おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

児童手当使途の調査報告書が間違っているようなので、厚生労働省に電話しました

ひとつ前のブログで、児童手当についての話題をとりあげました。

www.shiratamaotama.com

 

簡単にまとめると下記のようになります。

日経新聞による報道

・児童手当を「大人の小遣いに充てる」「使わずに残っている」人は年収600万~1000万円未満で39%、1000万円以上では49%

・これをふまえ、財務省は高所得者への児童手当廃止を含めた見直しを要請する

 

私が調べたこと

・児童手当の使途についての国の調査は、H24厚労省「児童手当の使途等に係る調査報告書」しかなさそう

・この調査報告書では、世帯年収1,000万円以上で児童手当を「大人のおこづかい」にしている割合は0.9%しかない。「使わずに残っている」17.1%と足しても18%であり、日経新聞の報道とは数字がかけ離れている

 

前回のブログを書いた後で、さらに発見したこと

そして2019年10月9日の財政制度等審議会資料(財務省)のp52に、下記のようなグラフを発見しました。

f:id:shiratamaotama:20191113195749j:plain

・世帯年収1000万円以上の家庭で、児童手当を「大人のお小遣い・遊興費」に充てている割合が32%、「使う必要がなく残っている」割合が17%

→これを合計すると49%になります。

どうやら、日経新聞の報道はこの資料がもとになっているようです。

 

しかし不思議なことにこの数字の引用元も上記と同じH24厚労省「児童手当の使途等に係る調査報告書」なのです。

同じ報告書から、こんなに違う数字が出てきたのはいったいなぜなのでしょうか? 

 

Twitterで親切な方が教えてくれました

どうやら、厚労省の調査報告書の中に数字の誤りがあるようなのです。

研究猫ともさん、小橋はこさん、上海Ⅱさん、ありがとうございます!

 

まず、こちらは同報告書のp42にある図表です。

 f:id:shiratamaotama:20191113195739j:plain

図表Ⅱ-5-17 世帯年収階級別の児童手当等の使途別金額

 

児童手当を「大人のおこづかいや遊興費」に使った金額は、世帯年収1,000万円以上の家庭で0.9%です。ここで、「子どもの将来のための貯蓄・保険料」が32.0%であることをちょっと見ておいてくださいね。

 

次に、同報告書のp116にある図表を見てください。

f:id:shiratamaotama:20191114070945j:plain

図表Ⅲ-3-42 世帯年収階級別の児童手当等の使途別金額

※最初、1ページずれた図表を貼っていたので修正しました。失礼しました。ご指摘いただいた皆様ありがとうございます。

 

児童手当を「大人のおこづかいや遊興費」に使った金額は、世帯年収1,000万円以上の家庭で32.0%となってしまっています。しかしこれ、上の図表で「子どもの将来のための貯蓄・保険料」と回答した人とまったく同じ回答者数で、他の世帯年収の家庭の金額もまったく同じです。

どうみても、「同じ図表なのに項目が入れ替わってしまっている」様子です。

ちなみに大人のお小遣いだけでなく、「子どもの教育費等」であったはずの項目も「子どもに限定しない日常生活費」と入れ替わってしまっています。

 

厚労省、仕事が雑…!!!

 

そして財務省で財政制度等審議会の資料を作った人、確認した人、誰一人として「大人のお小遣いの割合がさすがに大きすぎないかな…?」と思わなかったんですかね。

児童手当廃止という方向に使いやすい数字だったから、そのまま引用してしまったんでしょうか。

 

財務省、仕事が雑…!!!

 

そして日経新聞の記者さんにこそ、こうした数字の原典にあたって検証してから記事を書いていただきたかったです。

なお、日経の記事やTweetでは「年収1000万円」と書かれており、まるで個人の年収が1000万円の家庭について書かれているように見えますが、「個人年収1000万円」と「世帯年収1000万円」は全然違いますよね…。

 

日経新聞も、仕事が雑…!!!

 

厚労省に電話しました

こんな間違った数字をもとに児童手当の廃止を含めた見直しが進められては大変です。

とりあえず報告書の作成主体である「厚労省 雇用均等・児童家庭局」に電話しました。(電話よりメールしたかったけどアドレスが分からず)

すると「児童手当については所管が厚労省から内閣府にうつりました」と案内されました。

そこで、教えてもらった内閣府の電話番号に電話をかけました。

 

おたま「お忙しいところすいません。H24児童手当の使途等に係る調査報告書について質問させてください」

内閣府Kさん「はいどうぞ」

おたま「p42の図表とp116の図表は同じもののはずなのに、数字が入れ替わってしまっていませんか?例えば世帯年収1000万円以上の家庭の「大人のお小遣い」の項目を見てください」

内閣府Kさん「なるほど…」

おたま「実はこの資料の間違ったほうの数字を、財務省が10月9日の財政制度等審議会資料に引用しちゃっているようなんです。これに基づいて児童手当が廃止されるのはおかしいと思うので、訂正をお願いできますか」

内閣府Kさん「ありがとうございます…こちらでも確認しますので、念のためご連絡先を教えてください」

おたま「(携帯電話番号)です」

内閣府Kさん「ありがとうございます!!」

 

とても感謝されたので、人の役に立って良かったなと嬉しかったです。内閣府の皆様、がんばって~!

 

まとめ:Twitterの皆様に感謝です

私は朝の通勤電車で「これが引用元らしい」「報告書と数字が違う…」とつぶやいただけなのですが、私が仕事している間に多くの方が数字を検証してくれていました。 改めて、ありがとうございました。 Twitterの力を実感する出来事となりました。

そして夕方になり、帰りの通勤電車で報告書の数字を見直し、最寄り駅から保育園に向かう途中で歩きながら厚労省と内閣府に電話しました。基本的に内閣府の児童手当担当は財務省と戦って児童手当を守る立場にあるので、私からの情報提供は感謝をもって受け止められたものと理解しています。

 

今後、内閣府では

・厚労省がつくったH24児童手当の使途に係る調査報告書の元データを確認し

・財務省作成の10/9付資料が間違っていることを証明し

・財政制度等審議会の場で、例の資料は誤りだったことを共有する

といった作業がなされるものと信じています。

 

一市民として、正しい情報にもとづく政策決定を期待しています。

 

【11月15日追記】

上記の電話からたった1日で内閣府と厚労省が調査報告書の誤りを修正してくれました。感動です。

www.shiratamaotama.com

 

 

【合わせて読みたい】

www.shiratamaotama.com

www.shiratamaotama.com

www.shiratamaotama.com

www.shiratamaotama.com