橋本厚生労働省副大臣がTwitterで「おお…。発見に感謝します。」「この方のご指摘に対応し、正誤表を公表しました。」とTweetされていることに気づきました。
この方のご指摘に対応し、正誤表を公表しました。https://t.co/66FFP9RPvN
— はしもとがく(橋本岳) (@ga9_h) November 14, 2019
ど…どういたしまして…!
恐縮です。
このような素人の一市民の意見に真摯に迅速にご対応いただき、こちらこそ感謝しております。
私の電話からたった1日で資料が修正され、厚労省・内閣府・財務省のそれぞれ公式サイト上で公表されたことに本当に感動しています。橋本副大臣からのご指示のもと、このような省庁横断的なご対応があったのだとすれば、改めて御礼申し上げます。
そして、素人が調子に乗って、副大臣にもうひとつだけ聞いていただきたいのですがよろしいでしょうか。
橋本副大臣への私信
財務省の財政制度等審議会(10/9付)の資料、p48とp49について、どうしても違和感があります。p49については今回の厚労省調査報告書修正を受けて一部修正が入りました。
財政制度分科会(令和元年10月9日開催)提出資料 : 財務省
資料のページ順とは逆になりますが、まずp49、そしてp48について私が持っている違和感を説明させてください。
違和感その1:児童手当の使途について(p49)
財務省は今回の厚労省H24児童手当の使途等に係る調査報告書の修正を受けて「大人のお小遣い」という表現をやめたものの、「使う必要がなく残っている」割合が世帯年収1000万円以上の世帯では17.1%あったことから、児童手当の廃止を含む見直しを引き続き求めるとしています。※参照:日経新聞、毎日新聞等
しかし多くの方がTwitter上でも指摘されていますが、厚労省の調査報告書上では「使う必要がなく残っている」という表現は、本来は下記のように書かれていました。※下記は所得を区別せず全体についての説明文なので数字は異なります
「「児童手当等」支給から回答時点までに特に使う必要がなかったので、全部又は一部が残っている(将来的に使う予定がある場合を含む)」と回答した人は12.0%となっている。
これは、1月末時点で10月に支給された「児童手当等」が1円でも残っている人の割合であり、全額が残っている人の割合ではないことに留意されたい。残額がある人については、今後の使用予定についても別途聞いている。(H24児童手当の使途等に係る調査報告書p23より引用)
つまり、支給されてからたった3ヶ月弱の時点で、児童手当が1円でも残っていれば、「使う必要が無く全部または一部が残っている」という回答をすることになります。
…にもかかわらず、財務省の資料では「使う必要がなく残っている」というシンプルな表現になってしまっています。
この違いについて、財政制度等審議会の委員の方々にはきちんと説明されているのでしょうか?
私のような素人から見ると、
・(児童手当を)使う必要がなく残っている
・3ヶ月で児童手当を使い切らなかった(1円でも残っている)、今後の使途は検討中
この2つはまったく異なる意味に思えます。
調査も古すぎませんか
また、そもそも平成24年に一度だけ行った使途調査をもとに児童手当の廃止を含めた見直しを進めてしまうのでしょうか? 7年も前ですよね…。平成24年、橋本副大臣が衆議院議員として2期目の当選を果たされたころですね。
今回の厚労省調査報告書を修正してくれた内閣府でも、この報告書がかなり古いことに言及されています。
現在児童手当を担当する内閣府は「かなり前の報告書であり、間違いの原因は今のところ分からない」と話している。
(毎日新聞記事より引用)
調査には時間もお金もかかるのでそう簡単に実施できないとは思いますが、今回報告書に誤りがあったこと、誤りの原因が分からないことも踏まえ、再度きちんとした児童手当の使途調査を実施するということも検討されると良いのではないか、などと素人ながら思っています。
違和感その2:子ども・子育て支援の公的支出増加について(p48)
p48の棒グラフをパッと見た印象では、子ども・子育て支援の公的支出は増加傾向にあるように思えます。実際そうなのだろうと思います。
しかし、このグラフには2011年に年少扶養控除が廃止されたことが反映されていません。
2011年までは16歳未満の子どもも扶養控除の対象でしたが、今は所得税も住民税も控除されなくなってしまいました。扶養控除は結構大きくて、例えば所得税20%の家庭で子どもが2人いれば、2011年までなら年間152,000円は税金が安くなっていたわけです。(釈迦に説法ですいません!!!)
現代の子育て世帯は「子どもを養育しているけど、税金は安くならない」状態にあります。2011年に、扶養控除が廃止される代わりに子ども手当(当時)が創設されたと理解しています。
「所得控除から手当へ」等の観点から、子ども手当の創設とあいまって、年少扶養親族(~15歳)に対する扶養控除(38万円)を廃止する。
それなのに、高所得者については児童手当まで廃止されてしまうのでしょうか。
財務省資料中で「高所得者」とされている世帯年収1000万円以上の家庭は、例えば夫500万円、妻500万円の共働き夫婦だとして、本当に「高所得者」と呼んでよいほど余裕があるのでしょうか。
また、グラフ内には消費税率の引き上げ(5%→8%)についてはさらっと触れられていますが、さらに8→10%へと引き上げられていますよね。
「子育て世帯の負担」という観点からは、扶養控除廃止や消費税増税の影響も計算にいれたグラフであるべきなのではないでしょうか?
まとめ
前のブログからの繰り返しに近いことを再度申し上げますが、私は別に「絶対に児童手当を廃止しないでほしい」というつもりはありません。国の財政が危ないのであれば、それも仕方ないことだと思っています。
ただ、その議論のもととなる資料は、いろいろなデータから廃止に向けた都合の良い数字や表現だけをつまみ食いして作成するのではなく、客観的で科学的な数字、調査票の正確な表現を使ってほしい、と考えています。
お忙しい副大臣に対し、このような長文を送り付けることについて躊躇もありましたが、せっかく私のブログに目を止めてくださったようなので、調子に乗って書いてしまいました。
本当に何も知らない素人の個人的意見ですので、きっと様々な専門家の方から反論があり得るだろうとは思っております。その反論も含め、厚労省はじめとするご専門の皆様のご知見をいただければ幸いです。
厚労省が既に児童手当の担当でないことは承知していますが、橋本副大臣にお伝えしたらどうにかしてくれるのではないか、と非常に勝手ながら期待しております。
【追記】
その後、橋本副大臣から大変丁寧なお返事を頂きました。