おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

普段乗っている電車の消火器や非常ボタンの位置を一度は確認しておこうという話

こちらのTweetが拡散され、700万人以上に読まれています。

 

 

万が一の場面に備えて知っておいて欲しいこと

友人の投稿内容は下記の通りです。

京王線の事件、鉄道業界にいる者として非常に憤りを感じると共に、残念ながらしばらく模倣犯に気をつけないといけないなと思います。「電車内で刃物を振り回して放火する」ということが自暴自棄になった人間にとって簡単に人を傷つけ、社会にダメージを与えられるということがわかってしまったので、やらないわけは無いと思います。

 なので、万が一そうした場面に遭遇した場面に備えて、以下のことを知っておいて欲しいと思います。少しでもパニックを防ぎ、冷静に行動できる材料になればと考えています。
①基本的に、非常ボタンを押されても運転士はトンネルや橋の上は避けて止まるため、止まるまでにタイムラグがあること。(非常ボタンが無視されていると思わないこと)
②乗務員も各車両に防犯カメラが付いている最新車両でも無い限りは、状況を把握することは困難であるため、状況を伝えなければならない立場となった時、乗務員に正確に伝えること。
③車両には必ず消化器が備えられていること。トンネルを長距離走行する車両は各車両2個ずつある。
④製造が新しい車両ほど、窓が開く隙間が狭く窓からの脱出は難しいこと。
⑤ドアを開けるドアコックがドアの上またはドア付近の椅子の下などにあること。
⑥車両の素材には難燃素材が使用されており、燃えないことはないが、燃え広がるのに時間がかかること。(脱出の時間はあると思うこと)
今回、安全のためのホームドアが脱出の妨げとなってしまったことにショックを受けています。これも何らかの形で改善されるのではないかと思いますが…。事件が起きること前提で話をしないといけなくなったということが残念でなりません。

(引用:友人のFacebook投稿より)

 

(私から、Twitterでシェアして良いか質問)

匿名になるなら良いよ!
ただ、ドアコック使用については、最後の手段にして欲しいということは補足したいです。降りないと危険な時と降りたほうが危険な時の判断が難しいので。異常事態の対処に完全な正解は無い…
(引用:友人のFacebook投稿より)

 

私が思ったこと

・もし私が電車内で何かの事件に遭遇して非常ボタンを押したとしても、そこがトンネルや橋の上など「ここで電車を止めたら危ない」という場所ではしばらく電車は止まらない、でもそれは非常ボタンが無視されているわけではないんだ、というのは今知ることができて良かった。これは多くの人に知ってほしい。

・最新車両だと各車両に防犯カメラが付いている場合があるんだ!それにしてもパニック状態の乗客から乗務員に状況を正確に伝えるのはすごく難しそう…

・電車で確かに端っこの方に消火器があるのをみたことはあるけど、「各車両に必ずある」「トンネルを長距離走行する車両には2個ずつある」とは知らなかった。

・新しい車両ほど窓が開く隙間が狭い、というのは言われてみれば…という感じ。落下事故防止などの意味があるんだろうけど、今回の京王線の事件の映像を見ていると、あの隙間からは体の大きな人や妊婦さんが逃げるのは大変だろうなと思った。

・ドアを開けるドアコックがどこにあるのか、意識したことがなかった。今度電車に乗ったら見てみよう。

・電車は燃えにくい素材でできている、というのはいざというときにパニックにならないためには重要な知識だな。

 

翌日、電車に乗ってキョロキョロしてみました

友人の投稿を読んだ翌日、出勤中に非常用ボタンと消火器、ドアコックの位置を確認しました。

電車が混んでいる時だとかなり難しいので、空いている時間帯に乗ったらぜひ消火器や非常ボタンの位置を見てみてください。

私はその後、ドアコックの位置も把握しました。ただし友人の補足にもあるとおり、ドアコックを乗客が使うのはかなりの「最終手段」なので、基本的には何かあったら乗務員の指示に従うのが大事です。

 

教訓として知っておきたい過去の列車事故

Tweetが拡散されたことで、多くの方が「過去にこんな事故があったと知っておいた方が良い」と教えてくれました。ありがとうございます。

 

桜木町事故(1951年)

・炎上する列車に閉じ込められた乗客100人以上が死亡

・この事故があったので、非常用のドアコックの設置が義務化され、緊急時にはドアを乗客が手動で開けられるようになったとのこと

ja.wikipedia.org

 

