おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

児童手当の特例給付、廃止検討のニュースに思うこと

米国大統領選挙の話題で持ちきりだった私のTwitter画面が、突如として「児童手当の特例給付、廃止検討」のニュースで埋め尽くされました。

www.sankei.com

 

今の児童手当制度

現在は、0歳~中学生までの子どもに下記の通り児童手当が支給されます。子どもひとりにつき、総額で200万円ほどもらえる計算になります。(第3子以降なら250万円)

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画像引用:児童手当制度のご案内: 子ども・子育て本部 - 内閣府

 

①廃止が検討されている「特例給付」

上記の画像の一番下に「※児童を養育している方の所得が所得制限限度額以上の場合は、特例給付として月額一律5,000円を支給します。」と書いてあります。これが特例給付です。

なお、所得制限限度額は下記の通りです。

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画像引用:児童手当制度のご案内: 子ども・子育て本部 - 内閣府

この「所得制限限度額」は世帯で最も稼ぎが多い人の収入をベースに計算されています。例えば年収が夫500万、妻500万の夫婦であれば、所得制限の対象にはなりませんでした。

②所得制限の算定基準を「世帯全体の収入を合算する方式へ」

しかし今回のニュースでは、支給額の算定基準を「世帯で最も稼ぎが多い人の収入をベースにする制度」から「世帯全体の収入を合算する方式へ」変更することが検討されています。

年収が夫500万、妻500万の夫婦であれば世帯年収は1000万円。扶養親族等の数が3人以下の場合、所得制限にひっかかるようになりますね。

 

まさに我が家はこの範囲にあてはまっており、今回検討されているふたつの変更が実施されると、今まで満額もらえていた児童手当が一切もらえなくなります。

①特例給付の廃止

②所得制限の算定基準を世帯合算へ

 

我が家への影響

ものすごく具体的に考えると、例えば来年4月に制度が変わった場合(計算しやすくするために4月とします)、

長男は4歳、次男は2歳なので、そこからもらえる金額は

長男:10,000円×12か月×12年間=1,440,000円

次男:(3歳になるまで)15,000円×7ヶ月+(3歳以降)10,000円×5ヵ月+10,000円×12か月×12年間=1,595,000円

 

今の制度のままで私と夫の給与がそれほど上がらず所得制限に今後もかからなかった場合には、長男次男合計で3,035,000円もらえる計算になります。300万円!

もし私か夫の給与があがって所得制限に途中でひっかかった場合も、今の制度のままであれば特例給付で月5,000円はもらえます。例えば来年4月からずっと所得制限にひっかかったとして、長男次男の合計は150万円になります。

 

それが、今回のふたつの変更が実施された場合には0円になります。

 

我が家の未来にあたえる影響はそんなに大きくない

合計150万円~300万円がもらえなくなるのは、正直にいえば残念です。でももっと正直にいえば、この金額そのものは我が家にとっては大した問題ではありません。

例えば3人目を産むかどうか考える際に、児童手当で250万円もらえるかどうか(今の制度のままならもらえます。①②の変更がなされれば0円になります)は、私達夫婦の意思決定に全く影響しないと思います。

例えば子どもの習い事を考える際に、児童手当で月10000円もらえるかどうかは、意思決定に全く影響しないと思います。

 

そういう意味で、私個人としては、今回の①②の変更検討のニュースが我が家の未来にあたえる影響をそれほど大きく見積もっていません。

 

日本の少子化問題に与える影響は大きいかもしれない

ただし、これが日本の少子化問題に与える影響については、無視できないのではないかと思っています。

「児童手当がもらえる前提で将来設計をしていたのに、突然廃止になるなんて。日本で子育てするのは将来の見通しがたたなくて怖い。リスクが大きすぎる」という印象を、今の子育て世代にも、もっと若い世代(次の子育て世代)にも、与えてしまうと思うからです。

 

先日読んだ「日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?」という本には、日本的特徴として「リスク回避」傾向があると書かれていました。

日本では、生活上のリスクを回避し、世間体を保ち、子どもにつらい思いをさせない、という見通しが立たなければ、結婚や出産を控える傾向があると。

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政府の子育て支援策を信頼できない/子育てリスクが高すぎるという風潮へ

待機児童対策は重要だけど、その予算を同じ子育て世代から削り取って回すなんて…

富裕層でも年金はもらえるのに、児童手当はもらえないようになるんだ…

年少扶養控除の廃止(2011年)の代わりに児童手当制度ができたはずなのに、だんだん共働き子育て家庭は冷遇されていくのね…

などの声をTwitterでは散見しています。

 

政府の子育て支援策は信頼できない、子育てリスクが高すぎる、という風潮に拍車がかかるのではないかと懸念しています。

 

 

ここまで、とりあえず私がニュースとTwitterでの反応を見て思ったことをざざっと書きましたが、もうひとつだけ。

廃止するならするで、ちゃんと根拠を示してほしいなと思っています。

なんの根拠があって特例給付を廃止するのか?

去年の今頃、こんなニュースがあったことを覚えているでしょうか。

 

財務省は2020年度当初予算案の編成で、高所得者への児童手当について、廃止を含めた見直しを厚生労働省に要請する。世帯年収が高いほど「大人の小遣い」といった子どものため以外に振り向ける人が多いとの分析を踏まえ、本当に必要な世帯への給付に絞るべきだと主張する。

(引用:高所得者の児童手当、廃止含む見直し要請 財務省 :日本経済新聞

 

このとき財務省は、世帯年収が高い人は児童手当を「大人の小遣い」等に使っている人が多いとの分析を踏まえて、高所得者への児童手当廃止を主張していたわけです。

 

そして記憶力の良い方は覚えているかもしれませんが、この「分析」は全くの誤りでした。詳しく読みたい方はこちらをどうぞ。

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では今回は、なんの根拠があって高所得者への児童手当廃止を主張しているのでしょうか?

報道には書いていないので分かりません。

 

廃止するならちゃんと分析・検討して根拠を示してほしい

少なくとも私は下記のように考えています。

・児童手当使途の調査が古すぎる(平成24年)

→8年も前の調査にもとづいて制度見直しをするのはおかしいのではないか。コロナ禍で共働き家庭の家計にも大きな変化があったのではないか。まずは児童手当使途調査を再度すべきなのではないか。

・子育て家庭の家計負担を総合的に見るべき

→年少扶養控除の廃止(2011年)、消費税3%引上げ(2014年)、消費税2%引上げ(2019年)など、子育て家庭の家計に負担を与える様々な要因をちゃんと分析したうえで制度見直しをしてほしい。現役世代は、医療や介護などの保険料もかなり支払っています。

※このあたりの考えは下記のブログでご紹介したとおり、橋本副大臣とのやり取りで教えて頂いたことでもあります

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おまけ:なにか行動したい人へ

Twitterで意見を書くだけでなく、政府に対してパブリックコメントを送るという手があります。

各府省への政策に関する意見・要望|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

各府省への政策に関する意見・要望を2000文字以内で送ることができます。児童手当は内閣府が所管しているので、児童手当について書きたい場合は「内閣府」にチェックをいれると良いと思います。

 

※16時頃まではアクセスできていたのに、今はパブコメのサイトがアクセスできないようです。パンクでしょうか?

いま政府に意見を送るなら、こちらの首相官邸のサイトが良さそうです。

https://www.kantei.go.jp/jp/forms/goiken_ssl.html

 

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