おたまの日記

都内で働く二児の母(東大法学部卒)が、子育てしながら考えたことや読んだ本、お勧めしたいことを書いてます。

読書記録:「不死身の特攻兵」

息子に顔を蹴られて朝4時前に目が覚めたので、「不死身の特攻兵」という新書を読みました。

・9回特攻に出撃して、9回生きて帰って来た人がいる
・2016年に92歳で亡くなった
・特攻は「卵をコンクリートに叩きつけるようなもの。卵は壊れるが、コンクリートは汚れるだけ」
・特攻の命中率は5%(沖縄・本土)〜11%(フィリピン戦)と、非常に低い
・米国がレーダー駆逐艦を配備して特攻対策を取った結果、特攻の有効性は著しく逓減した。にも関わらず特攻作戦は継続された
・特攻は、米国への戦術としては有効ではなかった。が、(戦意高揚という意味で)日本人・日本軍人にとっては有効だった

全編を通して、特攻を「命令した側」への批判的立場から書かれており、最終章では真夏の甲子園批判も。(筆者は「命令された側」の高校球児を尊敬し感動するが、「命令した側」の「現状維持/所与性」を批判する)

戦後、生き残った特攻兵が「私は本音を言えば死にたくなかった、怖かった」と発言すると、他の予科練出身者(特攻は未経験)から「予科練の面汚しだ、取り消せ」と罵声を浴びる。ここで興味深いのは、「命令した側」「命令を受けた側」に加えて「命令を見ていた側」があり、傍観者たる彼らが最も饒舌であるということ。

戦後70年以上が経ち、「命令した側」「見ていた側」の多くが亡くなった今だからこそ「命令を受けた側」の当事者たちが重い口を開き、私たちが冷静に「特攻」を考えることができる時期がきた。

命を消費する日本型組織の中にあって、そこから抜け出した特攻兵がいたことが、現代日本の私たちへの希望となるのではないか。
朝から一気読みする価値のある本でした。