西川恵「エリゼ宮の食卓」を読みました。
p113に、世界のVIPに供する料理のルールが書いてあります。
・同一の主賓に二度同じメニューは出さない(例えばコール独首相は1年に5~6回エリゼ宮で食事したが、同じメニューは決して出さなかった)
・主賓の嗜好への配慮(宗教、好き嫌い、アレルギー)
→例えば敬虔なユダヤ教徒は、乳製品と肉を同時に食べることを嫌う。これは旧約聖書に「子ヤギをその母親の乳で煮てはならない」と書いてあるから。じゃあユダヤ人をもてなすには鶏肉入りのクリームシチューはだめなのね…。
・珍味でも、一部の人から嫌われる食材もご法度。例えばエスカルゴ、カエル、ウナギ。
→ウナギもだめなんだ!!!ウナギって、カタツムリとかカエルと並べられちゃう食材なんだ!!!
・また、主賓の国の特産品も食材に使わないことになっている。お米を主食とするアジアの国の主賓には、お米を使った料理は出さない。
→ということは、ドイツ人をもてなすときに肉じゃがつくっちゃいけないのかしら。
・ニンニクは使うが、ご婦人のことを考えて控え気味にする。
なるほどなぁ…。
もちろん私が自宅で国賓級のVIPにご飯を食べさせることはなかなか無いと思いますが、未来は何が起こるか分からないので、この本で予習できて良かったです。
ちょっと前にアメリカ人とここぞとばかりに美味しいウナギを食べに行ったんですが、ウナギが「人を選ぶ」食材だとは知りませんでした。
ちょっと話がそれますが、厳しめベジタリアンの友人と東京で食事するときに便利だったお店を書いておきます。美味しいし、ベジタリアンメニューが豊富だし、安いし、結構のんびりお喋りできるので、しょっちゅう行ってました。英語メニューもあります。ローラさんがTVで紹介してちょっと話題になったらしいです。
eat more greens(麻布十番)
ご参考まで。
話を戻すと、この本は「フランス食卓外交の奥義を明らかにする知的グルメ必読のノンフィクション」と書かれており、様々なVIP(英女王、米大統領、天皇など)にどんなメニューがなぜ出されたのか、そのときのエピソードや政治的背景などが書かれていて面白いです。エリゼ宮では醤油がなくてはならない調味料だとか、歴代大統領はなぜかみんな卵料理が大好きだとか、エリゼ宮の厨房を実際に取材して描かれた逸話もたくさんはいってます。
エリゼ宮では「材料費は無制限」ですって…うらやましい…。食器はすべてセーブル焼でグラスはバカラ社のクリスタル、そしてナイフやフォークはピュイフォルカ社とクリストフル社の銀器ですって…。夢みたい…。
Kindleになってないのが残念ですが、興味がある方は是非読んでみてください。テーブルクロスや花の選び方まで書いてあって、政治に関心が高くなくても面白く読めると思います。もちろん政治・外交に関心がある人にはものすごく面白いと思います。解説はユネスコ事務局長だった松浦晃一郎氏です。
なお、私がこの本を読もうと思ったのは、前に読んだ「知られざる皇室外交」がとても面白かったので、同じ著者の本をもうひとつ読んでみよう~という軽い気持ちからでした。こっちもすごく面白いのでオススメです!