おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

夫が育休をとった。夫が「主担当経験者」になった。

飲み会の幹事を一度でも経験した人は、遅刻連絡をちゃんとするようになる(と思う)。

育児の主担当を一度でも経験した人は、「察して動く」ことができるようになる(と思う)。特に育児において「察して動けるかどうか」は男女差で語られることが多いけど、男女差よりも経験の差のほうが大きいのかもしれないと思いました。

 

さて、夫が2週間の育児休業を取得しました。夫の職場では男性育休はかなり珍しく、夫の部署においては「初の男性育休」になったそうです。夫は本当は第1子誕生の際も育休を取りたかったのですが、職場の状況が許さず、第2子誕生を機に、満を持しての育休取得となりました。

たった2週間ですが、私たち家族にとって大きな意味をもつ2週間になったと思うので、育休の記録と感想を書きました。長文です。

 

育休開始時点での家族構成は下記の通り。場所は私の実家です。

夫(30歳):初めての育休!家事スキルはもともと高め

私(30歳):産後2週間、まだ産褥期のため安静気味に生活

長男(1歳7ヶ月):遊びたい盛り。平日日中は保育園

次男(生後2週間):昼夜を問わず1日10回以上のおむつ替えと授乳が必要

私の母(60代):家事スキル高め。週に3~4日のフルタイム勤務。

私の父(60代):家事スキル低め。フルタイム勤務、海外出張あり

 

 

1.育休の準備:夫への依頼事項の文章化

産後は私が睡眠不足とホルモンの乱れで大混乱状態に陥ることをみすえ、出産前に夫あてに「育休中に任せたいことリスト」を作成しました。新生児の世話は私がするので、基本的に夫は長男(1歳)の担当です。

★育休中に任せたいことリスト(長男関連)★

・オムツ替え(起床後は必ず、あとは適宜)

・階段の昇り降りの付き添い(1人で昇り降りさせない)

・食事の前後の手洗い(朝はついでに顔も洗う)

・朝食後、パジャマから着替えさせる(パジャマへの食べこぼしが酷ければ、手洗いしてから洗濯機に)

・保育園の送り迎え

・保育園の連絡帳記入

・帰宅後、保育園バッグから服を出し、汚れていたら手洗いしてから洗濯機に入れる

・保育園バッグに新しい服を2セット(肌着、ズボン、トップス各2)と靴下をひとつ入れる

・夜の歯磨き(自分でさせる→仕上げ磨き)

・毎晩、喘息予防の薬を飲ませる(基本は夕飯前。飲まなければ寝る前までには飲ませる)

・風邪を引いた場合:鼻水を吸い取り、鼻吸い器を洗って乾かす。熱っぽければ検温。必要あれば小児科へ。

・爪切り(目安は週に1回。友達に怪我をさせない程度に短くする)

・あとは、目を離さないこと。特に我が家は大人が複数いるので助かる反面、「誰かが見ているだろう」と油断しがち。今は私が主責任者として家にいる間は長男の動向を常に気にかけているけど、産後は新生児で手いっぱいになると思うので、育休期間中は夫に主責任者をお願いしたい。

 

このリストについて、夫からは「分かりやすい!ありがとう!」とのこと。さて、実際に育休に突入すると、なかなかこのリストを完璧にこなすのは難しいのです。しかもこのリスト自体も完璧ではなかったりして…

 

2.育休中:良かったこと、悪かったこと

良かったこと

・夫が1歳児を担当してくれたおかげで、私が安静を保てた

→これがそもそも夫の育休取得の一番の理由です。 産後は1ヵ月以上出血が続き、骨盤もがたがたで腰痛もあり、さらに新生児育児で寝不足でホルモンバランスも崩れてしっちゃかめっちゃかな体調です。体重12㎏の1歳児を抱き上げたり、外で一緒に遊ぶことはできません。そこで健康で体力のある夫が1歳児と外遊びをしてくれて、ときには泣き叫ぶ1歳児を抱き上げてなだめてくれて、危ないことをしそうになったらダッシュで止めてくれる。素晴らしい。小児科や耳鼻科に連れて行くのも夫に完全に任せました。

・普段なかなかできないことを夫がしてくれた

→1歳児の散髪、歯医者さんでのクリーニングデビュー、サイズアウトした靴と下着の買い替え、さらに部屋の模様替え、天井灯の交換、風呂場の本格的カビ取り…などなど、気になっていたけどできていなかったことを夫がもりもりこなしてくれました。超感謝。

・家事を担ってくれた

→普段は(特に私の安静期間中は)私の母が食事を作ってくれていますが、「お母さんが仕事の日は俺がご飯つくろうか」と夫が提案してくれました。母も、たまには人が作った料理を食べたくなるので、これはとても嬉しかったようです。

 ・ちょっとした手伝いを快くしてくれた

→新生児の世話は私が主担当ですが、実は夫のほうがゲップさせるのが上手なので、母乳のあとのゲップをお願いして、私は横にならせてもらったり。吐き戻して汚れた服の手洗いをしてもらったり。ちょっとしたことでも積み重なると結構疲れます。夫が仕事をしているときは遠慮して頼まないことも、育休中ということで安心して頼めました。

