2月2日にNY Timesの公式アカウントから、こんな連続ツイートがされました。邦訳は私が適当にしたので、ちゃんと読みたい方は英語原文を読んでください。
日本では、多くのワーキングマザーが日本特有の困難に直面する:日本の男性は先進国で最も家事をしない。そのせいで、女性は良い仕事につけないし、日本経済も停滞している。
Many working moms in Japan face a unique challenge: Men do less housework than anywhere else in the developed world. It’s keeping women from getting better jobs, and holding back the economy. https://t.co/kWKU47S8m6
— The New York Times (@nytimes) February 2, 2019
安倍晋三首相は「ウィメノミクス」として女性登用による経済振興を目指している。
Japan’s prime minister, Shinzo Abe, has a goal of energizing his nation’s puttering economy by elevating women in the labor force, an initiative referred to as “womenomics.” https://t.co/kWKU47S8m6 pic.twitter.com/Paz59xXz0F
— The New York Times (@nytimes) February 2, 2019
日本女性の市場参加は歴史的なレベルで進んでいるが、多くは限定された役割にとどまっている。働く女性の半数以上はパートタイムであり、3分の1は有期雇用である。結果的に、男性と女性の給与の差はとても大きい。※このあと訂正があり、「働く女性の半分近くはパートタイムであり、半分以上は有期雇用である」とされました
While Japanese women have entered the workforce at historic levels, many are stuck in limited roles.
— The New York Times (@nytimes) February 2, 2019
More than half of working women are employed part time, and about a third are on temporary contracts, reinforcing a large pay gap between women and men. https://t.co/kWKU47S8m6 pic.twitter.com/LWsbaLO6Sy
日本女性はさらに家でも不平等な重荷を背負わされている。日本の典型的な夕食は、複数のオカズを必要とする。子どもたちのお弁当は芸術的なレベルだ。いまだに食洗器が無い家庭も多い。そして男性は手伝わない。
Japanese women also shoulder a disproportionate burden at home. Cooking a typical dinner often involves preparing multiple small dishes. Children’s packed lunches can be works of art. Dishwashers are not yet ubiquitous. And men are typically not helping. https://t.co/kWKU47S8m6 pic.twitter.com/CpU2X1cS54
— The New York Times (@nytimes) February 2, 2019
第一子出産後、職場復帰する女性はわずか半数で、しかもパートタイムであることが多い。夫はとんでもない長時間労働を続けており、「Karoshi=過労死」という「働きすぎて死ぬ」現象まで起こっている。
Just over half of Japanese mothers go back to work after the birth of their first child. But they often have part-time jobs while their husbands continue to work brutal hours, contributing to a phenomenon known as “karoshi,” or “death from overwork.” https://t.co/kWKU47S8m6 pic.twitter.com/KksfjPLDS9
— The New York Times (@nytimes) February 2, 2019
これ、読んでどう思います?
私は、恥ずかしいと思いました。日本の状況は外からみるとこんなに酷いんだと。しかもこれが英語で全世界に発信されてるんだと。
そして、ちょっと思い出したことがあります。
数年前、まだ私が子どもを産む前の話です。仕事でお世話になっているオランダ人女性(だいぶ年上)が初めて日本を訪れて、一緒にご飯を食べていた時のこと。
オランダ人女性「この質問が失礼にあたらないと良いんだけど…。日本では女性差別がひどいと聞いているの。進学や就職でも男性より不利というのは本当?」
わたし「えっ、オランダではそんな風に言われてるんですか?私自身は日本で女性としてそんなに差別されたことはないですよ。家庭では弟と同じように育てられたし、進学も就職も特に女性だから不利益を受けたとは思わないです。確かに歴史的には日本では女性差別があったけど、私が産まれる頃には雇用機会均等法もできていて、いまでは女性だからこそ有利なこともありますよ!」
オランダ人女性「そうなのね!それを聞いて安心したわ。でも、日本に来てからミーティングで会う人たち、ほとんど男性なのよね。日本企業のトップはあまり女性がいないでしょう?」
わたし「上の世代はそうですね~。でも、偉くなる女性も増えているし、私たちの世代が40~50代になるころには、企業のトップにもっと女性の割合が大きくなっているはずですよ!」
…この私の発言、別に間違ってはいなかったと思うんですが、「恵まれた環境で育った日本人女性、しかも独身子供なし」のセリフなんですよね。
このあと結婚して夫と2人暮らしになって、なんとなく家事の負担が(共働きで給与も同レベルなのに)自分のほうが大きいことが当たり前だと思っていて、子どもが生まれて当然自分だけが1年間育休をとって、同世代も出産を経てだんだん職場の第一線から退く人も出てきたりして…。あれ?これってまさにあのときオランダ人女性に言われた状況になってきてる?と気づきました。
「育休世代のジレンマ」で描かれた状況に、自分も陥りつつある…。
この本でいうと、私はまさに「高学歴・正社員、早めの出産」という「優等生」なんですが、「産め働け育てろプレッシャー&自己実現プレッシャー」のもとにある。そして「皮肉なことに、妻の企業の両立支援が整えば整うほど、夫の調整の必要はなくなり、家庭内で妻が二重負担を背負いやすくなる可能性があるのだ。」の一文は、初めてこの本を読んだときはふーんそうなんだと思っていたけど、いまや我が家がその状況。実際、夫の職場は私の職場のおかげ(私の育休&時短&在宅勤務)で夫の労働力をフルで確保できてるし。
この本、2014年の出版だけど、今読み返しても全然古くなってないです。まだ読んでない方はぜひ読んでください。
話を戻すと、NY Timesの記事(英語)では、さきほど引用したツイート内容にとどまらず、長時間労働の末に臨月で死産した日本人女性の話や、日本の男性が家事育児が不可能なほど長時間労働している現状、保育園の連絡帳や小学校の宿題を見る負担(ほぼお母さんが負担)など、「ねぇ日本ではこんなひどい状況なんですよ!信じられない!」というテンションで描かれています。記事内には「We want to hear from you」と、あなたの家庭の状況も教えてください、との募集もあり。なお、この記事は日本語でも読めます(ちょっと誤字あるけど)。
日本の状況が世界でこんな風に知られていくことについて、恥ずかしいと思うと同時に、日本が変わるために外圧がかかるのは良いことだなとも思います。
※このブログはなんとなく3日に1回の更新にしてたんですが、NY times の記事で気持ちがたかぶって2日連続の更新になりました。