おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

パブコメを送るときは、ちょっと落ち着いて書きましょう

先日、児童手当の特例給付廃止検討のニュースについて色々書きました。

Twitterでは今も議論が盛り上がっており、「Twitterで意見を言うだけでなく、政府にパブコメで意見を送ろう!」という方も結構多くいるようです。

www.shiratamaotama.com

 

その宛先、違います

ただ、多くの方が「間違った宛先に」パブコメを送っているようなので、ちょっと気になっているところです。 

このURL、最初はリプで教えて頂いて知ったのですが、検索してみたらかなり多くの方が「児童手当についての意見はここから送れます!」とTweetしていました。

 

これは押印不要化等についてのパブコメです

特定の誰かを非難したいわけではありません。

パブコメの件名が「児童手当法施行規則及び子ども・子育て支援法施行規則の一部を改正する内閣府令案に対する意見募集について」なので、今話題の件についてだと勘違いされる方が多いのは理解できます。

※昨日、上記サイトに改正内容についての但し書きが追加されました。おそらくあまりに多くの無関係なパブコメが届いたので、分かりやすく改正内容を追記したのだろうと思います。

 

無関係な意見を送った場合はどうなるの?

さて、募集している内容とは無関係な意見が内閣府に届いた場合、その意見はどうなるのでしょうか?

 

私がイメージしている内閣府の人(困ってる)。

f:id:shiratamaotama:20201117132535j:image

 

詳しい人から教えてもらいました。

いわく、

・パブコメ意見対象外の意見は、行政手続法上のパブコメ結果公示の対象とならないので、当該パブコメに対する有効な意見としては扱われない(改正内容に無関係なので、意見として採否のしようがない)

・ただし、無関係な意見であっても、一応読まれるはず(どのくらい読んでもらえるかは案件次第)

とのことでした。

 

正しい宛先はどこなの?

 こちらについても複数の方から教えて頂きました。

・特例給付廃止、世帯合算方式への変更については、現時点で法律の案文等ができているわけではないので、パブコメは行われていない(まだ大きな方針として官邸や国会で議論されている段階)

内閣府の意見登録システムへ、もしくは首相官邸のご意見募集フォームへ、意見を送ることはできる(テーマを限定しない意見募集なので、ここに児童手当についての意見を送って良い)

・今後、特例給付廃止等についてのパブコメ募集が出たとして、パブコメを送るのは大事(パブコメを送っても意味が無いと言う人もいるが、そんなことはない)

・ただし、そもそも根本的に反対だという場合には、パブコメを待たず、議員(できれば与党)に意見を届けたほうが効果的ではある

・パブコメに、感情的・攻撃的な罵詈雑言を送ってくる人が少なくないので、読む側も大変(もちろん冷静で論理的なパブコメもある)

←今回の件で「そもそもパブコメの対象になっている案文を読むことなく、件名だけを見てパブコメを送る人が少なくない」ことからも、パブコメを読む側の苦労がしのばれました。読む側も人間なので、パブコメを送る際はちょっと落ち着いて送るようにしたいですね。

 

まとめ

・パブコメを送るときは、意見募集の対象を一度は読みましょう

(長くて全部読めない場合は必要な箇所だけでも良いと思います)

・パブコメを読む担当者が使いやすい情報にしてあげるとより良いと思います

(賛成・反対を明確に。文章は簡潔に。罵詈雑言にならないように。)

 

 

以上です。あとはおまけです。

 

おまけ その1:年少扶養控除の廃止があまり知られていない

先日、私の両親に児童手当の特例給付廃止検討のニュースについて話していたら、両親が「児童手当は年少扶養控除の廃止と引き換えにできた」ことを知らない…というか、そもそも「年少扶養控除が廃止された」ことも知らなかったので、ちょっと驚きました。

私の親世代(2011年の時点で子どもが16歳以上になっていた世代)だと、子どもの扶養控除が無くなったことを知らない人が結構いるみたいですね。

 

2011年までは16歳未満の子どもは年少扶養控除の対象でした。

扶養控除は結構大きくて、例えば年収1,000万円で子ども2人の専業主婦世帯なら、所得税と住民税で年間114,000円は税金が安くなっていたはずです。(参照

※世帯主の年収別で、年少扶養控除でどのくらい税が軽減されていたかについては、こちらの資料の1ページ目の表が分かりやすいです。

 

児童手当(旧子ども手当)が年少扶養控除の廃止とトレードオフで産まれた制度だということは、財務省の資料からも明確に分かります。

「所得控除から手当へ」等の観点から、子ども手当の創設とあいまって、年少扶養親族(~15歳)に対する扶養控除(38万円)を廃止する。

(引用:扶養控除の見直しについて(22年度改正) : 財務省

 

このあたりの経緯も、当時の私は自分が子育て中ではなかったのであまり詳しく知ろうとしませんでしたが、今回改めて調べてみたら「えええ…」という感じでした。

・子ども手当は、当初は月額26,000円支給される予定だった

・財源問題から初年度は13,000円を支給し、翌年から満額支給になるはずだったが、東日本大震災により復興財源が優先されたため、ついに満額支給にはならず

・平成25年に「児童手当」に名称変更、所得制限を復活

(参照:扶養控除と児童手当・高校授業料無償化

 

おまけ その2:ただのぼやき

児童手当を削って待機児童対策に予算を回すのが「少子化対策」なのであれば、せめて

・児童手当の削減によって、今後生まれるはずだった子どもがX人減る

・でも待機児童対策によって、今後生まれる子どもの数がY人増える

・XよりYが大きい

という試算を見たいな…と思っています。

 

そういう試算がどこかにあるよ!というのをご存知の方がいたら、是非教えてください。

 

おまけ その3:今できること

「なにかしたい」という場合、色々な方法があるようです。

内閣府の意見登録システムへ、もしくは首相官邸のご意見募集フォームへ、意見を送る(再掲)

・Change.orgを使う:キャンペーン · 児童手当の削減によらない待機児童の解消を求めます · Change.org

・政策実現プラットフォームissuesを使う:くらしの悩みをみんなで解決 / 株式会社issues

・議員に直接意見を届けてみる:特にこの議員が良さそう、というのをご存知の方がいたら是非教えてください。できれば自民党か公明党の有力な議員で、少子化対策に関心がある人が良いとのこと。

たとえば自民党だと牧原秀樹さん(衆議院)は特例給付廃止には反対のようです。

 あと、国民民主党だと矢田わか子さん(参議院)が夫婦合算に反対されてます。

 

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