リンデンの『快感回路』を読みました。
副題は「なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか」となっており、人間の快感と依存の仕組みについて科学的に説明しています。
薬物や高カロリー食といった悪癖だけでなく、スポーツ(ランナーズハイ)や慈善活動などにも人が「快感」を感じ、依存していく仕組みが分かって大変面白かったです。
また、男性のほうがギャンブル依存症になりやすい、「惜しい!」という経験がギャンブル依存につながるといったことから、息子2人を育てるにあたって、ゲームなどの依存には気を付けたいなと思いました。依存症になると脳も変化しちゃうんですね。
もう少しポジティブに、ちょっと子育てに応用できそうだなと思ったことが2つ。
学習の仕組み
・犬の訓練で、呼んだら来るようにしつけるとき、ご褒美として美味しい食べ物を一口分用意する。寄ってきて即座にご褒美をあげると学習効果は高いが、30分後に与えると学習効果が低い。
・下記A、Bだと、Bのほうが学習効果は高い
A:犬を1日に1回呼び、言うとおりにやって来たら5キロのステーキをあげる
B:犬を1日に20回呼び、やって来るたびに肉を一切れずつあげる
→実は、タバコの依存性が強いのはこれと同じ仕組み。スモーカーはタバコ1本で10回ほど煙を吸うので、1日に1箱吸う人は「迅速で弱い快感」を1日200回経験している。
自分に置き換えて考えてみると、1年に1回だけ50万円のジュエリーを買ってくれるより、毎日こまめに「ありがとう」「美味しい」「綺麗だね」って言ってくれる方が夫をより好きでいられそう。たしかに。まぁジュエリーもくれてもいいけど。
情報そのものが快感を導く
ノドの乾いたサルを使った実験で、水が出てくる量を事前に予告するマークを見るだけでドーパミン・ニューロンが信号を出す(=快感を得る)ことが分かった。これは革命的な実験で、「有用性が一切なく、抽象的な、知識のための知識にすぎないものが快感/報酬回路を働かせる」ことが示唆されています。
サルは(そしておそらく人間も)情報そのものから快感を得ているのである。
(中略)
経験により快感回路を長期的に変化させる能力のおかげで、人間はさまざまなものを自由に報酬と感じることができ、抽象的観念さえも快いものにできる。突き詰めて言えば、人間の行動や文化の多くはこの現象に依存している。しかし残念なことに、その同じプロセスが、快感を依存症へと変化させてしまうのである。
ー「第6章 悪徳ばかりが快感ではない」より引用
何のために勉強するの?こんなこと勉強して何の役に立つの?という疑問に対して、「これは将来こんなことに役立つよ」と示してあげるのも親の役割だと思いますが、「え、だって新しいこと知るの楽しいじゃん!」て言い切ってあげるのも良いですよね。
私の母は完全に後者で、私と弟が学生の頃、テスト勉強に苦しんでいると「いいなぁ、勉強って楽しいよね。お母さんもご飯作らなくて良くて、勉強だけしてれば良いならそっちのほうがいいなぁ。」とよく言っていました。
私も家事と育児と仕事に追われる立場となり、母の気持ちが良く分かります。勉強だけしていれば良いって最高ですよね…。
この本を読んだ理由
なお、この本を読んだのはリンデンの「脳はいいかげんにできている」が面白かったので、同じ著者の本をもう一冊くらい読んでみようかな~という理由でした。
私はどちらかというと「脳はいいかげんにできている」のほうがより面白かったです!