おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

息子に「宇宙でやりたいこと」を見つけてほしい

宇宙への興味

うちの息子たちが宇宙について最初に興味を持ったのはこの絵本がきっかけです。

ベッドに入ったけどなかなか眠れない女の子がパパを質問攻めにするのですが、パパの回答がなかなか素敵なのです。

宇宙やブラックホールが登場するページがあって、3歳長男も2歳次男も「宇宙」という新たな概念に興奮しているようです。「宇宙ってどこにあるの?」「空のもっと上ってどこ?」「いっぱい食べて空まで大きくなったら宇宙も行ける?」「宇宙にいったら恐竜に乗れる?」などと私が質問攻めにされています。

 

そして息子たちの質問攻めに万全の体制で答えるべく、この本を読みました。宇宙飛行士の山崎直子さんが2020年11月に出された新しい本です。

 

『宇宙飛行士は見た 宇宙に行ったらこうだった!』

日経新聞「竹内薫氏が選ぶ3冊」で星5つを獲得/全国学校図書館協議会の選定図書に選出!
宇宙飛行士の山崎直子さんが実際に宇宙で体験した面白エピソードから宇宙食、月や火星、スペースシャトルや国際宇宙ステーションに至るまで、宇宙に関する興味深い内容が盛りだくさんの一冊です。(Amazonサイトより引用)

写真やイラストが多く入った子供向けの本なので、我が家の息子たちも面白いようです。

全ての漢字にふりがながふってあるので小学校低学年から自分で読めそうですが、内容はすごく充実していて大人が読んでも面白いです。宇宙飛行士は宇宙で何をしているのか?どんな生活をしているのか?というのがよくわかります。

 

この本を読んでいたら山崎直子さんについてもっと知りたくなったので、立て続けに山崎直子さんの本を計5冊読みました。まるでストーカーです。

 

2010年初版発行の子ども向けの本、『瑠璃色の星』

『宇宙に行ったらこうだった!』は宇宙でしたこと(行動)中心に書かれていますが、この『瑠璃色の星』は宇宙で考えたこと(思考)中心に書かれています。

山崎さんが宇宙で詠んだ俳句『瑠璃色の 地球も花も 宇宙の子』に込められた想いが、子ども向けの優しい口調で書かれています。ただし書かれている内容は大人が読んでも深みを感じさせるものでした。

うちの息子たちが小学校高学年になったら是非読んで欲しいなと思う本でした。

 

 2015年初版発行の文庫本、『宇宙飛行士になる勉強法』

山﨑直子さんは東京大学出身の大先輩です。この本では幼少時代の家庭教育から受験勉強、米国留学、宇宙飛行士選抜試験など、勉強法を中心に書かれています。 

幼児二人を育てている私には、山崎直子さんが幼少期に家族で江戸川を半日かけて散歩したり北海道在住時にはスキーをしたりと、家族そろって体を動かしていたエピソードが印象的でした。息子たちも保育園のおかげで平日はよく歩いているので、休日もなるべくたくさん歩くようにしたいなと思っています。

 

2010年出版、『何とかなるさ!ママは宇宙へ行ってきます』

山崎直子さんは2010年4月にスペースシャトル「ディスカバリー」に搭乗して宇宙に行かれました。この本はその直前の2010年2月に初版発行されています。

私がこの本でとても考えさせられたのは、妊娠・出産・育児と、宇宙飛行士としての仕事の両立についてでした。

2002年8月、正式に宇宙飛行士に認定されてから約1年後に、私は娘の優希を産みました。

働く女性の多くが悩むと思いますが、私も悩んだのが、妊娠のタイミング。夫も私も、結婚したら子どもは欲しいと思っていました。だから妊娠はぜひしたい。しかし問題は、その時期をいつにするか、ということでした。

(『何とかなるさ!ママは宇宙へ行ってきます』p80より引用)

宇宙飛行士としての訓練は体を酷使するものもあり、無計画に妊娠すれば訓練スケジュールが狂ってしまうとのこと。宇宙飛行計画に影響が出ないタイミングを見極めて妊娠出産された経緯を読んで、私まで胸がドキドキしました。そして2003年のスペースシャトル・コロンビア号の大事故を受けて山崎さんの宇宙飛行計画が大きく狂い、「ふたり目の子どもを産むタイミングを逸したまま、七年がたってしまった」と書かれていました。さらに、訓練と育児の両立の困難さや、夫の苦渋の決断(退職)・環境適応障害など、読んでいて胸が苦しくなるような描写もありました。宇宙飛行士としての任務を遂行するために、山崎さんもご家族も多くのものを犠牲にしてこられたのだということがよくわかります。

