最近話題の「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」(新井紀子 著)を読みました。
AIの東大合格を目指すプロジェクトのディレクターである著者が、危機感たっぷりに書いた本。ものすごく面白くて、しかも考えさせられる本でした。
AIに勝てる人は20%しかいない
・AIが東大に合格する日は来ない
・でも、既にMARCHは合格圏内にある
・つまり、AIの実力は大学進学希望者の上位20%にあたる
ということは、「AIにより仕事を失った人のうち、人間にしかできないタイプの知的労働に従事する能力を備えている人は、全体の20%にしか満たない可能性があるということです。」
衝撃的…。以下はいずれも本書からの引用です。
AIにできない仕事ができる人間がいない
AIと共存する社会で、多くの人々がAIにはできない仕事に従事できるような能力を身につけるための教育の喫緊の最重要課題は、中学校を卒業するまでに、中学校の教科書を読めるようにすることです。
読解力をつけるにはどうしたら良いの?
では、AIに代替されない「基礎読解力」を身につけるにはどうすれば良いのか?
読書習慣、学習習慣、スマホの使用量、新聞購読の有無、色々調べても読解力との相関は見つからなかったそうです。
本書には、この疑問への明確な答えは書かれていません。
私は読解力が高いらしい
私自身はこの本に出てくる「読解力を試す問題」(AIには解けない)は易々と全問正解できたし、私の周りにいる人々もそうだと思います。だからこそ、中高生の正答率の低さに衝撃を受けたし、「高校生の半数以上が教科書の記述の意味が理解できていない」のが現実だと思うと、背筋が凍る思いがしました。
史上初の「AIに負けない能力を教育しなければならない」世界
恐ろしいのは、この読解力の低さは「日本人だけの問題ではない」ということ。
OECD調査によると、日本の学生はこれでも読解力部門トップレベル。しかも、「今の学生の読解力が落ちている」のではなく、大人の読解力も実は低いそうです。つまりこれまでの人類もみんな読解力は低かったのかもしれません。
でも、これまでは読解力の低い人にも仕事がありました。それがAIの発達によって、かなりの仕事をAIに代替されてしまうのです。だから日本人は…というより人類は、AIに代替されない能力を「史上初めて」ちゃんと教育しないといけない世代になってきているということです。
是非読んでください
自分が、そして息子が「AIに代替されない人間」になるにはどうしたら良いのか。危機感だけでなく、未来への希望も示してくれるとても良い本でした。
あと、こんな面白くて国際的にも価値のある研究をリードしてる方が日本人の女性である(しかも子供もいる)ということ自体にもとても励まされました。とても面白い本なので、是非読んでください!
【2020年9月3日追記】
なんと、「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」がAudibleにはいっているのを見つけました。無料でまるごと一冊聞けてしまうので、まだAudibleを試したことがない方は是非。
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