おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

台風翌日に保育園の復旧作業をして思ったこと

台風19号、大きかったですね。

私の住む地域も避難勧告(警戒レベル4)が出ましたが、自宅は無事でした。ただ、子どもたちの通う保育園が浸水してしまったため、復旧作業を行いました。これはその記録です。

 

台風翌日、保育園が心配で見に行った

台風一過の朝。自宅よりも低い位置にある保育園が心配になり、朝食後に2歳長男を自転車にのせて保育園まで行ってきました。

 

驚いたのが、保育園の1階部分がすっかり水浸しになっており、そして日曜日の朝8時台だというのに既に何人かの保育士さんたちが復旧作業にあたっていたことです。

私「A子先生、おはようございます!」

先生「あっおたまさんと長男くん、おはようございます!ご自宅は大丈夫ですか?」

私「大丈夫です!」

先生「次男くんは?」

私「家で寝てます!先生、お手伝いできることありますか?」

先生「いえいえ、お子さんいらっしゃるし無理なさらず…!」

 

でもA子先生も小さいお子さんが2人いるはずなのに…。よし、私も手伝おう。

いったん帰宅し、家に子ども2人を置いて、保育園に向かいました。一応、持ち物は下記の通りです。

復旧作業の持ち物

・軍手

・ゴミ袋

・マスク

・帽子

・タオル(雑巾用)

・タオル(自分の汗拭き用)

・飲み物(ペットボトルを途中の自販機で買いました)

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この間、保育園の保護者LINEグループにも保育園の被害状況が共有され、「子どもを連れずに手伝いに来られる方は是非来てほしい」とのことでした。

 

保育園に着くと、既に10人以上の保育士・保護者が作業をしていました。

 

復旧作業の流れ

あくまでも私が把握した範囲ですが…

・浸水した1階部分から、すべての備品を運び出す(テーブル、イス、遊具など)

・1階部分にホースや高圧洗浄機で水を流しつつ、ブラシやモップで泥水を洗い流す

・濡れ雑巾で床と壁を拭く

・外に運び出した備品も洗い、雑巾で拭く

・雑巾で拭き終わったら、泥水に触れたすべてのもの(壁、床、備品)を消毒する←「ピューラックス」という次亜塩素酸ナトリウムの消毒剤を使いました。普段から保育園で使われているものです。手が荒れるのでビニール手袋を装着して使います。

うちの0歳次男は床も壁もおかまいなしに舐めるので、「0歳児たちが舐めても大丈夫なレベル」を目指して綺麗に拭きました。

このあたりで私は子どもたちの昼食&昼寝の寝かしつけのために復旧作業から離脱しました。午後も30人以上の保育士・保護者で作業を続けてくれたそうです。

 

復旧作業をして思ったこと

・作業参加者のレベルが高くて感動した

保育士さんも保護者も、災害復旧作業の専門家はひとりもいないのに、てきぱきとやるべきことを見つけて協力して進めていることに感動しました。一応、園長先生や古参の先生方を指揮系統のトップに置きつつ、各参加者が自分のできることをどんどん進める…という感じでした。

 

・ただし、手順が明確でなかったことによる混乱はあった

例えば「泥に触れた部分はすべて消毒する」ということを事前に周知されていなかったため、ちょっと手戻りがありました。濡れ雑巾で拭いた床にビニールシートを広げて、濡れ雑巾で拭いた備品を並べて乾かそうとしていたところ、保育士から「泥に触れたものはこの消毒液ですべて消毒してください!」と指示がありました。しまった、ビニールシートをひく前に床を消毒しておくべきだった…。そしてせっかく並べた備品もあらためて消毒→再度並べる、という二度手間になってしまいました。

「泥水に触れたものは消毒する」という知識、今後のために覚えておきます。

 

また、一階部分を洗うのも、本当はすべての備品を運び出し終えてから奥の方から順に洗うとスムーズだったと思うのですが、各人が目についたところからモップでこすったり水切りをしたりと、少々手際の悪い場面はありました。何を隠そう私も玄関を洗い始めてしばらくしてから「あっ、今ここを洗っても、どうせ奥から泥水が排水されてくるから汚れるんだ…玄関は最後にしよう…」と気づきました。

 

