新井紀子著「生き抜くための数学入門」を読みました。私は数学にずっと苦手意識があるのですが、この本に中学生の頃に出会っておきたかった…と思いました。
著者の新井紀子さんは数学者ですが、数学が嫌いだし、苦手だそうです。学校の数学に変わってもらいたい、と思ってこの本を書いたとのこと。
なぜ日常生活では使わないような数学を、全員が勉強しないといけないのか?それは、「数学的な構え」を身につけるためだと筆者は言います。
数学的な構えが身についているかどうかのチェックリスト
1.宝くじを買う。とくに、ジャンボ宝くじは必ず買う。2.献立を思いつかなくて、スーパーでうろうろする。
3.テレビで紹介された健康法はかならず試して、たいてい3日坊主で終わる。
4.「なぜ?」と聞くと、「うるさい!」と答える。
5.安い、と評判のスーパーまで遠出をして、疲れて外食して帰ってくる。
6.ゴールデンウィークに入ってから突然どこかに行くことを思いつく。そして、渋滞に巻き込まれる。
7.ベストセラーに出てくるフレーズを使って説教をする。
8.映画を見ると泣いているか、寝ているかのどちらかだ。
9.1年前にはまっていたことを思い出せない。
10.貯金がない。
この10項目のうち、半分以上がYesだとしたら、中学校以降で数学を勉強したことが人生に生かされていない可能性が大きいそうです。
私は2と9しか当てはまらなかったので、セーフかな…。10は定義によるけど、貯金ゼロ円ではないのでセーフということで。
「数学的な構え」は、現代社会で幸せになるために重要
見えないもの、たとえば、権利やリスクや未来について、「だから」「どうして」「どうなる」を考えることができなければ、この社会で幸せになれる確率は相当に低いのです。それは、現代社会が、情報量と選択肢の多い民主主義社会だからです。
息子たちには幸せになってほしいので、「数学的な構え」を身につけてほしい。できれば、私よりも数学を好きになってほしいと思います。目に見えない概念について論理的に考えられる個人になってほしいです。このシリーズは「中学生以上すべての人へ」とのことなので、息子たちが中学生になる頃に、もう一度この本を本棚に置いておこうと思います。
みんなだいっきらいな三角関数
私がこの本で一番勉強になったのは、「みんなだいっきらいな三角関数」という章。サイン・コサイン・タンジェント、私も大っ嫌いでした。足し算や掛け算のような、直観で理解できる範囲を超えていくと、だんだん訳が分からなくなっていくんですよね…。この本を読んで、「あ、三角関数って、そんなことだったのか」と思えたので、なんだか損をしていた気分です。もう一度数学の教科書を読み返したくなったので、子どもたちが学校から教科書を持ち帰って来る日が楽しみです(気が早い)。
「生き抜くための数学入門」、オススメです!
おまけ:もう一冊おすすめしたい
ちなみにこの本を読もうと思ったのは、著者の新井紀子さんが書かれた「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」が素晴らしくて、この人が書いた本を他にも読みたいと思ったからです。
こちらも大変オススメです。