・夫とたくさん話せた

→上の子が産まれて以来、子どもがいなかった頃に比べて「夫婦2人でゆっくりおしゃべりする」時間は激減しました。それが、今回の育休のおかげで、上の子が保育園に行っている間、例えば私が下の子に授乳をしながら、リビングで夫と2人のんびりおしゃべりすることができました。これはとても良かったです。

・夫が「育児の主担当」経験者にレベルアップした

→これは正直、予想外のメリットでした。上の子の育児については、私が1年間の育休をとって専業主婦状態で育てたこともあり、基本的に私が常に主担当で、夫は主担当の指示のもとで「育児を助けてくれる」という形でした。それが、たった2週間とはいえ長男の「主担当」の役割を担ったことで、夫の育児レベルが急激に上がりました。翌朝の動きを事前に予測して長男の着替えをあらかじめ用意しておいたり、私がバタバタしていたらささっと次男のオムツを替えてくれたり。人間、立場が変われば見えるものも変わるんだなぁと感動しました。

悪かったこと

・夫の給料がちょっと減った

→育休中は給与ゼロです。また、2週間とはいえ休業することで、職場の皆さんにはご迷惑をかけたと思います。夫のキャリアへの影響は未知数。

・関係者全員にストレスが溜まった。特に夫と母。

→私の実家に同居状態になったことで、下記のようなストレスが新たに発生しました。

夫:生活習慣の違いや義両親への気遣い(+常に目を離せない1歳児に起因するストレス)。今回もっともストレスを溜めたのは間違いなく夫だと思います。使い慣れない台所、言うことを聞かない1歳児、夫の基準からすれば汚すぎる排水溝、突発的に発生する小児科・耳鼻科通いと待ち時間、さらに夜は新生児の泣き声、寝不足で機嫌の悪い妻…。

母:夫への気遣い、夫が家事を担うことによるプレッシャー(例:夫が台所で「小麦粉はどこですか?」と聞けば、「整理できてない台所でごめんね…」と焦り、夫が風呂場のカビ取りを始めれば「普段から綺麗にしていなくてごめんね…私なりに掃除してるんだけど…」と焦る)

私:上記2人の間に挟まれる(夫は母に直接聞けないことを私に聞いてくる、母は夫に直接言えないことを私に言ってくる。ネギの使い道とか。直接やり取りしておくれよ…と何度思ったことか)。また、夫の家事・育児のやり方が自分と違う際に、「でもこれは夫に任せたんだからやり方も任せねば…」と我慢したり。

父:父なりに夫に気を遣っていた模様。でも途中から海外出張に行ったので、一番ストレスが無かったと思われる

 

3.育休後:育休を振り返って、夫の感想

夫の感想(一部)

・育児を主担当する大変さを部分的ではあるが認識できた。

・育児は労働。思い通りにはならないし、様々な拘束を受ける。

・小児科の待ち時間、保育園の連絡帳、着替えの準備等、担当してみないと分からない負担があった

実は育休終了直後に夫が2時間かけて「育児休業を終えて」という名文(超長い)を書いたので、本当はこれを公開したほうがいろんな人の参考になりそうなんですが、個人情報のカタマリなので控えておきます。彼は今回の経験を職場でも活かしていくと思います。

育休終了日に夫から「いつも一人で大変な思いをしてくれて申し訳ないし、感謝している。」と言われました。嬉しい。

 

4.まとめ

育休の良かったことと悪かったことをどちらも書きましたが、総括としては「夫が育休をとってくれて本当に良かった!」と感じています。育休期間中はもちろん助かりましたが、この先の長い人生を、「育児の主担当経験者」である夫とともに、同志として協力し合っていけるのが嬉しいです。

なお、私の反省点。前述の「育休中に任せたいことリスト」に書いておいたことを忘れられたときは腹が立ちましたが(例:泥のついた服をそのまま洗濯機にいれないでよ!手洗いしてって書いたでしょー!)、これが仕事であれば、前任者である私が夫に引き継ぎ資料をぽいっと渡して、書いてあることを後任者である夫が100%完璧に実行することを期待してはいけないですよね。そこは産後とは言え、私がもう少し丁寧にフォローすべきだったと思います。

 

この先、きっと私は「夫の育休」を何度も思い出すと思います。夫が長男に絵本を読んであげている隣で私が次男に授乳している場面、私が次男のウンチおむつを交換しているところに長男が突進してきて夫がダッシュで長男を抱き上げる場面、夫のすべてのパジャマが吐き戻しで汚染されて、仕方なく私のピンクのパジャマ(授乳口つき)を着ている夫、夫が描いたアンパンマン(うまい)と食パンマン(なぜかアンパンマンと同じ顔)。50年後まで2人で思い出し笑いできそうです。

長々と書いてしまいましたが、もし私の男友達や職場の同僚男性が、育休とろうかなと相談してきたら、「とりなよ!」と自信を持って言えると思います。我が家は第2子で初めての夫の育休になりましたが、第1子でも育休がとれていればもっと良かったはず。子どもがいる男性、みんな育児の主担当経験者にな~れ。