・気が利く人ってすごい

私は雑巾用のタオルと軍手を少し多めに持って行ったくらいで、飲み物は自分の分しか持って行かなかったのですが、途中から来た保護者さんは

・500㎖のペットボトルを10本くらい差し入れ

・2ℓのペットボトルと紙コップを差し入れ

・軽食を差し入れ

・自宅からモップやブラシを持参

・高圧洗浄機を持参

などなど、「作業しながら必要になりそうなもの」を想像して差し入れてくれていました。気が利く人ってすごいですよね。

 

・休憩はちゃんととるべき

10月とはいえそれなりに気温も上がり、作業参加者は皆汗だくでした。途中で保育士から「ここで10分間の休憩にします!皆さん作業の手を止めて水分をとってください!」と指示がありました。

私は素直に手を止めて持参のペットボトルから水分補給したのですが、なぜか手を止めない男性たちが数名…。作業に熱心なのは本当に素晴らしいと思うけど、ここで無理して熱中症などになったら大変です。こういうときは「自分はまだ元気だから大丈夫」と思わずに指示通り休んでほしいなぁと思いました。

 

・保育士さんは給料をちゃんともらえるんだろうか

保護者はボランティアで良いですが、保育士さんはこの日曜の作業についてちゃんと休日出勤の扱いになるべきだと思います。どんな扱いになるのか聞いていないので分かりませんが。気になる~。

 

・東日本大震災のボランティア経験がちょっぴり役に立った

2011年の東日本大震災のあと、私は宮城、岩手、福島でのボランティア活動に何度か参加しています。がれきや汚泥の片付けや被災した家の清掃など、今回の保育園の復旧作業に似た作業も行いました。

8年前にこうしたボランティアに参加したおかげで、今回浸水した保育園を見たときに「自分が復旧作業に参加する」ハードルはとても低かったと思います。「やったことがある」というのは大事ですよね。

また、持ち物についても、軍手などのほか、埃や乾いた泥を吸い込まないようにマスクを持っていこうと思ったのは、東日本大震災のボランティア活動でマスク着用が必須だったからです。今回、保育園では特に消毒剤を使用するときにマスクをつけるように指示されました。(ちゃんとマスクは配布されました!)

 

・保育園のことを詳しく知るきっかけになった

普段の送迎時はバタバタしているため保育園の設備をじっくり見ることはありません。今回、壁や床を洗ったり拭いたりしながら「ドアはこんな風になっていたんだ」「子ども用のトイレ便座はこんな形なんだ」「この部屋、初めて入った」などと、じっくりと保育園の設備を観察しました。自分の子どもたちが1日10時間を過ごす場所をよく知れて良かったです。掃除をすると、その場所に愛着がわきますよね。

また、今回の復旧作業には「既に自分の子どもは全員卒園しているが、保育園が心配だから手伝いにきた」という方もいました。ありがたいです。そうした先輩方から「うちの子はこの保育園の一期生なのよ」「当時はね…」などといろんな話を聞きながら雑巾がけをするのはなかなか面白い経験でした。

台風は大変でしたが、保育園を詳しく知るきっかけになったという意味でも今回の復旧作業に参加して良かったなと思います。

 

まとめ

まとまりもなく長文を書いてしまいましたが、今後、我が子の保育園の復旧作業にあたる…という方がいればなにかしら参考になると良いなと思います。

火曜日には登園できるようになりますように。

 

最後になりましたが、今回の台風で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

 

【ちょっと追記】

「泥水の中にはふだんの環境では接しない微生物がいる可能性があるので、こういう作業に備えて予防接種をしておくのがお勧めです。最もこわいのは破傷風ですが、肝炎などもありえます。」と教えていただきました。

また、釘などを踏み抜いて足を怪我することを避けるため、「靴底に金属が仕込んである長靴」を履いていくと良いそうです。

 

こうした安全確保については日本環境感染学会のガイドラインが大変分かりやすかったので、これから浸水した家屋の復旧作業に参加される方はこちらを一読されることをオススメします。

一般家屋における洪水・浸水など水害時の衛生対策と消毒方法(日本環境感染学会)

一部ご紹介すると、下記のようなことが書いてあります。

・マスクをつけて
・窓を開けて扇風機を回しながら
・泥水をしっかり洗い流して
・最後は次亜塩素酸ナトリウムなどで消毒
・10年以内の破傷風ワクチン接種確認

 

どうぞご安全に!

 

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