三河島事故(1962年)

・脱線列車から避難して線路上を歩いていた乗客を、反対車線から来た列車がはねてしまい、100人以上が死亡

・Wikipediaを読むと、大惨事だったことがよくわかります。万が一自分が電車から降りて避難する場合には反対車線から来る電車に気をつけねば…と思います

ja.wikipedia.org

 

一般の乗客ができること

・普段使っている電車の、非常用ボタン、消火器、ドアコックなどの位置を確認しておく

・非常時にはまず自分の安全確保。可能なら乗務員への冷静な情報伝達を

・ドアコックは最終手段。列車から降りて避難する場合は、感電や反対車線からの電車に注意する

 

まずは「逃げる」のが最優先

無差別に攻撃してくる犯罪者に遭遇したときは、まずは「逃げる」のが最優先、というのをとてもわかりやすく説明している動画を教えてもらいました。6分弱で見られます。

RUN:まず逃げる ※「可能なら」他の人を助ける

HIDE:逃げられない場合は隠れる

FIGHT:隠れられない場合は戦う

 

2012年7月23日テキサス州ヒューストン市市長室公共安全と国土安全保障局作成 「RUN HIDE FIGHT」~無差別銃発砲事件に巻き込まれた場合の対処法~

youtu.be

 

もちろんこれは電車内の話ではないし、無差別発砲事件に巻き込まれた場合の対処法なので、「電車内で刃物を持った人が…」という場合にそのまま応用できるわけではありません。

でも、「まず自分が逃げる」「可能だったら他の人を助ける」という優先順序をはっきり示しているところがメッセージとしてとてもわかりやすいなと思いました。

今回の京王線の事件では、イヤホンをしていて状況に気づいていない若い男性に、逃げるように声をかけている人の姿が写っていました。私はそれは素晴らしい行動だと思いますが、それができなかった人を責めるのは違うんじゃないかな、と思うのです。私がちらっとTwitterで見かけたご意見ですが、老人や女性をおいて男性たちが真っ先に逃げ出すなんて…という非難の声もあったようです。

 

友人の「異常事態の対処に完全な正解は無い」という言葉は本当にその通りだなと思いますが、まずは逃げる、自分の安全を確保する、そして「可能なら」他の人を助ける、というのは、異常事態に遭遇した時の一応の「正解」だと感じています。

そして多くの人が事前に消火器や非常ボタンの位置を確認したり、非常時に少しでも冷静に行動することによって、「可能なら」の範囲がちょっとでも広がると良いな、と思います。

 

非常ボタンを押すと何が起こるの? →鉄道会社によって違う

電車内の非常用ボタンが押された場合、東京メトロの場合は原則として停車せず、JR東日本では原則としてその場で停止させるそうです。

鉄道会社によって違うんですね!

そこでボタンを使用すると電車は必ず止まるのかどうか取材しました。(中略)

東京メトロでは、急病人や車内トラブルで車内の非常通報装置が押された場合、基本的には電車を停車させずに次の駅まで運行するということです。(中略)

一方でJR東日本や小田急電鉄では、ボタンが押された場合、電車の乗務員が乗客と通話ができる装置を使って車内の状況について聞き取りを行ったうえで安全確認のため、電車を原則としてその場に停止させることにしています。

(引用:緊急時 あなたはボタンを押せますか? | 災害・防災・安全 | NHK生活情報ブログ:NHK

 

こちらは東京メトロのサイトから画像をお借りしました。非常通報装置で乗務員と連絡を取ることができると書いてありますが、電車が止まるとは書いていないですね。

こんなときは | 安心への取組み | 東京メトロ

f:id:shiratamaotama:20211108144029j:image

 

こちらはJR西日本のサイトから画像をお借りしました。車内非常ボタンを押すと、列車が緊急停止するそうです。

AED・車内非常ボタン:JRおでかけネット

f:id:shiratamaotama:20211108144532j:image

 

自分が普段使っている電車の、電車内にある非常用ボタンを押すとどうなるのか、一度確認しておくと良いかもしれません。

 

【2021年11月15日追記】

私のTweetをみたハフポストの記者さんから依頼を受けて、冒頭のFacebook投稿をした友人を紹介しました(友人は匿名を条件に取材に応じてくれました)。

 

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