この本では「いまは、今回のミッションを終えた後、次のミッションまでの間に、ふたり目が授かったらうれしいな、と思っています」と書かれています。 

2021年にこの本を読んでいる私は、山崎さんが2011年に第二子を無事に出産されたことを知っています。本当に良かったなと思います。そして2011年に引退を惜しまれながらJAXAを退職されたことも、2012年に離婚されたことも知っています。私は無責任な他人なので、山崎さんに「次のミッション」に是非行って欲しかったし、子供のいる日本人女性として初めて宇宙に行った山崎さんが、ご主人と仲の良い夫婦であり続けて欲しかったと思ってしまいます。でもこの本の言葉を借りれば「家族を続けるために、できるだけのことを精一杯やろう」と努力され続けてきたのだろうし、そこに他人が口を挟むことはできないなと思います。

ご主人(山崎大地さん)の著書も読みましたが、宇宙飛行士である妻を支えるために仕事を辞めたこと、JAXAに振り回されたこと、長年の夢が叶わなかったこと、ご主人の苦しみがご主人側の視点で描かれていて、つらいなあ…と思いました。「宇宙飛行士の夫」である前に一人の人間であり、夢もあったし理想の家族の姿もあったんですよね。

歴代の「宇宙飛行士の家族」は配偶者や子どもを合わせれば1000人以上。宇宙飛行士の離婚率はとても高いそうです。アポロの時代のNASAの宇宙飛行士はほとんど離婚しており、現在のスペースシャトルの宇宙飛行士でさえも半分くらいは離婚経験者とのこと。(参照

 

2013年出版、『夢をつなぐ』 

さて、山崎直子さんの著書5冊を読んだ中で、私が個人的に一番好きなのはこの本です。『夢をつなぐ』、良いタイトルですよね。

私が誰か大人に一冊だけ山崎直子さんの本をお勧めするとしたらこの本を選びます。第57回青少年読書感想文全国コンクールの中学校の部の課題図書にもなっているとのこと。

巻末の解説(的川泰宣 JAXA名誉教授)も素晴らしかったです。ちょっとだけ引用します。

第三に、さまざまな逆境に陥り、それと闘いながら生き抜いてきた著者の、人生へのひたむきな姿勢が、心を打ち、励ましてくれる。この世には、こんなに素敵な人がいるのだと、あらためて感動させられた。生まれつきでもあろうが、厳しく育てられた形跡もある。温かく、折目正しく、それでも大胆に自分の夢を追う姿がまぶしい。

一般に宇宙飛行士の書く(あるいは語る)ものは、ひたすら夢を追いかけた過程が時系列で述べられていく。その陰にある私人としての心の葛藤や苦しみが赤裸々に記述されることは少ない。

(『夢をつなぐ』p196より引用)

何度もうなずきながら読みました。

口数の少ない陸上自衛官の父と大らかな専業主婦の母に育てられた本好きの女の子が、宇宙に関心をもち、努力を重ねて宇宙飛行士となって、家族をもち、挫折を味わいながらも宇宙飛行士としての任務を遂行し、そして次世代へのバトンリレーを続けようとしている。私も悩み苦しむことがあっても自分にできることを精一杯やるしかないし、次世代へのバトンリレーを続ける一助になりたいと思います。

本当に励まされる本でした。

 

日本を宇宙旅行ビジネスの拠点に

山崎直子さんは現在、内閣府宇宙政策委員会委員や一般社団法人スペースポートジャパン代表理事などを努められていて、宇宙関連産業の振興に尽力されているようです。

宇宙先進国である日本にアジア初のスペースポートを作り、日本を宇宙旅行ビジネスの拠点とすることは、今後の宇宙産業及び関連産業の発展にとって非常に重要な意味を持ちます。

(引用:Space Port Japan | スペースポートジャパン

日本を宇宙旅行ビジネスの拠点に!!!

ワクワクしますね。

 

私は「宇宙に行けたら楽しいだろうな〜」「人生で一度くらい宇宙旅行をしてみたいな〜」くらいのふんわりとした気持ちしかないのですが、息子たちが宇宙について楽しそうに話しているのを見ると心が躍ります。彼らが大人になる頃には、今よりもっと気軽に宇宙に行けるようになるはずです。

山崎さんが『宇宙飛行士は見た 宇宙に行ったらこうだった!』で書かれているように、息子たちには「宇宙に行く」ことを目指すのではなく、「宇宙でやりたいこと」を是非見つけて欲しいなと思います。

 

3歳長男に「宇宙に行ったら、何をしたいの?」と聞いてみたところ、

「宇宙にいったらね、おほしさま食べるの!」とのこと。かわいいです。

 

おまけ

長すぎるブログにお付き合いいただきありがとうございます。

ここまで読んでくださった方はきっと宇宙に何かしら興味がある人なのではないかと思うので、もし銀座に行く機会があったらこのイベントに立ち寄ってみてください。入場無料です。

HOPE FOR UNIVERSE | イベント | METoA Ginza ウェブサイト

 

こうのとりプロジェクトの一員の三菱電機が主催のイベントで、2021年6月29日までです。

巨大ディスプレイで宇宙ステーション補給機「こうのとり」のドッキングを追体験できます。なかなか面白かったです!

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 私のTweetも貼っておきますね。

 

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