済む)

 

テレビで放送されて、インド各地、中国やアフリカからも注文が!

妻は「自分ではシャツを中に入れないのに…」と女の存在を感じ取る

 

国連から電話

ニューヨークに来いって 「どこの村?」

UN WOMENでの講演

あああキスしちゃった

お金儲けをしようとしなかったから 「金の歯ブラシだって、歯を磨くのはプラスチックの毛」

女性に2ヶ月の人生をあたえた

男は1年に12か月あるのに女は10ヵ月 家の外で何もしないで過ごす

大きい男や強い男が国を強くするとは思わない

女性が強くて母が強くて姉妹が強ければ国は強くなる

パッドマシンは女性を強くしている

ナプキンを使って生き 生活している

 

インドの18%女性しかナプキンを使わない 100%にしたい

100万人の女性に仕事を与えたいんだ

 

僕がパッドマンを作った

でもパリ―が僕を作った

君の名前はナプキンだけでなく僕の心に刻まれている

 

インドの首相から賞を贈られ、TEDなどで講演、雑誌の表紙も何度も飾る

最後に本物が登場

 

どこまで実話なんだろう?浮気しちゃうとは思わなかった…

ああ面白かった!

 

以上です。

 

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